「読書会をもっと身近に」
クラウドファンディング実施中!

【速報】世界の終わり、太宰治『走れメロス』の主題歌投票1位に

本の主題歌を決める読書会BGMeeting(ビージーミーティング)が、都内秋葉原にて2018年11月24日に開催され、太宰治『走れメロス』の主題歌として、世界の終わり『天使と悪魔』が参加者投票全21票中6票を獲得して優勝した。

BGMeetingとは、Webサービス「Book Ground Music」から飛び出した、1冊の本に合う音楽を参加者が持ち寄り、その中で最も心を動かされる主題歌を決める音楽融合型読書イベント。今回で6回目の開催となる。

参加者が主題歌を持ち寄ることとなったテーマ本は、「メロスは激怒した」の冒頭の文章でも有名な太宰治『走れメロス』。

村の牧人メロスは、人間不信に陥り罪なき人々の処刑を繰り返す王ディオニスを殺そうと目論むが、警備の者に捕まってしまい死刑を言い渡される。だが、メロスは妹の結婚式に駆けつけるために、ディオニスに対し3日間自由の身となる猶予を請う。その際、メロスが期限までに帰らなかった場合の代償として、彼は自ら親友セリヌンティヌスの命を人質として献じた。

メロスが妹の結婚式を見届けた後、果たして期限内に処刑場へ戻り、親友の命を自分の命と引き換えに救うことができるのか。

今回の参加者総数は7名。通例より少ない参加者となったため、予選の中止という異例の措置が取られ、開幕直後から7名全員による決勝戦が行われた。

紹介された曲は全部でこの7曲(紹介順で掲載)。

曲名 アーティスト名
Be Noble ぼくのりりっくのぼうよみ
できっこないを やらなくちゃ サンボマスター
プライド革命 CHiCO with HoneyWorks
空に歌えば amazarashi
One day The ROOTLESS
天使と悪魔 世界の終わり
空と君のあいだに 中島みゆき

サンボマスター『できっこないを やらなくちゃ』、CHiCO with HoneyWorks『プライド革命』、ROOTLESS『One day』などのように、メロスが友人セリヌンティヌスと正義のために走る姿をテーマとした、力強くて前向きな曲が7曲中3曲を占めた。

その一方で、ぼくのりりっくのぼうよみ『Be Noble』、amazarashi『空に歌えば』、中島みゆき『空と君のあいだに』(実際に紹介されたのは男性歌手によるカバーver.)といった、マイナー調でメロスの崇高さと太宰作品の持つ重厚感にフォーカスした選曲も3曲持ち寄られた。

amazarashi『空に歌えば』は、21票中5票を獲得した準優勝曲。

虚実を切り裂いて 蒼天を仰いで 飛び立った永久

空に歌えば 後悔も否応なく

必然必然 なるべくしてなる未来だ

それ故、足掻け

疾走感と荘厳さの相まった曲調と文学的な歌詞が、メロスの苦悩と誇りを守ろうとする中、一所懸命に走る姿が思い浮かぶ。

※中島みゆきの音源は再生できないため河村隆一の音源を掲載

「『走れメロス』のテーマソング(主題歌)は何か?」と尋ねられれば、疾走する主人公メロスにスポットライトを当てた選曲が多数を占めるだろう。

しかし、その中であえて主人公ではなく、ヒール役となる邪智暴虐の王ディオニスの視点に立って持ち込まれた楽曲が優勝曲となった世界の終わり『天使と悪魔』だった。

悪魔と天使の世界でこちらが正しいとか

あちらが間違っているとか解らないんだ

王様ディオニスが処刑を始めたのは、そもそも彼自身が誰かに手酷く裏切られて人を信じられなくなってしまったからなのかもしれない。

メロスは初めディオニスを悪と断罪し、殺害しようと目論んでいた。そして、自分が捕まると親友を自分の都合で人質に差し出し、一度は自分の「正義」を正当化して、その命を諦め約束を反故にしようとした。

これらの事情を鑑みたら、「王様=悪、メロス=正義」という当たり前を疑ってみるのもアリなのではないか、という観点からの選曲である。

戦うべき「悪」は自分の中にいるんだと

「世界」のせいにしちゃダメだと僕はそう思ったんだ

王さまにしても、メロスにしても、彼らは結局のところ、自分の中にいる「悪」と戦わなければならなかったのかもしれない。「正義」とは悪を断罪することではなく、自分自身の中にいる「悪」に打ち勝つこと。

『天使と悪魔』を主題歌として聴くことで、『走れメロス』にそのようなメッセージが込められていることに気づかされる。

1つの物語に様々な角度、視点からの選曲が集まることにより、物語をより多角的に理解し、記憶に残すことができる。

それもBGMeetingの醍醐味である。

今回イベントに参加できなかった方も、「Book Ground Music」というサービスから太宰治『走れメロス』の主題歌を「寄贈」することができる。

 

本の主題歌を決める読書会、BGMeeting。次回の開催は、秋葉原にて2019年1月26日に、東野圭吾『ナミヤ雑貨店の奇蹟』をテーマ本として開催される。

町の小さな雑貨店「ナミヤ雑貨店」における、様々な境遇にいる人たちの手紙による悩み相談を巡る不思議で感動の物語だ。イベント詳細と申し込みはコチラのページから行える。

 ReaJoy(リージョイ)
ReaJoy(リージョイ)
読書エンターテインメントメディア Powered by Book Ground Music

 

また、下記のページを「フォロー」することで、イベントが公開されるごとにお知らせが届く。早割もあるため、通知が届くようにしておくと便利だ。

 

次回はどのような音楽が選ばれ、鳴らされ、優勝するのだろうか。今後も、本の主題歌を決める読書会BGMeetingから目が離せない。

 

※太宰治『走れメロス』の全文は、Web上に公開されている青空文庫にて、無料で所要時間10分程で読むことができる。今回持ち寄られた主題歌と併せて読み直してみると、また新しい発見があるかもしれない。