目次
デジタルネイチャー
やや難解な専門書
難易度:★★★★★
まず印象的なのが本書のカバーである。
専門書とは思えないほど美しく、まさにメディアアーティストとしての落合氏の良さがふんだんに溢れている。
先述したようにメディアアートやデジタル信号に関する専門書であるので、注釈を拾いながらでも1回読んだだけでは理解が困難な本である。
この本は他の落合氏の著書を数冊読んだ後でないと、全く内容が分からない、という事態に陥ってしまう。
そうならないためにもある程度氏についての知識をつけておく必要があるだろう。
何回も言うが、この本は難解である。
一番最初に読むのだけは避けたほうがよい。
デジタルネイチャー 生態系を為す汎神化した計算機による侘と寂 / 落合陽一
脱近代宣言
若者3人がポストモダンを語る
難易度:★★★★
余談であるが、この本で私は初めて落合氏が目の手術をしてレンズを埋め込んである、ということを知った。
え、視力悪かったの?と思うと同時になんか不気味な感じもした。
しかし、一般の人がやや不気味に感じるようなところに落合氏の魅力があるように思える。
あまり内容を深堀するとほかの書評と被る部分が出てくるので割愛させていただきたい。
本を読む優先順位は高くなく、他の本で物足りなければ読むといったスタンスでいいのかなと思った。
ニッポン2021-2050 データから構想を生み出す教養と思考法
猪瀬氏とオリンピック後の未来を語る!
難易度:★★★
この本は落合氏と元東京都知事の猪瀬直樹氏との共著である。
まずこのような趣旨の冒頭から始まる。
「やばい、やばい、東京オリンピックが決まってから(2015年の秋)3年も経過している(2018年時点での発言)のに、日本はまだ2020を目標にしている。3年経過したのだから、2023年を目標にしなければならないのに。」
なんとも示唆的な言葉である。
確かに、今の日本社会は東京2020に向かって進んでいるが、オリンピックが終わった後の社会をあまり想像していない感覚が否めない。そこに落合氏と猪瀬氏が一石投じている。
また、少子高齢化による人口減少は単純な問題ではないという話も出ている。
なぜなら、東京都の港区など幅広い今後も人口増加が見込まれるからである。
つまり、大半を占める人口減少と少数派の人口増加に対して同時に対処しなければならないと落合氏は警鐘を鳴らしている。
0才から100才まで学び続けなくてはならない時代を生きる
人生100年時代を生き抜くためには?
難易度:★★
今までの著書とは違った、教育などに重点を置いてある本である。
特に、読者からの質問に答える場面では、非常に参考になる回答がなされている。
また、落合氏の幼少期時代の頃についても書かれており、なかなか面白い内容となっている。
例えば、幼稚園時代から好き嫌いが多く、昼食の時間になるとわざわざ家族が迎えに来て家までピラフを食べさせに連れて帰った話や、小学生の時にもらったカメラにはまったことがきっかけでメディアアーティストになった話など、裏エピソードを多く知ることができる。
Twitterでこの本の購買層を探してみると、特に子育て世代の方々に人気のようである。
落合氏のように幼少期のころから本物に触れ、自由に生きるように子供を教育したら、いったいどんな大人になるだろうか。非常に楽しみである。
また、80代のシニア世代の方も店頭にこの本が並んでいるのを見て、「人生は勉強だな」との趣旨の発言をしているらしく(落合氏がリツイートしていた)、幅広い年代で読まれるべき本であるといえるだろう。
日本進化論
落合氏、待望の最新刊!
難易度:★★★
この本が落合氏が世に出した最新のものである。
2018年の夏に行われたニコニコ生放送「平成最後の夏期講習」を元に構成された本である。
この本ではその講習で共に参加された小泉進次郎氏など各界の著名人が落合氏と様々なテーマについて語り合っている。
私が興味深いと思ったのが序章の前に出てくるポリテックという言葉である。
この言葉は政治を意味する「politic 」と技術を意味する「technology 」を掛け合わせた造語であり、最近しばしば見かける言葉でもある。
この言葉を落合氏ら小泉氏と討論しており、日本人は会議中にPCを開かない、小泉氏が会議前にFacebookに資料をPDFで送信したら「秘書の方の仕事がなくなるからやめてくれ」と他の議員から苦言を呈された、などのエピソードが語られている。
この事実から分かるのが、政治指導で技術を導入しないといけないということと、単に技術を導入すれば良いという問題ではない(学校現場における電子黒板の導入など)ということがわかる。
他にも教育や少子高齢化、医療、スポーツなど幅広いジャンルについて語られており、対話形式なので非常に読みやすいと思う。
最後に
落合氏の全作品を今回振り返ってみたが、いかがだっただろうか?
気になる作品が見つかったら幸いである。
次回はいよいよ最終回。落合氏の今後について迫りたい。
前回の記事はこちらを参照していただきたい。
【現代の魔法使い!落合陽一特集】第1回: 落合陽一とは一体何者なのか?
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