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梨木香歩おすすめ作品10選【自然の中で生まれる癒しの文学】

梨木香歩といえば、間違いなく『西の魔女が死んだ』が代表作になるだろう。他の作品は読んでなくてもこの作品だけは読んだという人は多いと思う。

西の魔女が死んだ』は1994年に出版され、2008年に実写映画化された。

児童小説あるいはYA(ヤングアダルト)小説というジャンルで、心温まるストーリーはとても読みやすく幅広い世代に愛されている。

さて、そんな梨木香歩はエッセイストとしても優れた作家であることはご存知だろうか。

小説は読んだことあるけどエッセイは読んだことないという方のために、5つの小説と5つのエッセイを厳選してみた。

これもまた選ぶのにとても苦労したけど、新しいジャンルを開拓するきっかけになると嬉しい。

梨木香歩とは

1959年生まれ。作家。小説に『西の魔女が死んだ』『家守綺譚』『冬虫夏草』(以上、新潮社)、『村田エフェンディ滞土録』(角川書店)、『f植物園の巣穴』(朝日新聞出版)、『ピスタチオ』(筑摩書房)、『岸辺のヤービ』(福音館書店)、『僕は、そして僕たちはどう生きるか』(理論社、のち岩波現代文庫)など、エッセイに『渡りの足跡』『エストニア紀行』(以上、新潮社)、『水辺にて』(筑摩書房)、『不思議な羅針盤』(文化出版局)など、翻訳に『ある小さなスズメの記録』(文藝春秋)、『わたしたちのたねまき』(のら書店)などがある。

岩波現代文庫『海うそ』より

学生時代、イギリスに留学。

児童文学者のベティ・モーガン・ボーエンに師事し、下宿先のウエスト夫人とのエピソードはエッセイにもよく描かれている。

世界中を旅し、渡り鳥を追いかけ、カヤックに乗るとても活動的な女性だ。

梨木香歩は雑誌やテレビなどの媒体に顔を出さない。

講演会やサイン会はたまに行われていて、参加した人の感想を読むと、どうやらすらっとした感じの、自然派の装いをされた上品なご婦人のようだ。

鹿児島出身ということから、きっと目鼻立ちのはっきりした、自然体でも美しい方なんだろうなと勝手に想像してみる。

『裏庭』

裏庭
#第1回児童文学ファンタジー大賞受賞
昔、英国人一家が住んでいた古い洋館には、鏡を通って行ける秘密の裏庭があった。

あるきっかけで裏庭に入り込んでしまった照美は、目を背けていた出来事に直面し自分の心と向き合っていく。

ナルニア、秘密の花園、ムーミンなどのファンタジーの要素を感じる、何度でも読みたくなる意外と骨太な物語。

自分の感情と向き合うことの大切さ。これを読んで子どもも大人も時々は再確認するべきだと思う。

『不思議な羅針盤』

不思議な羅針盤
梨木香歩エッセイの入門書にピッタリの一冊。

映画『西の魔女が死んだ』の撮影秘話も少しあって手元に置いておきたいエッセイ集。

『沼地のある森を抜けて』で薄々気づいてはいたけど、梨木香歩はとてもユーモアのある人だと思う。

愛犬との共闘エピソード(笑い事ではない?)やカーナビ彼女とのやり取りなど、お顔も知らない梨木先生を想像して楽しくなる。

自然との関わりの中であのような素晴らしい作品が生まれるんだなぁと思う。

『丹生都比売(におつひめ)』

丹生都比売
壬申の乱の前、大海人皇子(おおあまのおうじ)と鸕野讚良皇女(うののさららのひめみこ)の子、草壁皇子(くさかべのおうじ)と吉野で出会った不思議な少女キサの物語。

新潮社の作品集には他に8つの作品を併録。

全体に漂うのは死者たちの思い。

梨木香歩はたまに「質量」という言葉を使う。

私たちの体は死んだら土に還り、別の命の糧となり巡り巡っていく。

質量は変わらず、そうやって繋いでいくものの中に梨木香歩は物語をみる。

『春になったら苺を摘みに』

春になったら苺を摘みに
梨木香歩が留学時代から下宿先としてお世話になったウエスト夫人と、彼女を中心とした国も宗教も異なる友人たちとの交流譚。

ウエスト夫人のモットー「理解はできないが受け入れる」は、これからの世の中でとても大切な教えになるかもしれない。

理解したふりも、理解させようと押し付けることも必要ない。

人との付き合いに悩んだ時、『春になったら苺を摘みに』は一度ベースに立ち返って新しい視点を与えてくれるようなエッセイだ。

『ぐるりのこと』

ぐるりのこと
ぐるりとは身の回りのこと。

旅先で、日常で、身の回りのことから内側へ思考を巡らせるエッセイ集。

梨木香歩の小説を読んでいると、「境界」という概念を意識しているのがわかる。

もう一つ、「Marsh」という言葉についても書かれている。

Marshは沼沢のような水辺と固い地面の曖昧な境い目なので、「境界」が梨木香歩の創作にとってとても大事なテーマなのだと思う。

この本でそのエッセンスを見せてもらった気がする。

『からくりからくさ』

からくりからくさ
蓉子は祖母の遺した古い家に、女友達3人と日本人形の「りかさん」と共同生活をする。

食卓には野草を使って工夫を凝らした料理が並び、季節の植物で糸を染め、それを織物に仕立てていく。

工房とシンプルライフ。

こういう生活スタイルに憧れる人は多いと思う。

地に足をつけるのは難しい。他人と密に関わり合うのも。

「世界はひとつの織物」という言葉に、いい模様を出すには確かな生活という縦糸があればこそだなぁと思う。

『家守綺譚』

家守綺譚
学士、綿貫は亡くなった友人、高堂の空き家に住み始める。

やがて、綿貫の周りでは奇妙なことが起き始める。

時は百年前ということで、どこか漱石や芥川の時代の雰囲気のある物語。

河童や竜など、昔はひょっとして本当にいたのかもしれないと思うような物の怪や妖怪が登場して、独特の世界観を創り上げている。

ひとつの章にひとつの植物を題目に、和の花々や樹木が懐かしく、梨木香歩の言葉のセンスを感じる。

和洋どちらも上手い。

『水辺にて on the water / off the water』

水辺にて
カヤックから見た水辺の風景とそこに生きる者たちのエッセイ。

まず、梨木香歩のエネルギッシュさに驚く。

水辺と言っても、北海道だったりスコットランドだったりアイルランド、はたまたカナダだったり、様々な土地での体験談だ。

「アザラシの娘」という章で紹介される民話や目撃談は、小説『海うそ』に影響を与えていそうだ。

植物や鳥に詳しい梨木香歩のネイチャーライティングを読めば、きっとカヤックに乗ってみたくなると思う。

『渡りの足跡』

渡りの足跡
渡り鳥に想いを馳せたネイチャーライティング。

梨木香歩の主観で紹介される鳥たちのプロフィールが面白い。

単純に渡り鳥の生態だけでも面白いが、梨木香歩は「人間も渡りをする」生き物として捉え、北海道の開拓民や移民などになぞらえる。

私は梨木香歩の、自然と人間を切り離さない考え方が好きだ。自然を壊す人間は悪い、ではなく、その人間も自然の一部なんだという考え方が。

身近な鳥たちの彼らなりの事情を知りたくなる一冊。

『雪と珊瑚と』

雪と珊瑚と
若くしてシングルマザーになった珊瑚。雪の預け先にも職にも困る珊瑚は、個人で子供を預かるというくららに出会い自立の道を歩んでいく。

この作品は賛否分かれると思う。

話がトントン拍子に行きすぎる、珊瑚が強すぎるというところで。

同じシングルマザーとしての立場から言わせて貰えば、若いひとり親には是非読んでおいて欲しい。

途中、胸を抉られるような箇所がある。でもそれが現実だ。

梨木香歩はちゃんと痛みを癒してくれる。

おわりに

最初に『西の魔女が死んだ』を読んで、次に『春になったら苺を摘みに』を読んだら面食らうかもしれない。

あんなファンタジックな優しい物語を書く人と、芯が通って自分の核がしっかりある国際人(私の勝手な想像)と、人物像がなかなか重なり合わないから。

魔女や不思議な力の物語とコミュニケーション能力の高さのギャップ!

でも、だからこそ、読者は梨木香歩という人物に魅了されるのかもしれない。

そして、そのギャップを作っているのは学生時代のイギリスの子供部屋とウエスト夫人なのだろう。

もし留学先がイギリスじゃなかったら、下宿先がウエスト夫人の家じゃなかったら、今の作家「梨木香歩」は生まれなかったかもしれない。

今回10冊を選ぶにあたって、続編にあたるものや関連する作品は省いた。

『ぐるりのこと』で書かれたテーマは『沼地のある森を抜けて』に続いているし、『からくりからくさ』の以前を描いた『りかさん』は、より不思議なストーリーに、りかさんの上品な着物の描写が美しくておすすめ。

京都と滋賀あたりの琵琶湖疎水を舞台にした『家守綺譚』の続編『冬虫夏草』は、前作の雰囲気をそのままに愛犬を探す冒険譚も加わっている。

先日読んだ『エストニア紀行』も、一般人では到底経験できないような風変わりで楽しい旅をされてて面白かった。

小説とエッセイでこれだけ違った顔を見せてくれる梨木香歩。ご本人の素顔がわからなくても、この10冊を読んでもらえればきっと満足してもらえるはずだ。

次の作品ではどんな顔を見せてくれるのか楽しみ。

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