出版社の辞書編集部で新しい辞書作りに奔走する人々を描いた『舟を編む』で本屋大賞を受賞した人気作家・三浦しをん。
他にもドラマ化・映画化され話題となった素敵な作品ばかり。
今回は読書好きの方48名に、Twitter上で三浦しをん作品の中のおすすめ作品を最大3作品まで選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
目次
1位『舟を編む』
#第9回本屋大賞受賞 #宮崎あおい主演映画の原作 #アニメ化
まさみ
出版社勤務の馬締光也は辞書編集部に異動し、ベテラン編集者・荒木の指導のもと辞書の編纂に携わることに。辞書作りには膨大な労力と時間がかかるものの、言語学を勉強していた馬締は、次第にその面白さにのめりこんでいきます。
コミュニケーション下手で周囲に厄介者扱いされていた馬締が、ようやく自分の天職と巡り会い、辞書作りにやりがいを見出し、居場所を確立していく姿が素晴らしかったです。辞書の編纂を「舟を編む」作業にたとえるのも秀逸で、先人たちが何百年何千年もかけ研磨し語り継いできた日本語の美しさや、温故知新の精神で言葉に命を吹き込む大切さを実感できました。
勉強や仕事で辞書にお世話になった経験がある人は、ぜひ読んでください。現場の情熱に触れられますよ。
yurika
辞書が出来るまでの過程を知ることができるのも、この本の魅力です!
あわよくばニセ明さんに
なにかものを作るシーンのある小説は沢山あるけれど、これだけ熱量のこもった小説は初めてでした。私は電子辞書を使わずに紙の辞書を使っているのですが、大学生になっても紙の辞書に拘るのはこの小説があるからです。
初めて三浦しをんさんの作品を読むならこれだと思います。
あとは4丁目のみ
辞書作りの壮大さや大変さも初めて知って、読みながらずっと「新しいことを知る喜び」を感じることができました。
2位『風が強く吹いている』
#第1回ブクログ大賞文庫本部門大賞 #小出恵介主演映画の原作 #アニメ化
暴力事件が原因で退部した天才ランナー・カケルは、ある夜偶然会った元強豪校のランナー・ハイジに勧誘され、駅伝で再起を図ることに。しかし彼が所属するチームは想像の斜め上を行く変人たちの巣窟な上、全員が素人らしく……。
クセモノ揃いの学生たちが箱根駅伝を目指す青春もの。陸上経験者の方が少数派ときて途中何度も衝突が繰り返されますが、そのいざこざを乗り越え団結し、各々の個性を生かしたチームができ上がっていくのが胸熱です。好対照のランナー、カケルとハイジの友情にも燃えて萌えます!
駅伝でしか味わえない一体感や高揚感、仲間に託されたタスキを守り抜こうとする使命感が伝わってきて、クライマックスは沿道の観衆になりきり、手に汗握って声援を飛ばしていました。
箱根駅伝を見るたびに思い出す作品。読んだ当時は、正直箱根駅伝に格別の思い入れもなかったですが、読んだ後はガラリと印象が変わりました。
走っている苦しさとか楽しさや美しさ、人との繋がりが丁寧に描かれて、でも颯爽と駆け抜けて、やったぞー!という読後感を味わえる不思議な魅力が溢れています。
3位『まほろ駅前多田便利軒』
#第135回直木賞受賞 #瑛太×松田龍平主演映画の原作
東京郊外に位置するまほろ市在住の多田啓介は便利屋「多田便利軒」の主人。ある時彼のもとに元同級生の行天春彦が転がり込み、奇妙な同居生活がスタートをします。やがて行天は多田の仕事を手伝い始めるのですが……。
東京都町田市がモデルの架空の市、まほろ市を舞台にした便利屋バディもの。共にバツイチで過去に心の傷を負った多田と行天が、町の住人たちから持ち込まれる様々な依頼をこなす中で、お互いを相棒と認め合うようになる過程がエモいです。
ヤクザや風俗嬢などの脇役に至るまで魅力的で、そこに暮らす人々の顔が見えてくる、生き生きした町の描写にハマりました。読み終わる頃にはまほろ市が大好きになっています。バディものが好きな方には自信を持っておすすめしたい小説です。
本当に面白い作品!俺が小説を読むきっかけとなった本だから、おすすめしたいと思った。続編の『まほろ駅前番外地』と『まほろ駅前狂騒曲』も面白いので、あわせて読んでほしい。
4位『月魚』
老舗古書店・無窮堂の真喜志と幼馴染の瀬名垣。古書業界で一目置かれる存在に成長した2人ですが、運命を変えた「あの日」に縛られ続けています。
女性の掌に収まる厚みながら、作者の筆力に圧倒される1冊です。真喜志と瀬名垣が放つ、友情以上の空気に冒頭から引き込まれました。文学的にも下世話にも偏らない、本当にギリギリのラインを突く表現が2人の危ういバランスに重なり、作者の「匂わせ」の巧みさに魅せられます。そして運命の日、幼い瀬名垣の罪を、無窮堂の池に棲むヌシに投影するシーンも秀逸でした。作家の力量とはこういう事をいうのでしょう。静謐な空気に潜む激情に今もぞくぞくします。
この作品は月夜が似合います。ページをめくる音に耳を澄ませる読書をどうぞ。
5位『愛なき世界』
T大研究室で日々葉っぱの細胞を数える本村紗英。植物の研究以上に大切なものがない彼女は、見習いコック・藤丸の告白をあっさりお断り。恋が始まらない恋愛小説です。
研究に関する記述が全体の半分を占める変わった作品ですが、紗英やピュアな藤丸の目を通すと、学術パートでもなぜかほっこりドキドキさせられます。また、この作品は藤丸がいなければ成立しません。植物は感情も思考もない、故に愛がない。けれど「愛のない世界の研究に全てを捧げる、その気持ちを愛っていうんじゃないですか?」と、自分を振った相手にそう言える彼を、産んでくれた作者に感謝です。
研究とはいえ、リケジョのお仕事小説ともいえるこの作品。仕事と俺とどっちが大事論争の新たな切り口になるかもしれません。
6位『神去なあなあ日常』
「林業」に焦点を当てた小説で、この題材で書いたという点が「さすが三浦しをん先生!面白い!」と感じさせてくれました。
『夜話』は前作『日常』の続編ですが、前作と同じくらい面白い!どちらも最高です!!
美人の産地・神去村でチェーンソー片手に山仕事。先輩の鉄拳、ダニやヒルの襲来。しかも村には秘密があって…!?林業っておもしれ~!高校卒業と同時に平野勇気が放り込まれたのは三重県の山奥にある神去村。林業に従事し、自然を相手に生きてきた人々に出会う。
7位『秘密の花園』
繊細に描かれた残酷な心情や言葉に息苦しささえ覚えましたが、その空気感に夢中になりました。
三者三様の「悩み」と向き合う姿には色々考えさせられます。
暴力や安楽、そういったものの感受性が織り成すものに圧倒される。彼女達の本来の「私」は見つかるのだろうか。
同じ歳頃のせいか、感情移入しながら読めただけに、彼女達の抱える感情や問題の大きさを体感した。
途中で作者からぱっと手を離されるような不穏な感じもあった。
私は、なにをしているんだろう。どうしたら「私」でいられるんだろう?カトリック系女子高校に通う、三人の少女、那由多、淑子、翠。性格の異なる三人の「私」は、家族、学校、男たちの中にあって、それぞれが遠いはるかを、しずかに深くみつめている。「秘めごと」をかかえる彼女たちの微笑の裏側の自由。甘やかな痛みの底に眠る潔くも強靱な魂。自分を生き抜いていくために「私」が求めていたことは―。
8位『木暮荘物語』
小田急線の急行通過駅・世田谷代田から徒歩五分、築ウン十年、全六室のぼろアパート木暮荘。そこでは老大家木暮と女子大生の光子、サラリーマンの神崎に花屋の店員繭の四人が、平穏な日々を送っていた。だが、一旦愛を求めた時、それぞれが抱える懊悩が痛烈な悲しみとなって滲み出す。それを和らげ癒すのは、安普請ゆえに繋がりはじめる隣人たちのぬくもりだった…。
9位『あの家に暮らす四人の女』
ですが、杉並区の一画にある洋館内の狭い世界で起きている話であるにもかかわらず、大きな世界観があります。
館を見守るカラスになった佐知のお父さん。彼が館を見守る様子は、何だか笑えて大事が起きてても、小さく見えてしまう不思議さも併せ持っています。
いかにして始まったか、どんな関係なのか、徐々に明らかになる。
女性だったら、誰かの何処かに共感すると思う。主人公とその母のやりとりも面白い。
中盤から意外な展開になり、ページをめくる手が止まらない。読後は、胸に暖かい気持ちが広がった。
ここは杉並の古びた洋館。父の行方を知らない刺繍作家の佐知と気ままな母・鶴代、佐知の友人の雪乃(毒舌)と多恵美(ダメ男に甘い)の四人が暮らす。ストーカー男の闖入に謎の老人・山田も馳せ参じ、今日も笑いと珍事に事欠かない牧田家。ゆるやかに流れる日々が、心に巣くった孤独をほぐす同居物語。
10位『きみはポラリス』
きっといろんな恋の形を積もらせながら、いつか大きな愛につながるのかなと思った。
その途中にいる自分には今ここが不安定で揺らぐけど、きっと大丈夫と思わせてくれる本です。
どうして恋に落ちたとき、人はそれを恋だと分かるのだろう。三角関係、同性愛、片想い、禁断の愛…言葉でいくら定義しても、この地球上にどれひとつとして同じ関係性はない。けれど、人は生まれながらにして、恋を恋だと知っているー。誰かをとても大切に思うとき放たれる、ただひとつの特別な光。カタチに囚われずその光を見出し、感情の宇宙を限りなく広げる、最強の恋愛小説集。
11位『仏果を得ず』
高校の修学旅行で人形浄瑠璃・文楽を観劇した健は、義太夫を語る大夫のエネルギーに圧倒されその虜になる。以来、義太夫を極めるため、傍からはバカに見えるほどの情熱を傾ける中、ある女性に恋をする。芸か恋か。悩む健は、人を愛することで義太夫の肝をつかんでいくー。若手大夫の成長を描く青春小説の傑作。
12位『あやつられ文楽鑑賞』
あなたは、人形浄瑠璃・文楽を知っていますか?え、知らない?大丈夫、ぜったい退屈しない仕掛けが満載!ほお、ご存じですか。でもちょっと待った。あなたの知らなかったことが、こっそりと書かれています。―若き直木賞作家が、いかにして“文楽くん”に恋をし、はまっていったのか。文楽の真髄に迫るべく資料を読み、落語を聞き、突撃インタビューを敢行する愛と笑いに溢れたエッセイ。小説『仏果を得ず』と合わせて読むと、おもしろさ10倍増。
13位『ののはな通信』
横浜で、ミッション系のお壌様学校に通う、野々原茜(のの)と牧田はな。庶民的な家庭で育ち、頭脳明晰、クールで毒舌なののと、外交官の家に生まれ、天真爛漫で甘え上手のはな。二人はなぜか気が合い、かけがえのない親友同士となる。しかし、ののには秘密があった。いつしかはなに抱いた、友情以上の気持ち。それを強烈に自覚し、ののは玉砕覚悟ではなに告白する。不器用にはじまった、密やかな恋。けれどある裏切りによって、少女たちの楽園は、音を立てて崩れはじめ…。運命の恋を経て、少女たちは大人になる。女子の生き方を描いた傑作小説。女子校で出会い、運命の恋を得た少女たちの20年超を、全編書簡形式で紡いだ、女子大河小説の最高峰。
14位『本屋さんで待ちあわせ』
この世界に、本と漫画があるかぎり。本は、ここではないどこかへ通じる道であるー。読書への愛がほとばしる、人気作家の書評とそのほか。思わず書店に走りたくなる情熱的ブックガイド!
15位『天国旅行』
現実に絶望し、道閉ざされたとき、人はどこを目指すのだろうか。すべてを捨てて行き着く果てに、救いはあるのだろうか。富士の樹海で出会った男の導き、命懸けで結ばれた相手へしたためた遺言、前世の縁を信じる女が囚われた黒い夢、一家心中で生き残った男の決意ー。出口のない日々に閉じ込められた想いが、生と死の狭間で溶け出していく。すべての心に希望が灯る傑作短編集。
16位『光』
島で暮らす中学生の信之は、同級生の美花と付き合っている。ある日、島を大災害が襲い、信之と美花、幼なじみの輔、そして数人の大人だけが生き残る。島での最後の夜、信之は美花を守るため、ある罪を犯し、それは二人だけの秘密になった。それから二十年。妻子とともに暮らしている信之の前に輔が現れ、過去の事件の真相を仄めかす。信之は、美花を再び守ろうとするが―。渾身の長編小説。
17位『のっけから失礼します』
雑誌「BAILA」での連載に、紀州パンダ紀行など、とっておきの書き下ろし5本を加えた「構想5年!」(著者談)の超大作(?)エッセイ集。タクシーで運転手さんと繰り広げられる面白トーク、漫画や三代目J Soul Brothers への熱き想い、家族との心温まるエピソード……。ありふれた日常がこんなにも笑い(ときどきほろっと)に包まれているなんて!当代きっての人気作家、三浦しをんワールドが炸裂する、抱腹絶倒の1冊。
18位『しをんのしおり』
「漫画の王国」に生れた小説家の乙女な日常生活。バンドを追っかけ上方へ、愉快な仲間と朝まで語り、わきあがる妄想の楽園に遊ぶ…色恋だけじゃ、ものたりない!なぜだかおかしな日常はドラマチックに展開ー日本の政局も、家族の事件も、人気のTVドラマも、考え始めたらいつのまにかヒートアップ!「読んで楽しく希望が持てる」、笑い出したら止まらない、抱腹微苦笑ミラクルエッセイ。
19位『星間商事株式会社社史編纂室』
川田幸代29歳は社史編纂室勤務。姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、ダイナマイトボディの後輩みっこちゃん、「ヤリチン先輩」矢田がそのメンバー。ゆるゆるの職場でそれなりに働き、幸代は仲間と趣味(同人誌製作・販売)に没頭するはずだった。しかし、彼らは社の秘密に気づいてしまった。仕事が風雲急を告げる一方、友情も恋愛も五里霧中に。決断の時が迫る。
20位『私が語り始めた彼は』
私は、彼の何を知っているというのか?彼は私に何を求めていたのだろう?大学教授・村川融をめぐる、女、男、妻、息子、娘―それぞれに闇をかかえた「私」は、何かを強く求め続けていた。だが、それは愛というようなものだったのか…。「私」は、彼の中に何を見ていたのか。迷える男女の人恋しい孤独をみつめて、恋愛関係、家族関係の危うさをあぶりだす、著者会心の連作長編。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
自分の大好きな一冊、懐かしい一冊、再読してみたくなった一冊、気になってはいたが読めていない一冊など、ランクインしていましたでしょうか?
この記事を読んで新たな作品との出会いのきっかけになればと願っております。
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