『鹿の王』、「守り人」シリーズでお馴染みの大人気ファンタジー作家・上橋菜穂子。壮大な世界観や明快な描写、随所に散りばめられた現実世界とのリンクを感じさせるサブテーマの数々が特徴です。
今回は読書好きの方15名に、Twitter上で上橋菜穂子おすすめの1冊を選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
1位:鹿の王
まさみ
ツオル帝国に捕まり奴隷にされたヴァン。ある時不気味な黒犬の群れが出現し、謎の伝染病が流行。一人生き残ったヴァンは、天涯孤独の幼い少女を拾い、ユナと名付けて育て始めます。
架空の宗教や生活様式の細部に至るまで作り込まれた世界観は読みごたえ抜群で、原始的な大自然と共存する人々の営みが、実際目に浮かんできます。ヴァンとユナの心温まる触れ合い、伝染病の治療法を求めて旅するホッサルの奮闘が交互に語られ、両者が出会うことでどんな波乱が巻き起こるのか想像をかきたてられました。ヴァンとホッサルの合流後に明かされる伝染病の真実には、あっと驚くことうけあい。
登場人物の息吹を感じられる、壮大なファンタジーに浸りたい方は必読です。
MOO
Rainy
受賞 | 2015年本屋大賞受賞/第4回日本医療小説大賞受賞 |
ページ数 | 304ページ |
2位:獣の奏者
リョザ神王国の闘蛇村に暮らす少女エリンは、最愛の母と二人幸せな日々を送っていました。しかし母が闘蛇を死なせた罪で処刑され状況が一変。間一髪逃げ出したエリンは、蜂飼いのジョウンに拾われたのち、母と同じ獣ノ医術師を目指します。
兵器として飼育される大蛇・闘蛇の設定が面白く、迫力満点のバトルシーンにハラハラ。獣と心を通わすエリンの成長も感動的で、養い親のジョウンやイアルとジェシの親子など、孤児の少女を見守り育てる周囲の人々の優しさに心を打たれました。生活様式や身分制度が細部まで作り込まれた世界観には、王道ファンタジーの醍醐味が詰まっています。
作者の力量を感じられる良質のファンタジーをさがしている方は必読です。
国の陰謀に巻き込まれながらも、懸命に戦うエリンに思わず目頭が熱くなります。小学生の子たちにぜひ読んでもらいたいなぁ!
ページ数 | 360ページ |
3位:精霊の守り人
女用心棒・バルサは新ヨゴ皇国第二皇子・チャグムを偶然助けたことがきっかけで、その母・二の妃に息子の護衛を依頼されます。チャグムは精霊の卵を身に宿して生まれたせいで、父王に命を狙われているらしく……。
言動は少々ガサツなものの、天下無双の短槍の達人で、頼まれた仕事は最後までやり遂げるバルサがとにかくかっこいい!父王が差し向ける刺客や魔物からチャグムを守り旅を続けるうちに、母子のような師弟のような、固い絆で結ばれていくのが印象的でした。最初はひ弱だったチャグムの成長ぶりは必見。バルサに身も心も鍛えられた彼の終盤の活躍には、胸を揺さぶられます。
男より男前な女主人公が出てくるファンタジーをお探しの方は、ぜひ読んでください。
この本に限らず、上橋先生の著作は限りなくリアルなファンタジーを求める方におすすめ。
受賞 | 第34回野間児童文芸新人賞受賞 |
ページ数 | 360ページ |
4位:狐笛のかなた
小夜は12歳。人の心が聞こえる“聞き耳”の力を亡き母から受け継いだ。ある日の夕暮れ、犬に追われる子狐を助けたが、狐はこの世と神の世の“あわい”に棲む霊狐・野火だった。隣り合う二つの国の争いに巻き込まれ、呪いを避けて森陰屋敷に閉じ込められている少年・小春丸をめぐり、小夜と野火の、孤独でけなげな愛が燃え上がる…愛のために身を捨てたとき、もう恐ろしいものは何もない。野間児童文芸賞受賞作。
(Amazon商品説明より)
作者はあとがきで
「私の心の底にある〈なつかしい場所〉の物語」
と述べているが、私も読みながら、その懐かしさを共有できた気がする。
ハッピーエンドに違和感を覚えがちだった当時の私に衝撃を与えてくれた物語です。
1冊完結なので、初めて読むには特におすすめです!
私のイチ推しです。
受賞 | 第42回野間児童文芸賞受賞 |
ページ数 | 392ページ |
5位:闇の守り人
女用心棒バルサは、25年ぶりに生まれ故郷に戻ってきた。おのれの人生のすべてを捨てて自分を守り育ててくれた、養父ジグロの汚名を晴らすために。短槍に刻まれた模様を頼りに、雪の峰々の底に広がる洞窟を抜けていく彼女を出迎えたのは―。バルサの帰郷は、山国の底に潜んでいた闇を目覚めさせる。壮大なスケールで語られる魂の物語。読む者の心を深く揺さぶるシリーズ第2弾。
(Amazon商品説明より)
大切だけれど、素直に話せないこともたくさんあった。
ぶつけた言葉もたくさんあった。
大人になって気づいた、あなたの存在。
闇の中、そんな故人とあなたはどう向き合いますか?
無言で戦っているのに、槍を合わせることに次第に分かり合っていくという、師弟のやり取りがすごく感動的でした。
受賞 | 第40回日本児童文学者協会賞受賞 |
ページ数 | 387ページ |
6位:鹿の王 水底の橋
伝説の病・黒狼熱大流行の危機が去った東乎瑠帝国では、次の皇帝の座を巡る争いが勃発。そんな中、オタワルの天才医術師ホッサルは、祭司医の真那に誘われて恋人のミラルと清心教医術発祥の地・安房那領を訪れていた。そこで清心教医術の驚くべき歴史を知るが、同じころ安房那領で皇帝候補のひとりの暗殺未遂事件が起こる。様々な思惑にからめとられ、ホッサルは次期皇帝争いに巻き込まれていく。『鹿の王』、その先の物語!
(Amazon商品説明より)
上橋菜穂子さんの作品の魅力は「生きた物語」であると、私は勝手に思ってます。
人物の身近な動きから国や組織の大きな動きまで、深く深く書かれており、物語世界を、人を、文字だけでリアルに感じることができます。
ホッサルの医師としての信念。
ミラルへの想い。オタワル王国。
始祖の血を引く跡取りとしての葛藤。
そして清心教医術師によるオタワル。
医術の排除にどう立ち向かうのか。
最後まで読み応えがあって楽しめた。
ページ数 | 464ページ |
7位:天と地の守り人
大海原に身を投じたチャグム皇子を探して欲しい―密かな依頼を受けバルサはかすかな手がかりを追ってチャグムを探す困難な旅へ乗り出していく。刻一刻と迫るタルシュ帝国による侵略の波、ロタ王国の内側に潜む陰謀の影。そして、ゆるやかに巡り来る異界ナユグの春。懸命に探索を続けるバルサは、チャグムを見つけることが出来るのか…。大河物語最終章三部作、いよいよ開幕。
(Amazon商品説明より)
チャグムの国を背負う者としての覚悟と、バルサの前で見せる「変わらないチャグム」とのバランスが絶妙。
感動とシリーズが終わる寂しさとが入り交じって涙が止まりません。
ページ数 | 381ページ |
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
自分の大好きな1冊、懐かしい1冊、再読してみたくなった1冊、気になってはいたが読めていない1冊などはランクインしていましたか?
この記事が新たな作品との出会いのきっかけになればと願っております。
他にもたくさんの作家さんのまとめ記事があるので、ぜひ覗いてみてください!
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