『仮面病棟』の映画化、本屋大賞2年連続ノミネートで人気急上昇中のミステリー作家・知念実希人。現役の内科医であることから、その圧倒的な医療知識をふんだんに盛り込んだ「ミステリー×医療」の作風が特徴的。登場する専門用語は分かりやすく説明されているので医療に明るくない読者でも非常に読みやすい作品ばかりです。
今回は読書好きの方23名に、Twitter上で知念実希人おすすめの1冊を選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
目次
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・仮面病棟
・硝子の塔の殺人
・優しい死神の飼い方
・ムゲンのi
・天久鷹央の推理カルテ
知念実希人作品の選び方を3パターンご紹介!
今最も勢いのある作家・知念実希人。現役の医師でありながらその刊行ペースはとても早く、医師ならではの工夫を凝らした医療ミステリー小説などで人気を博しています。こちらではそんな知念実希人の作品の選び方を3パターンご紹介します。
デビュー作から読む知念実希人作品
知念実希人は第4回ばらのまち福山ミステリー文学賞を受賞して作家デビュー。こちらの賞は本格ミステリーの大家・島田荘司が選考委員を務める長編推理小説を対象とした新人賞です。
知念実希人はこの賞を『誰がための刃 レゾンデートル』(文庫化で『レゾンデートル』に改題)で受賞しました。作品について島田荘司は「背後に存在する深い医学的知見に都度圧倒される」とコメントしています。
「レゾンデートル」とはフランス語で「自分が生きるための理由」や「存在価値」という意味があります。まさにこの小説はそういった「人間の存在価値」を問う物語でもあり、末期がんの医師と連続殺人鬼という異色の組み合わせが楽しめる非常にスリリングな内容となっています。
知念実希人作品に初めて触れる人におすすめの1冊です。
シリーズもので読む知念実希人作品
長くシリーズものを追いかけたい人におすすめなのが、「天久鷹央の推理カルテ」シリーズです。2021年10月時点で12巻も刊行されている人気作で、知念実希人の真骨頂である「医療×ミステリー」を存分に味わえます。
ライトな文体と語り口、主人公の内科医と、アスペルガー症候群だけれど天才的な頭脳を持つ女医との掛け合いも読みどころです。本シリーズは、医学の知識がなくてももちろん楽しめますし、逆に医学の知識がないからこそ、人体の不思議などに驚愕することができます。
また、イラストを『涼宮ハルヒの憂鬱』でお馴染みの「いとうのいぢ」が担当しているのも、若い世代に受け入れられやすいのではないでしょうか。
ドラマ化で読む知念実希人作品
知念実希人の作品は映像化もいくつかされていますが、その中から2019年にBSテレ東でドラマ化された『神酒クリニックで乾杯を』を紹介したいと思います。とあることがきっかけで「神酒クリニック」に勤めることになった主人公が、医療行為だけではなく探偵まがいのこともさせられる物語です。
ドラマの出演は、主人公の九十九勝巳を三浦貴大が、院長の神酒章一郎を安藤政信が、産婦人科医兼小児科医の夕月ゆかりを松本まりかが演じており、各話ごとのゲスト俳優が豪華なことでも話題を呼んでいました。ゲストは例えば、山村紅葉など2時間サスペンスの女王から、演歌歌手の小林幸子などが出演していました。
角川文庫では表紙にアニメ調のイラストが使われており、中の登場人物の紹介にもイラストが使われています。ドラマの俳優さんたちと比べて読むのも楽しいかもしれません。
知念実希人おすすめ小説ランキング
1位『仮面病棟』
#坂口健太郎主演映画の原作
まさみ
外科医の速水秀悟が当直バイトを務めた晩、ピエロの仮面をかぶった強盗が病院に籠城。彼は自分が撃った女性の治療を要求し、速水がこれを請け負うことになるのですが、脱出の手立てを模索するうちに病院の秘密が暴かれ……。
二転三転する展開から目が離せないミステリー。巨大密室と化した病院から逃げ出せるのか、速水の悪戦苦闘ぶりにハラハラ。恋愛パートと推理要素の絡め方も上手く、先入観を裏切る真犯人の正体には驚愕です。難しい専門用語も丁寧に説明されているのでハードルを感じません。クセモノぞろいの患者と医者、互いの仮面が剥がれる瞬間のカタルシスは最高です。面白い医療ミステリーをさがしてる方はぜひ。
ぽけまま
医師でもある作者の豊富な医療知識と、謎解きのワクワクドキドキがとても面白いです♪
ラマンボ
正直犯人はこの人だろうな、という予想は割と早い段階からついてて、「あ、やっぱり!」ってなったけど、先が読めない展開もあって、面白かった。
2位『ムゲンのi』
トリプルート
上下構成の小説は初めてでしたが、あっという間に読み終えられました!
「医療×ミステリー×ファンタジー」のトリプルパンチがとても新鮮で、かつ非常に読み応えのある作品だと思います。
タイトルの深さにも驚かされました。さすが小説家、知念先生です!
奏
読んでいる間、涙が止まらず、心が震える様な感覚を覚えました。これ程までに衝撃を受けた本にはなかなか出会えないと思います。
愛に満ちた物語だと感じました。読了後、タイトルがぐっと来ます。まだ読んでいない方は、是非とも読んで頂きたいです。
鈴蘭's
奇病イレスに挑む若き女医の戦いと、うさぎ猫のククルと共に夢幻の世界へと旅立つ愛(i)に満ちた壮大なミステリー。
とにかくククルの存在が愛しくてたまらないです!ラスト涙腺崩壊怒涛の展開へ誘(いざな)われます。知念先生の超大作の作品、おすすめです!
眠りから醒めない四人の患者、猟奇的連続殺人、少年Xの正体。すべては繋がり、世界は一変する。一気読み必至、感動の結末。
3位『優しい死神の飼い方』
死んだ人間の魂を導くのが仕事の「死神」が業績不良によってホスピスに左遷させられる、そしてその姿は「犬」という皆に優しいファンタジーです。
自らを高位の精神体と断じつつ、ちょっと天然な死神のキャラクターは、伊坂幸太郎『死神の精度』と重なります。ただしあちらが愛すのは「ミュージック」でこちらは「しゅうくりいむ」。死者が未練によって地縛霊化するのを防ぐのが任務ですが、人間と関わるうちに変化していく死神の心情に胸が熱くなります。
患者たちの魂を守ろうと戦うアクション作品の要素もあり、エンターテイメントに振り切った読書をしたい方におすすめです。動物好きなら最初の1行で、漱石ファンなら6行で心を掴まれる、掟破りのプロローグも楽しんでください。
ゴールデンレトリバーの死神という設定に惹かれ、私が初めて読んだ知念さんの本。ホロリとしたり笑ったりですが、何より死神のレオをもふもふしたくなる…!読後感も良い1冊でした。にゃんこな続編『黒猫の小夜曲』もおすすめ!
4位『崩れる脳を抱きしめて』
#第8回広島本大賞 #第4回沖縄書店大賞 #第1回一気読み大賞
研修医の碓氷は赴任先のホスピスで28歳のユカリを担当します。彼女の病名は脳腫瘍。これは余命数ヶ月の彼女と過ごした1ヵ月とその少し後のお話です。
父親に捨てられた過去に囚われる碓氷がユカリに抱いた想い、それは彼が初めて知った本当の恋でした。命のタイムリミットを抱えて恋は始まるのか、2人がたどる慟哭と共鳴の過程が見所です。そして第2章、物語は恋愛からミステリーへ急転調。謎の正体は秘密ですが、何回返されたか数え切れないどんでん返しの連続に、天地が分からなくなるほどクラクラします!
この作品はテンプレートな物語ではもう満足できない方におすすめ。作者のファンならご存知、あのモフモフの死神がちょっとだけ出演するおまけ付きです。
恋愛とミステリーと医療の融合。後半、怒涛のように明らかになる真相にページをめくる手が止まりませんでした。タイトルの意味がわかったとき、はっとしたと同時に感動!恋愛小説としてもミステリー小説としても好きです。
5位『誰がための刃 レゾンデートル』
デビュー作とは思えない作品。場面展開のうまさにグイグイ引き込まれ、気づいたら読み終わっていました。
主人公がとにかく格好良く、そして主人公たちの切なく悲しい運命に泣けました。病が徐々に進行していく様子がリアルに描写されていて、痛みが伝播していくようでした。
知念実希人さんのデビュー作。後半のどんでん返しがたまらない!
ハードボイルドでなかなかスリルのある作品。最後の展開が感動的です。
自らが末期癌に冒されていることを知った若手の外科医、岬雄貴。自暴自棄となった彼は体を鍛え上げ街の不良を襲撃した!それがきっかけで連続殺人鬼「ジャック」と接触を持った雄貴は、彼の思想に感化されその共犯者に。が、暴漢に襲われていたところを偶然助けた少女、沙耶と心を通わすうちに自らの行動に苦悩し始める…。「ジャック」はなぜ殺人を繰り返すのか、少女はなぜ追われるのか!?残り少ない命をかけ、雄貴は少女のために戦いを挑む。
6位『神酒クリニックで乾杯を』
知念実希人は現役の医師なので、医療が関わる小説をたくさん書いています。
しかし、本作は医療に重ねて殺人事件が絡んできます。殺人事件は医師が首を突っ込んでいい領分ではないと思います。好奇心旺盛で、普通の組織で働くことができない医者たちばかりが揃っているのが「神酒クリニック」。
「冒険」と称して好奇心の赴くままに殺人事件に関わっていきます。そんな医師たちの、規格外の活躍をお楽しみください。
医療事故で働き場所を失ってしまった外科医の九十九勝己は、知人の勧めで「神酒クリニック」で働くことに。そこでは院長の神酒章一郎を初め、腕は立つが曲者の医師達が、世間に知られることなくVIPの治療を行っていた。彼らに振り回されつつも、新しい職場に慣れていく勝己。しかし神酒クリニックには彼が知らない裏の顔が。秘密のクリニックで勝己が請け負う「仕事」とは!?
7位『硝子の塔の殺人』
歴代のミステリーに対するうんちくと愛情にあふれた1冊です。
アガサ・クリスティーやエドガー・アラン・ポーなど、本格ミステリーの黄金時代を彩った作家たちや、ミステリーの始祖への敬愛がとても感じられます。
知念実希人が挑戦する本格ミステリーの舞台は、山奥にたたずむ「硝子の塔」。下界から隔絶された世界で物語が繰り広げられるので、クローズドサークルものとしても読むことができます。
これでもかと本格ミステリーの要素が詰め込まれており、ミステリー初心者にはもちろんのこと、綾辻行人、有栖川有栖のような論理詰めと、派手なトリックが好きな人には特におすすめです。
雪深き森で、燦然と輝く、硝子の塔。地上11階、地下1階、唯一無二の美しく巨大な尖塔だ。ミステリを愛する大富豪の呼びかけで、刑事、霊能力者、小説家、料理人など、一癖も二癖もあるゲストたちが招かれた。この館で次々と惨劇が起こる。謎を追うのは名探偵・碧月夜と医師・一条遊馬。
8位『天久鷹央の推理カルテⅡ』
ラスト泣いた…。戸惑いながらもなんとか健太くんに向き合う鷹央先生と、その鷹央先生を支える小鳥遊先生のコンビが最高すぎる!
探偵役の超人、天久鷹央の成長が大きくみえる部分を推します。
炭酸飲料に毒が混入された、と訴えるトラック運転手。夜な夜な吸血鬼が現れる、と泣きつく看護師。病室に天使がいる、と語る少年。問題患者の巣窟たる統括診断部には、今日も今日とて不思議な症例が舞い込んでくる。だが、荒唐無稽な事件の裏側、その“真犯人”は思いもよらない病気で…。破天荒な天才女医・天久鷹央が“診断”で解決する新感覚メディカル・ミステリー第2弾。
9位『黒猫の小夜曲』
黒猫のクロが可愛い!「黒猫の小夜曲」っていうタイトルが素敵ですよね。本当にこの本にぴったり!
1つ1つの事件が最後、1つに繋がっていくので、ドキドキハラハラ、泣いて笑って。読み出したら本当に止まらないです。
犯人には、驚きました!!
黒毛艶やかな猫として、死神クロは地上に降り立った。町に漂う地縛霊らを救うのだ。記憶喪失の魂、遺した妻に寄り添う夫の魂、殺人犯を追いながら死んだ刑事の魂。クロは地縛霊となった彼らの生前の未練を解消すべく奮闘するが、数々の死の背景に、とある製薬会社が影を落としていることに気づいて―。迷える人間たちを癒し導く、感動のハートフル・ミステリー。
10位『時限病棟』
スピード感があり一気読み必至!過去の事件の真実や登場人物の関係性が気になりますよ。真相を推理しながら読んでみてください。
前作の『仮面病棟』が映画化されたのでこっちも映画化希望!怖くて見れなそうだけど…(笑)。
目覚めると、彼女は病院のベッドで点滴を受けていた。なぜこんな場所にいるのか? 監禁された男女5人が、拉致された理由を探る……。ピエロからのミッション、手術室の男、ふたつの死の謎、事件に迫る刑事。タイムリミットは6時間。謎の死の真相を掴み、廃病院から脱出できるのか!?
11位『十字架のカルテ』
精神鑑定ってなかなか物差しが難しく、断定しにくいナイーブなところですが、真剣に向き合う影山さんの熱意や、助手の凛さんの過去にどんどん引き込まれていきます!
心の闇を暴くミステリーの新境地!罪を犯した本当の理由とは―精神鑑定医・影山司が繰り広げる、究極の頭脳戦。
12位『傷痕のメッセージ』
ことは、千早の父親が亡くなり、遺言通りに解剖してみると謎のメッセージが胃壁に刻まれていることを千早自身が発見することから始まります。
それは28年前に起きた事件に関わるものなのですが、父親が亡くなった日に28年前の事件と酷似した事件が発生してしまうのです。
過去を掘り起こしつつ物語は進むのですが、千早と、同僚の病理医・紫織がいいコンビで、千早のネガティブさを紫織が上手くカバーしていきます。そこにかつての父親の仕事仲間・桜井も加えて、3人で事件解決へと進んでいきます。
千早の父親が生前に言った、「たんに血が繋がっているからといって、親子になれるわけじゃない」というセリフは、グッとくるものがありました。
「死んだらすぐに遺体を解剖して欲しい――」医師の千早が父の遺言に従い遺体を解剖すると胃の内壁に暗号が見つかった。28年前、連続殺人事件の犯人を追うため父が警察をやめたことを知った千早は、病理医の友人・紫織と協力して、胃に刻まれた暗号を読み解こうとする。時を同じくして28年前の事件と酷似した殺人事件が発生。現在と過去で絡み合う謎を、千早と紫織の医師コンビが解き明かす!
13位『螺旋の手術室』
謎と医療が上手く絡まれてあって凄く良かったです。ラストの展開がとても好みでした!
純正会医科大学附属病院の教授選の候補だった冴木真也准教授が、手術中に不可解な死を遂げた。彼と教授の座を争っていた医師もまた、暴漢に襲われ殺害される。二つの死の繋がりとは。大学を探っていた探偵が遺した謎の言葉の意味は。父・真也の死に疑問を感じた裕也は、同じ医師として調査を始めるが…。「完全犯罪」に潜む医師の苦悩を描く、慟哭の医療ミステリー。
14位『レフトハンド・ブラザーフッド』
描写がとてもリアルな青春小説です。
作中では殺人事件の容疑者になってしまう岳士や、その濡れ衣を晴らすために関わった怪しいドラッグ「サファイア」などのギミックが登場するのですが、著者が現役の医師のため、薬物についての描き方が真に迫るものがあります。
本作の一番の読みどころは海斗と岳士の「兄弟愛」です。ラストの兄からの手紙には感涙し、海斗が兄として岳士に注いだ無償の愛にあなたはきっと胸打たれることと思います。
事故をきっかけに左手に亡き兄・海斗が宿った高校生の岳士。兄の存在を消す治療を拒否し東京に逃げる道中で殺人事件に巻き込まれる。
15位『神のダイスを見上げて』
刻一刻と最期が迫って来る中で、弟が姉を殺害した犯人を探し出し、復讐するというタイムリミットもののサスペンスで、人間の本質が見える小説。
本作の一番の魅力は、時間が限られているという設定でしょう。あと5日で最期を迎えるかもしれないという緊迫感の中で展開される、推理・青春はとても読み応えがあります。
あと数日で自分の命が終わるかもしれないというときに、私たちは愛する人のために行動することができるのか。そんなことを考えながら読むのもいいかもしれません。
二〇二三年十月、小惑星ダイスが地球に接近。人類滅亡の恐怖に世界が混乱する中、亮の姉・圭子が殺された。
残された五日間で復讐を決意した亮は、謎の同級生・美咲の助けを得て、犯人を追うことに。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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この記事が新たな作品との出会いのきっかけになればと願っております。
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