お仕事エンタメ小説で右に出る者はいない直木賞作家・池井戸潤。半沢直樹シリーズや下町ロケットシリーズなどドラマ化されお茶の間でも多くの支持を集めている作品ばかり。業界モノの話が好きな方、様々な人間模様が繰り広げられる物語を読みたい方必見です。
今回は読書好きの方14名に、Twitter上で池井戸潤おすすめの1冊を選んでいただきました。その結果をランキング形式でご紹介します。
目次
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・民王
・下町ロケット
・アキラとあきら
・陸王
・半沢直樹
池井戸潤作品を読むおすすめの順番とその理由を解説!
池井戸作品にまったく触れたことがないというあなたは、まず『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』の半沢シリーズから読み始めることをおすすめしたい。
分かりやすい正義と悪が存在しており、謎解き要素も含まれているためとにかく楽しく、読みやすい。
2冊読んでハマったら、もう誰かに勧められなくとも『ロスジェネの逆襲』と『銀翼のイカロス』を貪り読み始めるだろう。
半沢シリーズを制覇したら、次に読みたいのが
- 『花咲舞が黙ってない』
- 『下町ロケット』
- 『アキラとあきら』
- 『ノーサイド・ゲーム』
- 『陸王』
の5冊。
この5冊に共通しているのは、半沢と同じく「正義が日の目を見るスッキリ感」が感じられ、明るい気持ちで楽しめることである。
ここまで来るとあなたはもう池井戸潤の見せてくれる痛快小説の虜になっていることだろう。
また、『かばん屋の相続』『シャイロックの子供たち』『七つの会議』については、上記で紹介した他の作品と比べると若干重苦しい現実に向き合わされる印象を受ける。
池井戸潤の作品はどれも銀行要素が絡んでくることが多く、これは彼自身が銀行員として勤めた経験に基づいていると言われている。
銀行、即ち「金」が絡むと、世の中決して楽しいことばかりではなく非情で残酷な現実も見えてくるものだ。
この3作品についてはそんな暗い要素も含めて魅力となっているので、楽しい作品を満喫した後に覗いてみることをお勧めする。
池井戸潤のおすすめ小説10選
ここからは、読書好きの方々がおすすめする池井戸潤の小説をランキング形式で11作品紹介していきます。
1位『陸王』
役所広司主演ドラマの原作
まさみ
赤字経営に苦しむ老舗足袋業者「こはぜ屋」。社長の宮沢は起死回生の秘策として、足袋作りのノウハウを生かしたランニングシューズ開発に乗り出します。
足袋業者の知恵と技術にランニングシューズの最前線が交差する、最高に熱い小説。時代遅れの烙印をおされた宮沢たちが、それでも自分たちの仕事に矜持を持ち、良いものを作り上げようとする姿勢に胸が熱くなりました。資金難や素材探しなど、次々に立ち塞がる困難を打破し、一歩一歩成功に近付いていく様子には胸が躍ります。プロジェクトチームと現場のすれ違い、チーム間の衝突にハラハラしたぶん、最高傑作を完成させた瞬間の喜びはひとしお。
読後はマラソンでゴールしたような、爽快感に浸れました。
ともも
ラマンボ
失敗や挫折を衝突しながらも、みんなで一丸となって一つのモノを作り上げていこうとするのがほんとに熱い…!
hikari
仕事に誠心誠意打ち込む姿、みんなの絆に感動しました。何度でもみたい作品。
2位『下町ロケット』
第145回直木賞受賞
まさみ
研究者の道を断念し、家業の町工場を継いだ佃航平。経営は順調だったものの、ある時商売敵の大手メーカーに因縁をふっかけられ、取引先を失ってしまいます。
町工場からロケットを飛ばす夢に賭けた、熱く一途な男たちの戦いの記録。主人公・航平や工場で働く人々がとても人間臭く魅力的で、大企業の理不尽な要求やプレッシャーに抗い、血と汗と涙の結晶である特許を守り抜く姿を応援したくなりました。航平の成功を信じて支え続けた、家族愛にも泣かされます。男の矜持と職人の技術、そこに研究者の知恵が結集して成し遂げた逆転劇は、大変感動的でした。
組織に抑圧されているサラリーマンは、本作を読んでスカッとするはず。
金のシャチホコ
中小企業ながら世界に誇れる技術を社員たちと奮闘しながら高めていく、広めていくところに夢とロマンを感じます。「下剋上的」ストーリーが好みの人におすすめ。
3位『七つの会議』
ページをめくる手が止まらなかった本!
悪者が成敗されるシーンはとても清々しい。人間の弱さと強さの描写が繊細すぎてハラハラドキドキ。
正義とは何かを改めて考えさせられました。企業の裏事情・汚い側面を覗いてみたい人におすすめです。
きっかけはパワハラだった!トップセールスマンのエリート課長を社内委員会に訴えたのは、歳上の部下だった。そして役員会が下した不可解な人事。いったい二人の間に何があったのか。今、会社で何が起きているのか。事態の収拾を命じられた原島は、親会社と取引先を巻き込んだ大掛かりな会社の秘密に迫る。ありふれた中堅メーカーを舞台に繰り広げられる迫真の物語。
4位『ロスジェネの逆襲』
銀行で働くサラリーマンの話。人は何の為に、誰の為に働くのかを問いかけながら、世の中のサラリーマン達を応援してくれる一冊です。
企業買収の裏事情に興味がある人におすすめ!
子会社・東京セントラル証券に出向した半沢直樹に、IT企業買収の案件が転がり込んだ。巨額の収益が見込まれたが、親会社・東京中央銀行が卑劣な手段で横取り。社内での立場を失った半沢は、バブル世代に反発する若い部下・森山とともに「倍返し」を狙う。
5位『アキラとあきら』
竹内涼真×横浜流星主演映画の原作
零細工場の息子・山崎瑛と大企業の御曹司・階堂彬。生まれも育ちも違う2人は共に銀行に就職。良きライバルとして切磋琢磨する中、大きな試練が降りかかります。
同じ名前を持ちながら正反対の人生を歩んできた青年たちの対決と、そこから共闘に至る流れに胸が熱くなりました。ハングリー精神と優しさを併せ持った瑛の生き様が眩しい一方、クールさの中に熱い情熱を秘めた、彬の人間性も素晴らしい。双方ともに幸せとは言い難い子供時代のエピソードをしっかり掘り下げているので、どちらにも全力で感情移入してしまいました。瑛が飼い犬を置き去りにするシーンは涙腺崩壊です。
銀行員を主人公に据えたエンタメ経済小説としても読みごたえ抜群。
経営再建など経済を中心に描きつつ、正反対な環境で育った2人が逆境や困難を乗り越えて行く。最後はニヤリとしてしまう700ページ超えの大作です。運命に翻弄されつつも強く生きる「強い主人公」が好きな人はぜひ!
結構分厚い本でしたが、あまりにも面白くって一気に読みすすめられました。経済のことをあまり知らない人でも十分楽しめます!
6位『ノーサイド・ゲーム』
ラグビーW杯のときに読んだら、かなりラグビーのことが分かるようになった!
ラグビーが好きな人や、企業倫理と正義の間で悩むサラリーマンに共感できるという人におすすめ。
未来につながる、パスがある。大手自動車メーカー・トキワ自動車のエリート社員だった君嶋隼人は、とある大型買収案件に異を唱えた結果、横浜工場の総務部長に左遷させられ、同社ラグビー部アストロズのゼネラルマネージャーを兼務することに。かつて強豪として鳴らしたアストロズも、いまは成績不振に喘ぎ、鳴かず飛ばず。巨額の赤字を垂れ流していた。アストロズを再生せよ―。ラグビーに関して何の知識も経験もない、ズブの素人である君嶋が、お荷物社会人ラグビーの再建に挑む。
7位『花咲舞が黙ってない』
半沢直樹シリーズとはまた違った視点で描く「出る杭は打たれても反り返す」な池井戸節のバンカー女の熱い姿。
各種短編を揃えてドラマ化もされてるので、シリーズまとめて楽しめるのもポイント!
働く強いオンナが活躍するストーリーが好みの人や、銀行一般職の裏事情を知りたい人におすすめです。
その日、東京第一銀行に激震が走った。頭取から発表されたライバル行との合併。生き残りを懸けた交渉が進む中、臨店指導グループの跳ねっ返り・花咲舞は、ひょんなことから「組織の秘密」というパンドラの箱を開けてしまう。隠蔽工作、行内政治、妖怪重役…このままでは我が行はダメになる!
8位『シャイロックの子供たち』
近年の池井戸さんの作品のような勧善懲悪ものではないため、それを期待すると戸惑いを覚えるかもしれません。
しかし、登場人物ひとり一人の生き様や人間くさい欲望・葛藤が巧みに描かれているので心を揺さぶられます。
池井戸さんの文才を堪能できる作品です。長編小説より短編小説が読みやすくて好きという方はぜひ。
ある町の銀行の支店で起こった、現金紛失事件。女子行員に疑いがかかるが、別の男が失踪…!?“たたき上げ”の誇り、格差のある社内恋愛、家族への思い、上らない成績…事件の裏に透ける行員たちの人間的葛藤。銀行という組織を通して、普通に働き、普通に暮すことの幸福と困難さに迫った傑作群像劇。
9位『空飛ぶタイヤ』
長瀬智也主演映画の原作/第28回吉川英治文学新人賞受賞
トラックが起こした死亡事故の責任を負わされたのは個人運送会社社長の赤松。彼は社員を信じ、製造メーカーのリコール隠しを暴くため、巨大企業に1人立ち向かいます。
隠ぺいに終始するメーカーの内情は、実際の事件をベースにしているだけあって非常にリアルです。そして身を切るように染みてくるのが銀行と取引先に去られ、世間の白い目に耐える赤松の孤独。企業あるあるだと、斜に構えることも読者にはできますが、赤松は逃げません。彼が戦うのは、自分と家族と社員の名誉のため。何ともかっこいい男にしびれる一冊です。
どうか赤松と一緒にボロボロになって、ラストのカタルシスまで走り切ってください。何のために働いているんだっけ、と迷う日に手に取ってほしい物語です。
10位『かばん屋の相続』
オリジナルの短編が6作収録されています。それぞれテイストが全く違っていて、どの話もとてもおもしろかったです。
短編集なので、通勤時間などのスキマ時間にサクッと読めるのも魅力。
ファンはもちろん、初めて池井戸作品を読む方にもおすすめです。
池上信用金庫に勤める小倉太郎。その取引先「松田かばん」の社長が急逝した。残された二人の兄弟。会社を手伝っていた次男に生前、「相続を放棄しろ」と語り、遺言には会社の株全てを大手銀行に勤めていた長男に譲ると書かれていた。乗り込んできた長男と対峙する小倉太郎。父の想いはどこに?
11位『半沢直樹 アルルカンと道化師』
『オレたちバブル入行組』『オレたち花のバブル組』『ロスジェネの逆襲』『銀翼のイカロス』に跨って大活躍をした主人公、半沢直樹の過去をたどる物語。
「バブル入行組」以来、着々と出世を重ねる半沢に比例して、物語のスケールも大きくなる傾向が見られた。本作については、案件のスケールに頼らない分リアリティを感じやすい仕上がりとなっている。
一方で正義が悪を斬るいつもの構図とラストにかけての痛快感は、他の半沢シリーズにまったく引けを取らない。
『俺たちバブル入行組』で自分の事しか考えない中小企業経営者を斬り、『オレたち花のバブル組』では古い慣習にしばられる老舗ホテル経営者を立ち直らせ、『ロスジェネの逆襲』で自分の都合で優秀なベンチャーを喰い殺そうとする巨大IT勢力に立ち向かい、『銀翼のイカロス』でついに航空業界と政治の闇を暴いた半沢。
本作では「美術」という新たな業界において、いつもの切れ味を遺憾なく発揮しており、半沢直樹の新たな一面、そして変らない正義と向き合う姿勢を楽しむことができる。
ドラマ「半沢直樹」にハマりすぎて、もう一度半沢ワールドに浸かりたい人にぜひ読んでいただきたい。
東京中央銀行大阪西支店の融資課長・半沢直樹のもとに、とある案件が持ち込まれる。大手IT企業ジャッカルが、業績低迷中の美術系出版舎・仙波工藝社を買収したいというのだ。大阪営業本部による強引な買収工作に抵抗する半沢だったが、やがて背後にひそむ秘密の存在に気づく。有名な絵に隠された「謎」を解いたとき、半沢がたどりついた驚愕の真実とは―。
12位『オレたち花のバブル組』
「伊勢島ホテル」の再建策を命じられた半沢の奮闘と、その最中に迎える金融庁検査での黒崎と対峙が見物です!
小説の方が細かい描写が多く、ドキドキさせられて一気に読んでしまいます!
「バブル入社組」世代の苦悩と闘いを鮮やかに描く。巨額損失を出した一族経営の老舗ホテルの再建を押し付けられた、東京中央銀行の半沢直樹。銀行内部の見えざる敵の暗躍、金融庁の「最強のボスキャラ」との対決、出向先での執拗ないじめ。四面楚歌の状況で、絶対に負けられない男達の一発逆転はあるのか。
おわりに
最後まで読んでいただきありがとうございました。
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この記事が新たな作品との出会いのきっかけになればと願っております。
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