森鴎外おすすめ作品10選【明治のエリートが築いた近代文学の巨塔】

森鴎外『山椒大夫』

中世の説経節「五説経」のうちの1つ「さんせう大夫」を元に、1915年『中央公論』に発表された森鷗外の小説。

筑紫に向かったのち行方不明となった父を探すべく、一家は母と娘の安寿、その弟であり中心人物である厨子王(のちの正道)と乳母の4人で、旅にでる。

旅の途中、一家は人買いに騙され、姉と弟は丹後へ。

母と乳母は佐渡へ引き離されてしまう。

丹後の大金持ちの山椒大夫の元で奴隷同然の扱いを受けて奉公することになった姉弟は、逃亡を画策したとして、額に烙印を押されたり、こき使われるなど苦難を強いられる。

山椒大夫の元で暮らすうちに安寿は様変わりして無口になっていき、厨子王は悲しむ。

ある日、機転のきく姉の手引きで一緒に山へ芝刈りにいく厨子王に姉から思ってもみなかった脱出計画を知らされる・・・

歴史的な言葉遣いや単語が随所に見られるが、フリガナも打たれているので、辞書なしでも読める内容となっている。

その後二人は行方不明の父を見つけることができたのか。

あるいは佐渡へ渡った母の消息は…物語の結末は実際に読んで確かめていただきたい。

森鴎外『寒山拾得』

1916年『新小説』に発表された森鴎外の短編小説。

鷗外晩年の作品である。

今でいう知事の職についている主人公が、ようやく会うことが叶う伝説の聖人・寒山と拾得に大笑いされてしまうという結末は、退官前の鷗外の境涯を投影した作品とされている。

また鷗外自身は後著の『寒山拾得縁起』の中で、

「私は丁度其時、何か一つ話を書いて貰ひたいと頼まれてゐたので、子供にした話を、殆其儘書いた。いつもと違て、一冊の參考書をも見ずに書いたのである」

と書いているが、今日の鷗外研究では、元となる書物があるとされている。

また寒山拾得は中国唐代の仙人であり、文学や美術作品の中にも度々登場するモチーフである。

まだ未読であれば、ぜひ寒山拾得の人物像や説話を予備知識として踏まえてから読んでいただくと、より一層楽しめると思う。

森鴎外『カズイスチカ』

1911年に『三田文学』で発表された森鴎外の短編小説。

ちなみにタイトルの「カズイスチカ」はラテン語の”Casuistica”。

直訳すると臨床記録という意味になる。

軍医として働いていた鷗外の、今でいうブログ的な作品。

私目線ではなく、第三者的な目線から書かれているのが鷗外らしい。

おわりに

森鴎外のおすすめ作品10選を紹介した。

恋愛小説から時代小説、翻訳作品と自叙伝的内容な作品から、社会問題へと通じるものまでジャンルを超えて作品を残した森鴎外を改めて見直してみると、やはり一小説家としてだけでは語りつくせない、スーパーマン的印象を思い浮かべてしまう。

また海外文化への造詣も深く、当時としてはアヴァンギャルドな位置付けであったであろうことも知識人としての鷗外がうかがい知れる。

もしまだ鷗外作品を未読ならば、医師、官僚、翻訳家、といった様々な背景を予備知識として踏まえておくと、より一層面白く読めるのではないだろうか。

この記事を読んだあなたにおすすめ!

書き手にコメントを届ける

記事の感想や追加してもらいたい情報のリクエスト、修正点の報告などをお待ちしています。
あなたの言葉が次の記事執筆の力になります。