原田マハおすすめ作品15選【アートと旅に魅せられた作家が描く情景】

『暗幕のゲルニカ』

絵画「ゲルニカ」を通じ戦争を考える

絵画「ゲルニカ」は、ナチスドイツ軍のスペイン・ゲルニカ空爆による怒りから生まれた。

この「ゲルニカ」をめぐり、異なる時代を生きる2人の視点が交錯する。

1人は2001年9月11日に発生したアメリカ同時多発テロで夫・イーサンを失った、MoMAキュレーターでピカソ専門家の八神瑤子(やがみ ようこ)。

もう1人は「ゲルニカ」制作過程を写真に収めた、ピカソの愛人ドラ・マール。

人はなぜ戦争をするのか、そして戦争に対し芸術は何ができるのか、という問いを、瑤子とドラの2人を通じて投げかけ、ある一つの答えを導き出している。

戦争という重たいテーマであり、政治的な駆け引きや「ゲルニカ」を狙う存在も登場して、一見サスペンスのようだが、本書を通じて、戦争と平和を考えるきっかけにもなると思った。

『暗幕のゲルニカ』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 2018/06/28
ジャンル サスペンス
ページ数 510ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

『たゆたえども沈まず』

異国の地で出会ったゴッホと林忠正

日本人に人気の画家、フィンセント・ファン・ゴッホ。

彼は日本の浮世絵から多大な影響を受けたことを知っているだろうか。

代表作の一つ、「ジュリアン・タンギーの肖像」では、何枚もの浮世絵を背景にちりばめて描いている。

フィンセントがパリで絵を描いていたのと同時期に、日本人画商・林忠正(はやし ただまさ)は、ヨーロッパで高まるジャポニズム人気に呼応するかのように、パリで浮世絵を販売していた。

実はフィンセントと林忠正は、接点があったという記録はない。

本書では、フィンセントの弟テオと、林と一緒に浮世絵を販売していた加納重吉(かのう じゅうきち)を登場させ、フィンセントと林忠正の交流を持たせている。

もし、オランダ人画家のフィンセント・ファン・ゴッホ、そして浮世絵を扱う日本人画商の林忠正が異国のフランス・パリで出会っていたらと想像して読んで欲しい。

これまでと異なる画家フィンセント・ファン・ゴッホ像が見えてくる。

『たゆたえども沈まず』あらすじと感想【4人の出会いが生み出す壮大な絵画ドラマ】『たゆたえども沈まず』あらすじと感想【4人の出会いが生み出す壮大な絵画ドラマ】
『たゆたえども沈まず』の基本情報
出版社 幻冬舎
出版日 2020/04/08
ページ数 450ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

『いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画』

アート小説の名手が勧める見なきゃ損する絵画

アート小説家として名を馳せている原田マハが選ぶ、おすすめの26作品が解説付きで紹介されている1冊。

この26枚の絵画は、原田さん自身が衝撃を受けた絵画だけでなく、美術史に革命を起こした絵画も含まれている。

なぜレオナルドダヴィンチや印象派画家、ピカソの絵画が当時革新的だったのか、その点も詳しく解説されているので、美術史が苦手な人にもおススメ。

また、『楽園のカンヴァス』や『暗幕のゲルニカ』などに登場した絵画も登場するので、先に作品を読んでいると、より本書が楽しめると思う。

『いちまいの絵 生きているうちに見るべき名画』の基本情報
出版社 集英社
出版日 2017/06/16
ページ数 256ページ
発行形態 新書、電子書籍

『風神雷神』

謎の画家・俵屋宗達の壮大な旅程

琳派に多大な影響を与えながら、謎に包まれた安土桃山時代画家・俵屋宗達(たわらや そうたつ)。

宗達の研究者である望月彩(もちづき あや)は、マカオ在住の研究者レイモンド・ウォンより、マカオへ招待された。

そこで見せられたものは、天正遣欧少年使節団の一員であり、バテレン追放令でマカオに追放された、原マルティノの書簡と「俵屋宗達」の文字。

彩は研究対象である、宗達の壮大な旅に思いを馳せる。

生没年すらはっきりしていないミステリアスな画家ゆえに、展開されるストーリーが壮大。

当時の権力者・信長への謁見、ヴァリヤーノとの接触。

有馬のセミナリヨでの日々、そして天正遣欧使節団と共に渡欧、イタリアでの出会い。

もし俵屋宗達の人生が本書のようだったらと考えると、読んでいて心おどる。

それだけ夢やロマンがつまった物語である。

『風神雷神』の基本情報
出版社 PHP研究所
出版日 2019/10/29
ページ数 352ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

おわりに

原田マハの小説の舞台は多岐に渡っていると思う。

今回挙げた15作品であれば、北は北海道(『さいはての彼女』)から南は沖縄(『カフーを待ちわびて』)まで。

海外にまで広げると、印象派画家たちが活躍したフランス(『ジヴェルニーの食卓』)や、アメリカ(『暗幕のゲルニカ』)。

そして、今回紹介できなかった小説には、上海やイギリスを舞台にした小説もある。

すべての著書に共通している点は、舞台となった場所の空気を感じることだ。

読んでいると、その場に居ないにも関わらず、沖縄やフランスにいるような錯覚を覚えてしまう。

また、特定の土地ではなく、結婚式場(『本日は、お日柄もよく』)や国会議事堂(『総理の夫』)といった空間も同様だ。

もし、この15作品で読みたいと思った本があったなら、「五感を使って読む」ことが楽しめる秘訣。

ぜひ読んでみて欲しい。

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