【普通ではない主人公目線で描かれている】コンビニ人間【村田沙耶香】(♫UVERworld『在るべき形』)

この本との出会い

来月開催する読書会の課題本なので再読しようと思ったのと、この本を読む前に読んでいた蜜蜂と遠雷(2017年本屋大賞作品で二段組の500p)があまりにも長く身体的に疲労が溜まっていたため、

箸休めのような作品を読みたいなと思い購入した。二郎ラーメンを食べた後にガリガリ君が食べたくなるのと同じ気持ちだった。この作品、実は2年前にハードカバーで購入して読んでていたのだが、

サークルの友人に貸し出して以来、未だ返ってきていないので再度購入した。(文庫版が出ていてラッキーだった。)表紙の第一印象は「何だかものすごく気持ち悪くてシュールな絵だな」だった。

表紙はその小説の雰囲気を表したものだから、この小説は「一風変わった普通ではない奇妙な話」なのかなと初めに思った。ちなみにこの表紙の絵は金氏撤兵さんの「Tower」という作品の原画なのだそうだ。詳しく見たい方はリンクを貼ってあるのでぜひご覧あれ。

あらすじ

古倉恵子、36歳、独身で処女。コンビニでアルバイトをやり続けてはや18年。普通の家庭に生まれ、普通に愛されて育った。がしかし、子供の頃から言動が「普通」の感覚とずれていた彼女は周囲から異物扱いを受けていた。

彼女が「普通」だと思ってやっていることは「普通」の人からみるとあまりにも逸脱していて理解されなかった。両親が「どうすれば治るのかしらね」と相談していたのを聞いた彼女はどうやら自分は何か修正しなければならないところがあることに気づいた。その思いを抱えたまま彼女は大学一年生になった。

学校行事の帰り道、見覚えのないオフィス街に迷い込んだ彼女は新しくオープンするコンビニのアルバイト募集のポスターを見つけ応募する。面接を無事合格し働き始めた彼女はその時やっと自分が世界に誕生した、世界の一部になれたと思ったのであった。

そんな彼女の18年間のコンビニアルバイトは白羽(35歳、独身DT)という新人アルバイターの登場であっさり幕を閉じる。

サボり癖とストーカー行為でバイトをクビにされた白羽はひょんなことから恵子の家に居候することになり、彼女のバイトをやめさせて彼女の次の職を探した。エンディングで描かれたのは恵子が採用面接に白羽と向かう途中のシーンだった。

立ち寄ったコンビニで彼女はコンビニ人間として覚醒した。彼女の細胞全部がコンビニのためにできていると思い出したのだ。

白羽と別れ、恵子がコンビニ人間に戻っていくところで物語は終わる。

感想

この本で一番好きなシーンは最後の恵子がコンビニ人間に戻っていくシーンだ。

コンビニバイトをやめ1ヶ月が経ち、派遣の仕事の面接日当日。面接時間の一時間前に到着した白羽と恵子。

白羽「ちょっとトイレに行って来ます。ここで待っていてください。」 そう言われた恵子は白羽がコンビニに向かったのを見てトイレに行きたくなり追いかけてコンビニに入る。

懐かしいチャイムが聞こえ店内を見渡すと昼ピークで混雑していた。店員は若い女の子が二人だけ。しかも一人は研修中の子。

そうこう考えていると恵子はコンビニ人間に復活した。

そのとき、私にコンビニの「声」が流れ込んできた。コンビニの中の音の全てが、意味を持って震えていた。

その振動が、私の細胞へ直接語りかけ、音楽のように響いているのだった。

この店に今何が必要か、頭で考えるよりも先に、本能が全て理解していた

恵子はすぐさま売り場を直した後、店員に感謝され、さらに修正すべき箇所を指摘した。トイレから出て来た白羽に手首を掴まれ店の外へ連れ出された恵子。怒鳴り声をあげ恵子を叱る白羽に彼女は宣言する。

私は人間である以上にコンビニ店員なんです。(中略) 私の細胞全部が、コンビニのために存在しているんです。

一緒には行けません。私はコンビニ店員という動物なんです。その本能を裏切ることはできません。

白羽のせいでコンビニアルバイトから1ヶ月遠ざかっていた恵子が自分の「在るべき形」に気づいた瞬間だった。この世の中、彼女のように自分に正直に生きている人は多くはないと思う。彼女はコンビニ店員として働くことに夢中になっている。好きだからやっている、ただそれだけだ。

でもそれは実はすごいことだと僕は思う。才能だと思う。「普通」の人はどこか妥協をして夢をやりたいことを諦めて生きている人が多いと思う。本当はミュージシャンになって武道館で歌いたいだとか、プロ野球選手になって野球少年たちに勇気を与えたいだとか、そういう夢が何かしらあったんだと思う。

恵子はその点、大好きなコンビニバイト 天職に出会い好きなことを毎日していてとても幸せなんだろうなと僕は思う。

誰になんと言われようが好きなことやって生きているこの主人公がとても好きだ。

この本の主題歌

僕が『コンビニ人間』に主題歌をつけるとしたらUVERworldの『在るべき形』だ。

UVERworldは滋賀県出身の6人組ロックバンドだ。僕が中学の頃からずっと聴き続けている心の支えとなっているバンドだ。

UVERworldに出会えなかったら今の僕はいないと断言できるくらい好きなバンドだ。

彼らの歌の中でも特に好きなのが今回紹介する在るべき形だ。

下のフレーズがコンビニ人間に合うかもなと思ったので紹介する。

誰が僕のこの未来に絶望していたとしても自分自身が終わってないかどうかだろ

在るべき形へ

他の誰かの正解は君の答えじゃない。

それぞれの複雑な数式の答えはきっともう君も出てるんだろ。

おわりに

僕は主人公が奇跡的に運命的にコンビニと出会ったチャンスを逃さずに大事にしている点に感動した。

読む前の印象「なんだか奇妙な話なのかな」は当たっていたが、気持ち悪いとは感じなかった。

天職と出会って毎日好きなことをして楽しく生きている女性の話だと思った。

僕も夢中になれることを見つけたらがむしゃらにひたすら熱中していこうと思った。

著書情報

村田沙耶香

1979年千葉県生まれ。小説家。玉川大学文学部芸術学科芸術文化コース卒業。

2003年、「授乳」で第46回群像新人文学賞優秀作受賞。

09年、「ギンイロノウタ」で第31回野間文芸新人賞受賞。

13年、「しろいろの街の、その骨の体温の」で第26回三島由紀夫賞受賞。

16年、「コンビニ人間」で第155回芥川賞受賞。

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