早速ですが「福岡」と聞くと、皆さんどういうイメージをもたれますか?
「明太子」「豚骨ラーメン」「もつ鍋」
といった美味しい食べ物。
そして、
「タモリ」「浜崎あゆみ」「原辰徳」「博多華丸大吉」「橋本環奈」「橋本環奈」「橋本環奈」
といった誰もが知ってる有名人。
福岡はたくさんのグルメと著名人を、世に輩出している県でもあります。
そんな福岡の県庁所在地である「福岡市」は、今最も勢いがある最強の都市と言われているのを、皆さんご存知でしょうか?
その理由は・・
・人口増加率は東京を抜いて1位
・地価上昇率は東京都や大阪府の約2倍
・政令指定都市で唯一、5年連続で税収が過去最高
・スタートアップ開業率は4年連続7%台(政令指定都市唯一)
・国際会議などの開催件数、8年連続政令指定都市中1位
(※2018年10月時点 、人口増加率は東京23区を含む21大都市において。福岡市を経営する/高島宗一郎)
などなど、福岡市は今や日本だけでなく世界からも注目されている都市なんです。
そんな福岡市をこの8年間で最強な街に育て上げたのが、福岡市の市長である高島宗一郎氏。
最初は本を出すことを断っていたそうですが、現役市長自らが本を書いた理由として本書ではこう述べております。
「市長の取り組みのエッセンスがビジネスパーソンも含めて、同世代のチャレンジャーにもきっと役に立つはずだ」との言葉を受けて、僭越ながら筆を執ることにしました。
36歳という史上最年少の若さで福岡市長に当選した高島氏の戦略・仕事論・若者に伝えたいメッセージとは?
目次
友だちがいなくなる「出馬から見えた人間関係」
2010年、高島氏は放送局のアナウンサーを辞め、36歳で福岡市市長選挙に出馬します。
出馬して最初にみた光景。
それは「友だちが目の前からサーッと消えた」ということです。
まぼろしぃ~!です。
いや、そんな悠長なこと言ってる場合ではなく、選挙の応援を頼まなければなりません。
昨日までの仲良く飲んでいた友だち・可愛がっていた後輩に電話をかけますが、ほぼ誰とも連絡がつかなくなってしまいます。
開設した選挙事務所にも、その友だちは誰ひとり顔を出すことはありませんでした。
心のどこかで協力してくれるだろうと思っていた人達。
高島氏は今までの人生を振り返ります。
自分はこれまでリスクをとって誰かの力になったことなどないくせに、人はリスクをとって自分に協力してくれるだろうという都合の良い思い込みをしていた。
迎えた投票日。
高島氏は6万5千票の差をつけて当選することになりました。
すると今度は、これまで対立候補にいた方々が手の平を返すように寄ってきました。
この経験を通じて高島氏は、「本当に助けが必要な苦しいときに、ともに闘ってくれる人こそが同士である。その同志を見極める目が選挙活動で養われた」と語っております。
そうして、高島氏の市長生活は始まりました。
認めてもらうには「小さくても結果を出し続けること」
36歳の若さで就いたポジション。
歓迎の眼差しばかりではありません。
「あの市長の言うことは聞かなくていいから」
「市長の意見は無視していいから」
就任当初はそんな心許ないことを言われることもあったそうです。
認めてもらうためには小さくても結果を出すことが大切だと、高島氏は考えます。
短期的に成果を期待できるものとしてまず目につけたのは、交流人口の増加でした。
多くの人に福岡に来てもらい、お金を使っていただくことで街が潤う。
そこで全国に先駆けすべての地下鉄の駅・主要な観光施設・商業施設に無料Wi-Fiを整備する「Fukuoka City Wi-Fi」を始めます。
他国と比較し日本の公共Wi-Fi整備の遅れに危機感を持っていたことも理由の1つでした。
また、大型クルーズ船の着岸に耐えられる岸壁整備や、国際会議・スポーツイベントの誘致活動を積極的に行い、たくさんの観光客が福岡に来てもらえる体制を少しずつ整えていきました。
就任の2年後には福岡市の観光客数は過去最高を更新。
就任から3年間(2010年度から2013年度)で市税収入増加率が全国の政令指定都市で1位になりました。
ひとつずつの成果を積み重ねていくことで周囲への信頼と、次にやろうとすることへの「説得力」を得ていきました。
大事なのは「スピード」陥没事故復旧時の決断力
衝撃的な映像はまだ記憶に新しいのではないでしょうか?
2016年11月8日、突然博多駅の真ん前に直径30メートルの穴が現れます。
この現場、博多駅からめっちゃ近いんですよ。
あまりにも衝撃的すぎて、白ひげ海賊団が来たのかなと思ってしまいました..。
さて、この陥没事故は世界中でニュースとなりましたが、それ以上に注目を浴びたのが「復旧の早さ」です。
この穴は一週間で何もなかったかのように元の道路に戻り、その対応力は世界中から称賛されました。
事故当時、高島市長は2つの選択を迫られます。
それは、
①「原因究明の調査優先」を優先するか
②「埋め戻し作業」を優先するか
ということ。
埋める前にしっかりと状況を調査しないといけないという意見もある中で、高島市長は即座に②の「埋め戻し作業」を選択しました。
この決断には「原因の隠ぺい工作だ!」という批判もありました。
しかし反論意見も承知の上、高島市長は「二次災害を防ぐことを最優先に」する方針で、スピード感を持った判断を下しました。
決断をした市長はそこから関係各社と一致団結し、結果的に陥没からちょうど1週間が経つ直前に道路の通行再開を行うことが出来ました。
この復旧スピードの早さは、福岡市の存在感を世の中に伝える出来事となりました。
「情報発信術」SNSを使いこなす市長
高島市長はFacebookやTwitter、InstagramなどのSNSを積極的に使用しています。
仕事だけでなくプライベートの投稿もされていて(時にはTwitterで誹謗中傷をくらうことも)、これも市長なりの考えがあります。
いまやSNSでの情報発信・情報収集は当たり前。
市や県のトップがSNSで直接市民に語りかけることで、市民に「安心感」を持ってもらうことができる。
特に緊急時・災害時のSNSは有効な情報収集手段ですが、デマが多いのもまだまだ課題点。
そんな時にこそ市長自らが発信することで、的確な情報と不安を払拭することができると述べております。
テクノロジーをいかにして取り入れていくか。
最新のテクノロジーを持った民間との「コラボ力」が強い自治体を目指すことは、これからの行政にとってとても大切だと述べております。
区役所に行かずコンビニで住民票を発行できるサービスも、2012年に福岡市が政令指定都市ではじめての取り組んだ事例ですね。
福岡市の戦略──魅力あるまちづくりのために──
福岡市はいま、「勢い」と同時に「課題」もたくさん見つかっています。
・クルーズ船の年間130件のお断りをして370億円の機会損失。
・コンベンション施設不足による国際会議は、年間90件開催出来ず165億円の機会損失。
・空室オフィスがなく、企業が借りられるスペースがない。
・空港の滑走路が大混雑。
しかし市長が日頃から感じているのは「危機感」です。
国際会議に参加し、発展途上国の勢いやイノベーションを目の辺りにするたびにその危機感は高くなる一方。
そんな市長の政策に対しての考え方は、税金を使っての問題解決ではなく、民間の力を最大限に活かしながら課題解決していくということ。
例えば福岡市で進めている「天神ビッグバン」というプロジェクトがあります。
これは補助金ではなく、規制緩和によって街を一気に生まれ変わらせようとする取り組みです。
福岡は空港までのアクセスの良さが驚異的です。博多駅まで6分、ヤバいです。
一方、航空法の問題から建物は15階建てまでという高さ規制がありました。
この航空法を「国家戦略特区」による特例で打ち破り、10年間で30棟のビル建て替えを誘導、都心部に新たな雇用を創出するというのが、この天神ビッグバンの狙いです。
税金で街を動かすのではなく、こういった規制緩和で「あそび」の部分を作り、民間と行政のウィンウィンの関係を構築していくことが大事と述べております。
福岡に住んでいる人もそうでない人も、少しでも福岡に興味を持ってもらえたらと思い書かせて頂きました。
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