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『若きウェルテルの悩み』を要約してみた!【報われない恋に溺れた青年の悲劇】

はじめましての方も、そうでない方もこんにちは。

ReaJoy大学提供、即興文学講座のお時間となりました。
解説は私、うぐはらがお送りします。

今回、取り上げる作品はこちら。
ゲーテ「若きウェルテルの悩み」です。

ウェルテル効果、という言葉を耳にしたことはありますか。
この小説に影響されて多くの若者が命を絶ってしまったという、悲しいお話ですね。それほどまでに、読者の共感を得たということでもあります。

あらすじ

青年ウェルテルは、舞踏会で出合った老法官の娘、ロッテを見るなり恋に落ちてしまいました。しかし、この恋にはただひとつだけ、大きな難点があったのです。

彼女には、婚約者がいました

ロッテはそのことを知っているので、ウェルテルに自分のことをあきらめさせようと試むのですが、頑固なウェルテルの気持ちに押されて、思い通りにいきません。

それどころか、ロッテ以外のことを考えられなくなったウェルテルは、詩的な言葉を呟いて、彼女を夢中で愛そうとします。

婚約者のアルベルトが彼の目の前に現れるまでは、ですが。

注意
以下、ネタバレ注意です。

「若きウェルテルの悩み」の感想(ネタバレ)

その1 幼馴染の女友達の死去

主人公、ウェルテルは幼馴染の女友達が命を絶ってしまったことを悔やんでいます。

彼女のことを、彼は「あのすばらしい魂」と表現しているあたり、彼女を特別視していることが窺えます。

「ぼくは絶対にあの人を忘れないぞ。あの人のしっかりした気性や、神様みたいな辛抱強さを。」-p14

彼はロッテに対する恋心が原因で命を絶ったのではなく、彼女に恋をする前から、あらかじめ死に対する願望があったのです。

18ページに「自分の望むときに、現世という牢獄を去ることができるという自由感情」を持っていることを告白しますが、これはそのまま「私は死を望んでいる」ととらえても構わないのではないのでしょうか。

大切なのでもう一度言いますが、彼ははじめから死を望んでいたのです。

その2 ロッテに盲目的な恋をする

ロッテに一目ぼれをしてしまったウェルテルは、次第にロッテのことしか考えられなくなります。

「そうだ、思いちがいじゃない。あの黒い瞳の中に、ぼくとぼくの運命への本当の関心を読み取ることができる。」(略)彼女がーーこんなふうにいうことが許されるだろうか、こんなふうにいえるだろうかーーぼくを愛していると感じている。」-p60

ロッテのことを考え続けるだけで、彼は幸福感に満ち溢れます。

文通相手のウィルヘルムに対して、愛のない世界なんて、ぼくらの心にとって何の値打ちがあろう。明かりのつかない幻燈なんて何の意味があるんだ。と言い切ってしまうほどに、彼は次第に恋に溺れてゆくのです。

この非常に盲目的な恋によって、彼は自身の破滅を導くことになってしまいます。彼の心に芽生えた幸福の種は、死を生み出す不幸の種へと変わってしまうのです。

その3 優秀な許嫁、アルベルトの存在

アルベルトという男性の存在によって、ウェルテルの思考は大きく死の方向へ傾いてしまいます。

「とにかくぼくはアルベルトにたいして尊敬を拒むことはできない。彼の落ち着いた態度は、ぼくの性格の落ち着きのなさと実に好対照をなしている。」-p68

彼はウェルテルにとって完璧の象徴であり、どうしようもなく勝てそうもない相手です。大人の分別もわきまえ、宮廷でも好印象を残しています。

嫉妬したウェルテルは、叶いそうもない恋の炎を燻らせながら、次第に厭世的になっていきます。自身を「業病にとりつかれて、刻々衰えていく不幸な人」に例えるほど、ウェルテルのショックは大きかったのです。

「ぼくの魂の前に引かれていた幕は落ちてしまった。無限なる生の舞台は、僕の眼前で、永遠に口を開いている墓穴の深淵に変わってしまった。」-p86

言葉が難しいですが、アルベルトとの圧倒的な力の差に絶望してしまったウェルテルは、以前のように希望が見いだせなくなり、目の前の世界が暗転してしまったのですね。

察しが良い方は見当が付くと思いますが、ロッテの許嫁こそ、このアルベルトなのです。

その4 悲劇的な恋の結末

実質の最終章である「編者より読者へ」では、ウェルテルが書き残した書簡をもとにした報告文です。

ワームハイムで起こった農夫殺しの犯人を巡って、釈放を求めるウェルテルと、それを拒むアルベルトと口論になったことがきっかけで、二人は対立してしまいます。それがきっかけで、ウェルテルはどんどん追い込まれます。

「そう、ぼくはもうおしまいだ。感覚は混乱し、もう一週間以来思考力もなく、涙ばかりでる。どこに行っても不愉快だ、そうしてどこにいても不愉快だ。望みは何もない、何もいらない。引き上げた方がいいらしい-p175

本来、アルベルトは思慮深い男です。ウェルテルも彼の本質を見抜けるほどの分別をもった人なのですが、四六時中憂鬱に犯された彼は、正しい判断を下すことができなくなってしまったのです。

「さあ、ロッテ、ぼくはためらうことなく冷たい死の杯をとって、死の陶酔を飲みほしましょう。」―p214

ウェルテルからの使いがアルベルトに紙切れを渡した時、そしてロッテが使いの少年にピストルを手渡した時、彼女はどのような思いでその一切の行動を見つめていたのでしょう。

そのころウェルテルは、ロッテが自分でピストルを少年に手渡したということを聞いて狂喜乱舞し、天にも昇る心地で、文字通り最期の手紙をしたためていました。

「ピストルを手にとって、埃を払ってくれたのはあなたです。ぼくはこのピストルに何度でも接吻する。あなたの手が触れたのだ。」-p211

「弾丸はこめてあります。十二時が打っています。ではやります。ロッテ、ロッテ、さようなら」-p215

青年はそう言いながら、最後の力をふりしぼって、右眼の上部を打ち抜いたのでした。

まとめ

もし、ロッテが既婚者でなければ、ウェルテルが広い視野を持ち得ていたならば、この恋はまた、変わった運命をたどっていたことでしょう。

しかし、ウェルテルの孤独は彼自身を蝕んでいたのです。

二人の男に翻弄されたロッテ。ウェルテルが狂ってゆくことを間近で見ながらも、どうすることもできなかったウィルヘルム。

何よりも、愛するロッテとの関係を望みながらも、ウェルテルという存在を追い出すことができなかったアルベルト。誰もかれもが、悲劇の主人公と言えるのかもしれませんね。

主題歌:ビセルカ・クヴェジック, ザグレブ国立歌劇場楽団/歌劇「ウェルテル」より手紙の歌「ウェルテルよ、誰がいえましょうか」

さて、今回選んだ曲は、ビセルカ・クヴェジック, ザグレブ国立歌劇場楽団で、歌劇「ウェルテル」から、手紙の歌ウェルテルよ、誰がいえましょうかです。

マリア・カラス演じるロッテが、死が近いウェルテルを案じて、苦しむ様子を表現したアリアとなっています。

二人の男に板挟みになった女性の、魂がこもったアリアをお聞きください。

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