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『また次の春へ』重松清 【震災の悲しみから一歩踏み出そうとする人たち】

この本の評価
読みやすさ
(4.5)
面白さ
(4.0)
装丁の美しさ
(4.5)
家族を愛したくなる度
(5.0)
総合評価
(5.0)

あなたには、人生が大きく変わってしまった1日がありますか?

大切な人を失くしてしまった経験は?

そういう時は悲しくて本を読む気持ちになれないこともあります。

でも、この本だけは手に取ってもらいたい。

重松清『また次の春へ』。

傷つきながらも一歩踏み出そうとする人たちを描いた7つの物語。

あらすじ・内容紹介

海沿いの街を襲った悲劇は、それまでの生活を大きく変えてしまいました。

本書は、大切な誰かを失った一人ひとりが立ち向かわなければならなくなった重圧と葛藤を丁寧に掬いつつ、家族の思い出と故郷を鮮やかに描いた短編集です。

父親の不器用な愛情が伝わってくるトン汁(トン汁)、幼少の頃流行っていたおまじない  (おまじない)、幼馴染の読みかけの本(しおり)、カレンダーに記された家族だけの記念日(記念日)、毎年恒例の夏祭り(帰郷)、叔母さんに連れられて行った五百羅漢(五百羅漢)、両親が遺したメモリアル・ベンチ(また次の春へ)。

注意
以下、ネタバレ注意です

『また次の春へ』の感想(ネタバレ)

代々受け継がれゆくモヤシ入りの「トン汁」

40年前の冷え込んだ早朝に、母親を亡くした5人家族。

突然の悲劇に呆然としながらも、父が作ってくれたあっつあつのトン汁

寒さで凍えそうだった体を芯まで温めてくれました。

モヤシ入りのトン汁は、その日から、わが家にとって大切な、特別の料理になった。

モヤシが入っていて水っぽく、とても美味しいとは言えない代物でしたが、父の愛情は子どもたちに十分伝わったことでしょう。

姉直伝七味入りの「激辛トン汁」、体がぽかぽか温まる「ショウガ入り」、兄が卒論の追い込みでよく作っていた「半熟卵入り」、夫婦で作る「豆腐が入り」。

代々受け継がれてゆくモヤシ入りのトン汁が、避難所で生活をする人たちの空腹を満たします。

墓石の穴に落ちていった風花が、避難所の寸胴鍋の中に落ちてゆくシーンが印象的でした。

幼馴染が読んでいた本から見つかった「しおり」

早苗は幼馴染の慎也とともに同じ高校へ通うはずでした。

しかし、予想していなかった悲劇が2人を襲います。

3月11日午後2時41分

午前中に卒業式を終えた慎也はシーズン終わりのカレイの投げ釣りを海岸で行っていました。

担任の教師が「山崎、慎也」と名簿を読み上げたとき、返事はどこからも聞こえてこなかった

あの日からちょうど3か月が経った日、慎也のお母さんから早苗が彼に貸していた小説の単行本を返してもらうのですが、その中に見慣れないものを見つけます。

木の葉のしおりです。

早苗が言うように、本を少しでも読み進めていれば彼は津波から助かったのでしょうか。

両親の思いを知った時「また次の春へ」

東京で暮らす洋行(ひろゆき)に、震災で亡くなってしまった両親宛の手紙が届きました。

オオヤマザクラとメモリアル・ベンチが有名な北海道のM町からです。

がんばれよ、という資格はない。俺もがんばるよ、とも言えない。
みんなも大変だなあ、という立場ではない。俺も東京で大変なんだよ、と言いたくても、言えない

誰にも分かってもらえない葛藤を抱えた彼を一体誰が守ってくれるというのでしょう。

押しつぶされそうな重圧に耐えながらも、洋行はM町へ足を運び、星野さんという人と出会います。

両親のメモリアル・ベンチは、桜並木が続く湖畔の遊歩道にあった。

両親は春になったら、またこの地を訪れることを約束していたのでした。

生前の2人の思いを知った洋行は、病に侵された左胸を撫でながら、また訪れる春に思いを馳せます。

遡上する鮭とその仔魚、満開のオオヤマザクラ、新しく増える家族のこと。

切なくも、読後感は爽やかです。

主題歌:かりゆし58『さよなら』

この本に主題歌をつけるとしたら、かりゆし58さんの『さよなら』ではないでしょうか。

失ったページはどれくらい? また夜がやって来て

残された余白はどれくらい? また朝は訪れる

失ったページは、取り返しがつきません。

しかし、残された余白には新しい言葉を書き込むことができます。

凍えるような冷たい冬もいつかは終わり、新しい春がやってくる。

故郷を離れることになっても、仲間のことを忘れるわけではありません。

人とのつながりをストレートに言い表した楽曲です。

まとめ

人と人とのつながりと思いやり、家族が残してくれた思い出、そして運命。

生きていく上で一番大切なことをこの本から教わった気がします。

この本を読んだあなたに、ささやかながら春が訪れますように。

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