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『注文をまちがえる料理店』あらすじと感想【間違えちゃっても笑って許してね】

『注文をまちがえる料理店』小国士朗【間違えちゃっても笑って許してね】

「イベントやるから手伝いに帰ってきて」

母から送られてきたこのLINE。

珍しいことではない、ないのだけど。

私も暇じゃないんだが。

とは思いつつ、予定を確認。

空いてる。

「分かった、何するん?」

「注文をまちがえる料理店」

……何それ?

宮沢賢治の『注文の多い料理店」のパロディ?

一応概要だけでも調べておこう、と思い検索。

するとこの本が一番上に。

そもそも注文を間違える、って。

レストランとして成り立つのか?

まあとりあえず、と読み始めたこの本。

とても小さな場所から始まったこのレストラン。

たった数日、数時間の開店。

でもこれは日本だけでなく世界から注目を集めることに。

これから話すのは世界を変えちゃう可能性を秘めた不思議なレストランの物語。

あらすじ

2017年6月3日、東京都内の小さなお店。

ここに期間限定で不思議なレストランが開店した。

その名は「注文をまちがえる料理店」。

ここでしか味わえない、美味しい料理を準備して、お出迎え。

「注文を間違える」なんてどういうこと?

実はホールスタッフはみんな認知症を患っている方々。

だからこのレストランでは注文通りの料理が届くかお客さんもスタッフもドキドキ。

間違えないように工夫するし努力もします。

でも間違えちゃったら笑って許してください。

そんなコンセプトのレストランです。

本書は2部構成で、第1部は実際に働いた人たちの家族、サポートした介護スタッフのお話、第2部は作者の小国さんがこのレストランを思いついた経緯について。

日本だけでなく世界から注目されたレストラン。

あなたも覗いてみませんか?

注意
以下ネタバレ注意です

『注文をまちがえる料理店』の感想(ネタバレ)

最初は間違えちゃった「ハンバーグ」から

著者であり発起人の小国さんが「注文をまちがえる料理店」を思いついたのは、ある介護施設の取材に行ったとき。

そこの統括マネージャーを務める和田行男さんは、認知症介護の「異端児」と呼ばれる方で、「認知症になっても、最期まで自分らしく生きていく姿を支える」が信条だ。

今でこそ、そのように言われることも増えてきたけれど、これを30年も前から実践しているのは本当にすごいことだと思う。

取材中、介護スタッフや入居者の方とお昼を一緒に食べることに。

献立はハンバーグ。

出てきたのは餃子。

「これ、間違ってる……?」と思ったけど小国さんは口にしなかった。

誰も困らない。間違えたって、おいしければ、なんだっていい

献立とは違うけど、でも自分でご飯が作れて、みんなで美味しく食べることができたら、それでいいじゃない。

そんな優しさと寛容さ、そして何よりそこでのびのびと、生き生きと暮らしている認知症のおじいちゃん、おばあちゃんの姿からこの料理店はスタートしたのだ。

「何も出来ない」わけじゃない

あなたは認知症に対してどのようなイメージを持っているだろうか?

「忘れてしまう」、「徘徊」、「幻覚」などなど……。

1人で外に出てしまい、迷子になってしまう、とか。

マイナスなイメージの方が多いだろう。

「認知症になったら、何も出来なくなる」と思われがちだが、実際は違う。

誰かの助けを借りながらなら普通に生活していくことができる。

実際に小国さんが取材をした和田さんの施設では、入居者の方が掃除をしたり、買い物に行ったりと、ごく普通の生活が広がっていた。

「厄介者」だと思っていた認知症の人たちを「あ、普通だ」と受け入れるようになる。

「認知症」という言葉に引っ張られて、その人を見ていなかったのだと気づかされた。

「まちがえる料理店」だから間違えたって大丈夫。

そう言われていても、間違えるのは辛いことだ。

それは認知症であっても、そうでなくても同じこと。

だから、間違えないように努力するし工夫もする。

あとは私たちがそれを受け入れられるかどうかの問題なのだ。

まとめ

常々、というか特に最近思うことがある。

生きていくのに必要なのは、「想像力」と「心の余裕」ではないだろうか

それさえあれば大体のことは解決する。

自分の行動の先に起こる出来事、それを見たあるいは聞いた他人の気持ち、それを想像することは「思いやり」と呼んでもいい。

この本にはそんな「思いやり」がたくさん詰まっている。

たくさんの温かい言葉に何度も涙が溢れそうになった。

何度も心が痛くなった。

このレストランでは、ちゃんと「まちがえる」と知らせているので、「そういうもの」として受け入れられたし、間違えたって何も言われない。

でも、もしこの社会で間違えてしまっても、「いいよ、大丈夫」と言える人が少しでも増えたら、そう思ってくれる場所が増えたら、彼らはもっともっと暮らしやすくなるのではないだろうか。

こんな優しい世界がもっと広がっていくことを願って止まない。

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