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『輝く夜』あらすじと感想【心にじんわりとあたたかさが広がる奇跡のクリスマス物語5編】

『輝く夜』あらすじと感想【心にじんわりとあたたかさが広がる奇跡のクリスマス物語5編】

「この日は大切な人のことを考える日なんだと思う。きっと今夜は世界中の人に素敵なことが起こる気がする」―第五話『サンタクロース』より

あなたには大切な人はいますか?

“奇跡”を信じますか?

クリスマスは好きですか?

一つでも当てはまったなら、ぜひこの小説『輝く夜』(原題:『聖夜の贈り物』)を読んでみて欲しいと思います。

読み終わる頃にはきっと心はあたたまり、大切な人をもっと大切に感じることができます。

輝く夜の感想(ネタバレ)

『この魔法の万年筆で願い事を書くと、願いが叶うんだよ。』

第一話「魔法の万年筆」

街はイルミネーションで輝き、人でごった返し、楽しげなクリスマスの音楽が流れている。

そんなクリスマス・イブの夜、恵子は憂鬱な気持ちで商店街を歩いていた。

その日恵子は七年働いた運送会社からリストラと言うクリスマスプレゼントをもらってしまったのだ。

十五年前の夜も、恋人に振られて憂鬱な気分でいたことを思い出しながら歩いていると、道端でホームレス風の初老の男性が座り込んでいるのを見つけてしまう。

白い髪に白いヒゲ、その目は悲しみに満ちている。

男性の前のアスファルトには白墨で「三日間何も食べていません」と書いてあった。

やさしい恵子とホームレスの出会い、そして恵子がもらう魔法の万年筆とは?

『私がみーちゃんを助けたんじゃなくて―』

第二話「猫」

クリスマス・イブの夜、恋人もいなくて予定もない雅子は、密かに想いを寄せている社長の石丸と二人きりで残業をしていた。

雅子は派遣社員で、石丸が社長を務める会社とは今月で契約終了する予定だった。

仕事が終わり一息つくと、雅子は自分が飼っている猫の話を始める。

妻帯者の男に都合よく扱われ、振られて絶望の底にいた彼女は、道端で一匹の猫がうずくまっているのを見つけた。

その猫は片目がなく、病気の猫だった。

大切な猫「みーちゃん」との出会い、心あたたまるエピソード、そして石丸への恋心はどうなるのか?

『君はサンタクロースに生きる幸せをプレゼントされたんだ』

第三話「ケーキ」

クリスマスだからといって病気は進行をやめないし、「死」は休んでくれないー

医師の大原は、もうすぐ息絶えようとしている癌の患者・杉野のことを思いながらそんなことを考える。

二十歳の若い女性である杉野は、朦朧とする意識の中自分はもうすぐ死ぬのだと直感していた。

彼女は赤ちゃんのときに病院の前に捨てられ、施設で育ち、まだ恋も知らなかった。

でも死にたくない!

私は幸せになりたかった。不器用だけど一所懸命に頑張って生きてきた。高望みなんか一つもしなかった。平凡な幸せが欲しかった。ただ人並みの幸せが欲しかっただけなのに。神様はそれさえくれなかった。今日がクリスマス・イブなら、サンタさんにその願いを伝えたい。サンタさん、お願いします――。

その時、目が開いた――。

杉野の身に起こった奇跡とは一体?

『何がクリスマス・イブよ』

第四話「タクシー」

イブの夜、依子は酔っぱらって荒れていた。

タクシーに乗り込んで運転手にベラベラと昔の失恋話を始める。

ある夏の旅行先、友人の和美に「スチュワーデスだと嘘をついて、男の人に声をかけられるのを待とう」と押し切られた。

そこで出会った二人組の男性の内の一人、島尾に依子は本気で恋をしてしまう。

旅行から帰っても、依子と島尾は何度かデートを重ねる。

しかし依子の本当の職業は鞄の縫製職人であり、スチュワーデスという嘘で塗り固めた自分に自己嫌悪を抱き続ける。

依子の嘘はどう転ぶのだろうか?

『私――死のうと思っていたんです』

第五話「サンタクロース」

「メリークリスマス!」

夫と三人の子供で食卓を囲み、幸せの中にいる和子。

しかし本当はそこにもう一人いるはずなのだが、部屋にこもって出てこない。

夕飯前に長男の望を停学処分のことできつく叱り付けたのだ。

仕方なく望がいない中、団らんを楽しむ一家。

寝室にて、和子はふと昔の話を始める。

両親はすでに他界し、愛する婚約者・亮介を交通事故で亡くしたばかりだった。

しかし同時に婚約者との間に望を身ごもっていることが発覚する。

この子と一緒に死のう――絶望に暮れながら知らない町を歩くクリスマス・イブの夜。彼女は奇跡に出会う。

主題歌:Wham!/Last Christmas

作中でも流れているこの曲を。

Wham! 『Last Christmas』

I’ll give it to someone special(私は特別な人にそれをあげます)

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