あらすじ・内容紹介
あなたを、助けたい。
学校での居場所をなくし、閉じこもっていたこころの目の前で、ある日突然部屋の鏡が光り始めた。
輝く鏡をくぐり抜けた先にあったのは、城のような不思議な建物。
そこにはちょうどこころと似た境遇の7人が集められていた―― なぜこの7人が、なぜこの場所に。
すべてが明らかになるとき、驚きとともに大きな感動に包まれる。
生きづらさを感じているすべての人に贈る物語。
一気読み必至の著者最高傑作。
(ポプラ社ウェブサイトより https://www.poplar.co.jp/pr/kagami/)
かがみの孤城の感想(ネタバレ)
学校でいじめにあって不登校になった主人公の女子中学生「こころ」の心理描写が、読んでいてヒリヒリするほどリアルで、救われてほしいと願わずにはいられませんでした。
その一方、散りばめられた謎が少しずつ明らかにされてゆく心地よさ!巧みで、すばらしい物語です。
物語は、主人公こころの部屋にある鏡が、ある日突然に光を放ち、その鏡を通って「城」へ行くことから動き始めます。
こころは城で、オオカミの面をつけた小学生ぐらいの少女と、中学生の男女6人と出会います。
城のどこかにあるという願いをかなえる部屋とそのカギを探そうとしたりしなかったりする中でこころたち7人の個性が描かれ、関係が築かれてゆきます。
学校があるはずの平日昼間に、なぜみんなが城に集まっているのかは聞けないままに……。
朝に「開城」し夕方に「閉城」する城と、それぞれの現実世界とを鏡を通って行き来する7人に各々事情があることがしだいに明らかになりますが新たな謎が提示され、読者を飽きさせません。
学校と家以外にも城という居場所と仲間ができたことで、こころは癒され、そこでの人間関係を通して成長してゆきます。
これはまるで、読者が本の世界に入りこみ、そこから元気をもらったり学んだりして実生活に活かすことに似ていると思います。
この『かがみの孤城』でいうならば、7人の中学生たちがそれぞれに一生懸命に生きているのを見て、読者自身もがんばろうと思えるような……。
物語は後半、急展開を迎えます。
意外で、納得できて、感動的です。
ミステリーであり、成長譚でもあるこの物語、エピローグでもさらに驚かされ、思わず前のほうのページを読み返しました。
中学時代というのは、学校と家だけが世界のすべてになってしまいがちかもしれません。
そんな人にぜひこの本をおすすめしたいです。
もちろん、大人が読んでもとても楽しめる本です。
登場人物たちの繊細な心理描写と緻密な伏線、ダイナミックな展開がこの物語の魅力だと思いました。
最後に少し、装丁について……。
私はハードカバーの本を読むときはカバーを外した状態で読むことが多いのですが、この本はカバーを外すと、城のじゅうたんのような赤地に、鏡とカギの絵が銀色で描かれています。
これを読む前に一瞬目にするだけで、気持ちが物語の世界にいざなわれ、すっと入っていけるので、カバーを外して読むのもおすすめです。
主題歌:Michael Jackson/Man In The Mirror
Michael Jacksonの「Man In The Mirror」。
希望を感じさせる明るいメロディに、速すぎないテンポ、そして歌詞の、鏡の中の自分を見つめて変えてゆこう、というメッセージが合っていると思いました。
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