【忙しそうにしているきみの、いちばんたいせつなことはなに?】サン=テグジュペリ『星の王子さま』(🎵rairu『Little Traveler』)

 

いつも忙しそうにしている友だちへ

この本を、こうしてひとりのおとなにプレゼントすることを、子どものみなさんは許してほしい。なにしろ大事なわけがある。

この人は、この世でいちばんのわたしの親友なのだ。

もうひとつ。

おとなだけれど、なんでもわかる人なのだ。子どものために書かれた本でさえ。

そして3つめ。

この人は今仕事に追われ毎日夜遅くまで働いて、大変な思いをしているので、なんとかなぐさめてあげたいのだ。

それでもみなさんが納得してくれないなら、この本は、昔子どもだったころのその人に、プレゼントするということにしたい。

おとなだって、はじめはみんな子どもだったのだから。(でもそれを忘れずにいる人は、ほとんどいない。)

そうしてあて名は、こう変えることにしよう。

小さな女の子だったころの
愛する友だちへ

星の王子さま

作者紹介

アントワーヌ・ド・サン=テグジュペリ
Antoine de Saint‐Exup’ery
1900-1944。フランス生まれ。

実際にパイロットとして活躍した人です。その経験から、『夜間飛行』『人間の土地』などを書きました。『星の王子さま』もそのひとつ。

『星の王子さま』が出版されたのは1943年。
サン=テグジュペリが亡くなったのは1944年。

完成した作品は、『星の王子さま』が最後でした。

偉大な翻訳

原作の題名は『Le Petit Prince』。
直訳すると、『小さな王子』。

それを、『星の王子さま』と名づけたのは、翻訳家の内藤濯(ないとう あろう)さん。

この題名だったから大ヒットしたのではないかと言われるくらい、名訳です。


ちなみに、今回参考にしたのは、河野万里子(こうの まりこ)さん訳の新潮文庫です。
訳している人はほかにもいますが、最も読みやすいと評されています。

メインのふたり

王子さま
金色の髪をしていて、金色のスカーフを首に巻いている男の子。

故郷は、一軒の家よりほんの少し大きいぐらいの小惑星。

そこに咲いた1輪の美しいバラ。彼女はやや気むずかしく、未熟だった王子さまは対応できずに、星々をめぐる旅へ出てしまいます。

いろんな星でおとなたちと会い、やがて、地球にたどり着きます。


主人公は王子さまとの思い出を綴る「僕」。

地球に住むおとなです。

パイロットとして空を飛んでいましたが、砂漠に不時着してしまいます。飛行機の修理をしているときに王子さまと出会います。

「僕」が飛行機の修理をしつつ、王子さまから途切れとぎれに聞いた話をつなぎ合わせて理解した物語が、『星の王子さま』の中心部分。

そこには「僕」の想像も含まれています。

なぜなら、王子さまは多くを語ってくれなかったから。

たいせつなこと

ぼくをなつかせて!

地球にやってきた王子さまは、“バラ”という花がこの世に1輪ではないと知り、悲しくなります。そのときに現れたのが、キツネでした。

キツネは「なつく」ということを王子さまに教えます。

「『なつく』って、どういうこと?」
「それはね、『絆を結ぶ』ということだよ……」
(99頁・一部抜粋)

出会ったばかりのふたりは、ほかの十万の男の子となにも変わらない男の子であり、ほかの十万のキツネとなんの変わりもないキツネでした。

けれど、毎日少しずつ近くに座っていくことでなつかせると、世界でたった一人(一匹)の存在になるのです。

「なつかせたもの、絆を結んだものしか、ほんとうに知ることはできないよ」
(103頁)

キツネの贈り物

王子さまはキツネをなつかせ、出発のときに、「秘密」をおしえてもらいます。

「ものごとはね、心で見なくてはよく見えない。いちばんたいせつなことは、目に見えない
(108頁)

「きみのバラをかけがえのないものにしたのは、きみが、バラのために費やした時間だったんだ」
(108-109頁)

「きみは、なつかせたもの、絆を結んだものには、永遠に責任を持つんだ。きみは、きみのバラに、責任がある……」
(109頁)


キツネのことばをわたしに当てはめて考えてみました。

いままでの人生で最も時間を費やしたのは、「本」です。気づけばずっと読書をしてきた人生でした。

「本」が広すぎるのならば、この『星の王子さま』と言ってもいい。

わたしにとって『星の王子さま』がかけがえのないものなのは、初めて読んだ小学生のときから10年以上、この物語を何度も読み返してきたから。
わたしは『星の王子さま』に責任がある
だからいま、『星の王子さま』について書く運命にあるのかもしれません。

「たいせつなこと」は人によって違います。

ほかの人にとってはどうでもいいものでも、本人にとってはとても「たいせつ」です。

なぜなら、絆を結んでいるから。

クリスマスの贈り物

「聖書の次によく読まれている」とまで言われているこの物語ですが、作中にクリスマスの描写があるのはご存知でしょうか?

子どものころの、クリスマスがよみがえってくる。ツリーを飾るたくさんのロウソクの光、真夜中のミサの音楽、みんなの笑顔のやさしさ、それらすべてが、僕の受けとる贈り物を、光り輝かせていたではないか。
(121頁)

目に見える贈り物そのものは、歳を重ねるにつれ、別れがくることがあります。

けれど、その思い出は永遠。

プレゼントしてくれた人の想いは、永遠に残ります。

目に見えないけれど、確実に存在しているもの。

小さなあなたは、どんなクリスマスを過ごしていましたか?

曲をつけるなら

rairuさんの『Little Traveler』です。

2018年8月30日に開催されたライブイベント、「Stars on Planet -星の王子さまにさよならを-」で歌われた曲。

rairuさんは参加していませんが……、この日の出演者全員がステージ上に勢ぞろいし、歌ったそうです。

星を砕く木には水を
想いを砕く薔薇に愛を
君がいま笑うなら
もう何も何も要らない
ぼくはまた空を見るよ
君の居る空を見るよ
たとえ「大切なものは、目に見えない」としても

例の一文も歌詞に含まれています。

『星の王子さま』の世界を、優しく強く表現している一曲です。

おわりに

「忙しい」とばかり言っている友だちへ

少しだけ足を止めて、この本を読もうよ。

“おとなだって、はじめはみんな子どもだったのだから”

きっと、あなたにも、「いちばんたいせつなこと」があったはず。

それを思い出すきっかけになったら、嬉しい。

━━忙しそうにしているきみの、いちばんたいせつなことはなに?


ReaJoyの裏話を、個人ブログ「しきおりつづり」にて綴っています。

よろしければこちらも是非、ご覧ください。

こちらもよろしくお願いいたします。

◯この他の『星の王子さま』の主題歌はこちら

◯本の主題歌を決める読書会「BGMeeting」

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です