『白夜行』東野圭吾【あなたは、なぜ産んだのですか?】

 

新年を迎えたと思うと、街の中はキラキラしたハートやピンク色でいっぱい。

ふわふと浮いた気持ちになるバレンタインのこの季節に、あえて読みたい。

人の温かさと冷たさ、残酷さに身動きが取れなく東野圭吾、長編作、白夜行。

東野圭吾さんといえば【白夜行】といってもいいほど影響力のあった長編小説です。

白夜行

1997年~1999年に『小説すばる』にて連載、1999年に長編推理小説として発行されました。

2005年に舞台化、2006年にドラマ化、2009年に韓国で映画化と続き2011年に日本でも映画化。

2013年には元フィギアスケート選手の町田樹さんが現役時代自ら振り付けを行いエキシビションのプログロムに取り入れたほど。

個人的に町田樹さんの青の衣裳に片手を真っ赤に染め、全身で亮司を表現する世界観に心奪われるものがありました。

2005年の時点で55万部(10万部でベストセラー)発行。

どれ程影響のあった小説かは見て取って頂けると思います。

ドラマが始まると2006年100万部突破。2010年には200万部をこえる。

Wikipedia参照

あらすじ

1973年、建設途中の廃墟ビルで質屋の男性が殺害される。

発見した子供の家族、質屋店員、男性の妻、質屋の客…容疑者は次々を浮かびあがるが、犯人が分からないまま迷宮入りしてしまう。

殺された男性の息子「桐原亮司」は売春斡旋やゲームソフト偽造、カード詐欺などをしてパソコンショップ『MUGEN』をオープンさせ人とはあまり関わらず裏稼業をして生きていく。

容疑者とされ死亡した女の娘「西本雪穂」母親の死亡後「唐沢礼子」に引き取られ華道師範の義母に育てられ礼儀作法、学業などしっかりと身につけて生きていくが…雪穂と深く関わった人間は不幸な事故や事件が降りかかる。

残酷な記憶が幼い二人の心を奪い、さらなる悲劇を生んでいく長編ミステリー。

愛すが故、思いすぎるが故に歪んでいく。

父親を殺害された少年「桐原亮司」と、殺人犯とされ自殺した母親の娘「西本雪穂」

いつか、二人で明るい太陽の下を歩くことだけをたよりに。

明るい太陽の下で、会っていたら二人はどんな未来が待っていたのだろう。

白夜行は心理描写を敢えて書かれていない為、刑事「ササガキ」が中盤で登場し始めるまでは亮司、雪穂の二人の別々の人生が淡々と語られていきます。

唯一、二人の心理が描かれただろう一説がこちら

亮司
パソコンショップの営業終了後、来年の抱負を聞かれ

「昼間に歩きたい」
「俺の人生は白夜の中を歩いているようなのもやからな」
本文抜粋p.436

雪穂
夏美との会話の中で

「あたしの上には太陽なんかなかった。いつも夜。でも暗くはなかった。
太陽に代わるものがあったから。太陽ほど明るくはないけれど、
あたしには十分だった。あたしはその光によって、夜を昼と思って生きてくることができたの。
わかるわね。あたしには最初から太陽なんかなかった。だから失う恐怖もないの。」

本文抜粋 p.858

主な登場人物

質屋殺しの被害者の息子。切り絵を作るのが得意
質屋殺しの容疑者の娘。容疑者とされた母親を事故で亡くし、父方の親戚唐沢家の養女となる。西本雪穂
刑事 捜査一課所属 質屋殺しの事件を担当。事件が迷宮入りするも、亮司と雪穂に疑惑を持ち2人を追い続ける。
亮司の父、質屋「きりはら」主人。事件の被害者
亮司の母、被害者洋介の妻
質屋「きりはら」店員。弥生子の恋仲?
雪穂の母。容疑者と疑われたのち自宅でガス中毒事故で死亡 
雪穂の義母
 雪穂の親友。雪穂に引かれ行動を共にする。大学でダンス部の篠塚一成男性と恋仲になるが、直後に事件に巻き込まれてしまう
 製薬会社の御曹司。大学時代にソシアルダンス部長を務め、江利子に好意をよせ、恋仲になるもある事件で関係は途切れてしまう
 大学のダンス部時代に雪穂と知り合い結婚。不倫、DVの罪を着せられ離婚
高宮誠の務める会社の派遣社員 、高宮と不倫に発展?
 高校時代からの亮司の同級生。亮司の裏稼業を手伝う
大手銀行員。亮司の売春斡旋に参加し、その後亮司の仕事を手伝う 
製薬会社常務。雪穂の再婚相手
薬剤師。「秋吉雄一」と名乗る「桐原亮司」と同棲。小説を書くために「青酸カリ」を見たいと頼まれ、病院から持ち出してしまう。 
探偵事務所経営。篠塚一成に雪穂の調査を依頼され、以前調査していた秋吉雄一と桐原亮司が同一人だと気づも行方不明になってしまう 

ドラマ白夜行
2006年、TBSにて放送

注意
ここから、ネタバレの内容が含まれます。

山田孝之さん、綾瀬はるかさん、主演に監督、プロデューサー等スタッフも

2004年放送のドラマ「世界の中心で、愛をさけぶ」のゴールデンコンビで描かれていることでも有名なお話ですね。

ドラマでは心理描写を描かれていない原作とは違い主人公二人の時効までの人生を人としての葛藤やさみしさ醜さ、小さな希望を持ちながら生きていく亮司と雪穂の関係が描かれています。

父を殺した少年と、母親に罪を着せるため母を殺した少女。

時効まで、別々の赤の他人で生きていくことを約束する。

大人たちの欲や自己満よってもたらされた暗闇を切なく残酷に生き、ほころびを見つけては継ぎ足し、希望を持ちながらも抜け出せなくなっていく二人。

7年後に偶然にも再開してしまった亮司に雪穂は

「私が何を言われてもなにをされてもニコニコ笑っているのはもう一回、あんたと歩くために決まってるじゃない
時効が来てもう一回太陽の下亮君と歩くんだよ。…そんな相手一人しかいないよ。」2話

ドラマに度々入る「山田孝之さん」のナレーションでは、

父を殺し母を殺し時効をむかえるためだけに罪に罪を重ね生きていく孤独さが、語られていたように思います。

「わかるやつがいるなら教えてほしい。
なんで、オレたちは生まれてきたのでしょうか?
こんなことを繰り返すためでしょうか?」

「なんのためにこれから生きていけば良いのでしょうか?
ただ歩きたかった。少しでも人間でいたかった」

この世に生を受け父と母の裏切りを目の前にし暗闇を生きていく。

とにかく切ないストーリーですがドラマではそんな二人を懲りずに追い続けた刑事と図書館の谷口司書が温かく二人を見守っているようにも感じます。

大阪のクリスマス最終回で、笹垣刑事

「間違いだらけやったけどお前が精一杯やったのはおれが知っている。一人の人間幸せにする為にお前は精一杯やった。。
ほんますまんかった。あの日お前を捕まえてやれんで。」

残痕な大人たちに囲まれた幼少期を過ごした亮司にとっては、笹垣刑事の存在は一つの希望だったのかな?

あなたは、なぜ産んだのですか?

主題歌:鬼塚ちひろ/月光

I am GOD’S CHILD(私は神の子供)
この腐敗した世界に堕とされた
How do I live on such a field?(こんな場所でどうやって生きろと言うの?)
こんなもののために生まれたんじゃない

二人の叫びにも聞こえこの曲しか考えられませんでした。

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