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『青くて痛くて脆い』住野よる【青くて純粋で、臆病な青年が犯した過ち】

この本の評価
読みやすさ
(4.0)
面白さ
(3.5)
考えさせられる度
(5.0)
装丁の美しさ
(4.5)
ほろ苦さ
(4.5)
総合評価
(3.5)

青春とは、映画や漫画で見るように、甘酸っぱくて、爽やかなものだ。

私も実際に経験するまでは、そう思っていました。

実際は、思い込みやすれ違いもあって、後悔して自暴自棄になってしまうような日々でした。

今回の小説は、「青くて痛くて脆い」。

住野よるさんなりの、青春についての答えが書かれた一冊です。厳密にいうと、青春より少し進んだ先の季節になるのですが。

あなたが胸の中にしまいこんでいた、その痛み

取り出して、目の前でさらけ出されても「怖くない」と、自信を持って言えますか

あらすじ

主人公の田端楓は、器用に生きてきた男性です。狡賢いとも言えます。

いつも周りを気にして、なるべく人とは距離をとるように生きてきました。

大学でもそれなりに目立たないようにしようと思っていましたが、そんな矢先に秋好寿乃(ひさの)という、全く正反対な女性と出会ってしまいます。

彼女は口を開くなり「暴力の排除」を宣言するような、彼からすると「痛い」人間でした。

そんな彼女と二人で築き上げたのが、秘密結社モアイだったのですが…。

かつての秘密結社、「モアイ」を取り戻せ!

秋好がいなくなったモアイは、もう以前の秘密結社とは別物となっていました。

経営方針も、以前は「なりたい自分になる」というシンプルな動機だったのですが、「目指す自分になるための、就活を支援する団体」ということになっていたんですね。

色んな企業と関わり合った結果、メンバーも、かつてより五十人近く増加しています。

規模が大きくなるに従って、彼らが横柄な態度をとることもありました。

現状を確認した楓は、自分の居場所を取り戻すために今の繋がりを壊してでも、昔のモアイを取り戻そうと友人の菫介(とうすけ)やポンちゃんの力を借りて、何とかしてメンバーの弱みを握ろうと奮闘します。

彼は人として許されないところまで知ってしまうのですが、詳しく書いてしまうと重大なネタバレになるので、詳しく述べません。

楓が終盤に向き合わなければならなくなったこと。

それはいつ、誰にでも起こりうることです。

あなたも私も、明日そのことに向き合っていてもおかしくない

そんな緊迫感がある展開になっています。

自分を騙しながら生き残る方法

楓が直面したのは、同調圧力です。

彼は、自分の行動には相手を不快にさせてしまう特性があることをあらかじめ見抜いていました。

それで、なるべく身をひそめて、目立たないようにしていたのです。

自分のしたいことを押し殺し、周りに合わせ続けていると、自分が何をしたいのかが全く分からなくなってきます

本当の自分はどこにいるのだろう?

楓もそう思ったのではないのでしょうか。

どこかで見切りを付けて、信頼できる何かを作るなり、やってみるなりして、本当の自分をさらけ出すことが必要です。

彼は小器用ですが、そういうことが一切できませんでした

主題歌:アンテナ/深い 深い 青

散々迷ったあげく、アンテナの「深い 深い 青に決めました。

青春とも割り切れず、かといって大人でもない。希望を持つでも、絶望するでもない、現代だからこそ訪れる曖昧な時期。

ー泣くなよなぜかさっきから胸が裂けそうなんだ

青さという痛みそのものを、しかと味わってもらいたいです。

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