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『本を守ろうとする猫の話』夏川草介【読書嫌いな人にこそ読んで欲しい!あなたの本を読む理由は何ですか?】

本を読む理由は何ですか?

そう問われたら皆さんならどう答えますか?

私が本が好きな理由は開くだけでたくさんの世界を見せてくれるし、たくさんの人の人生を覗かせてくれるからです。

読書好きな方ならそれぞれ好きな理由があるのではないでしょうか?

え?考えたこともない?

ではそんなきっかけになる本をご紹介しましょう。

最初に言っておきますね。

これ、本当に読書嫌いな人におすすめです。

あらすじ

物語は主人公の林太郎が親代わりの祖父を亡くした場面から始まります。

元々学校にも居場所がなかった彼は祖父を亡くしたことでますます籠もりがちになり、また祖父の経営していた古書店も閉店し、彼は叔母に引き取られることになります。

祖父の経営していた古書店「夏木書店」は本好きならわくわくするような美しい装丁の本や、ほとんど手に入らないようなマイナーな本が中心の古書店でした。装丁は綺麗だけど読むには手が出しにくい、そんな本を絵本代わりに読んで林太郎は育ちました。

もともと両親は離婚、引き取られた母も亡くしていた彼は今回もまた流れに任せて叔母に引き取られることになります。

そんな時、猫が現れます。チャトラの、喋る猫です。猫は林太郎を「夏木書店の2代目」と呼びこう言います。

「閉じ込められた本を助け出さねばならぬ。わしに力を貸せ」

林太郎は困惑します。

当然です。祖父が亡くなり疲れているのだろう、これは夢だろうと考えます。

しかし猫はサンテグジュペリの「星の王子さま」を引用し林太郎を説得します。断ることは出来ますが、それをすれば猫は大いに失望するそうです。

こうして林太郎は猫とともに本を救う旅に出るのです。

  • 第一の迷宮
  • 第二の迷宮
  • 第三の迷宮
  • 最後の迷宮

全ての迷宮で本は林太郎、つまりは本が好きな人から見ればひどいと思われるような扱いを受けていました。

それぞれの迷宮の住人はそろって言います、「私は本が好きなのだ」と。

迷宮で1番力を持つのは「正しいこと」。住人が言うことは論理的には「正しい」。理論の綻びはどこにもないように思われます。

でも何かが間違っているんです。林太郎はよく分からないながらもその「間違い」を探します。

注意
以下ネタバレ注意です

本を守ろうとする猫の話の感想(ネタバレ)

林太郎の武器

林太郎の武器は祖父と今まで読んできた本からもらったたくさんの言葉、そして「本が好き」という気持ちだけです。

しかしその言葉と想いは時に誰かの考え方まで変えます。

迷宮の住人たちは間違っていました。それは事実です。

でも彼らの本が好きだという気持ち、本を残したいという想いもまた事実です。

たくさん読むことも、早く読むことも、売れる本を作ることも大切でしょう。でももっと大切なことはきっとあります。そしてそれは大抵分かりにくいものです。

だって「たいせつなものは目に見えない」から。

その見えない何かを林太郎は必死に言葉にします。

速読も、たくさん読むことも売れる本を作ることも時代には合っているのかもしれません。

でもそれは本当に本を愛していると言えるのでしょうか?

「本を愛している人は、こういう扱い方はしないものですよ。」

損得勘定も何もなく、ただ本が好きな林太郎のその言葉はとてもまっすぐです。

本の力

林太郎の祖父はよくこう言っていたそうです。

本には力がある。

結局祖父はその力がどんなものか語らないまま亡くなりました。

しかし林太郎は自分が思う「本の力」を本を助けることで見つけます。

それは人を思う心を教えてくれる力。

第四の迷宮で林太郎は女にこう言います。

なぜ人を傷つけてはいけないか、分からない人たちがたくさんいるんです。そういう人たちに説明するのは簡単じゃありません。理屈じゃないんですから。でも本を読めば分かるんです。

それは迷宮の住人たちに想いを話すために考え続けた結果かもしれません。

子どもの頃から名作と呼ばれる作品を読んできたからかもしれません。

何度も本に救われた彼だからこそ、本の力を見つけることが出来たのだと思います。

心に残る言葉たち

夏川さんの他の作品も含めてたくさんの心に残る言葉が出てきます。

例えば最後の迷宮での猫の言葉。

「大切にされた本には心が宿り、そして心を持った本は、園も鎮牛に機器が訪れたとき必ず駆けつけて力になる」

(中略)

「言ったはずだ。お前はひとりではないと」

助けてくれる人は誰もいないっていう場面は誰にでもあると思います。

助けて欲しい、でも今頼れるのは自分だけ。

でもそんな時でも本は助けてくれます。

駆けつけて、唯一そばにいてくれる存在です。

もしかしたら本を読み、大切にするという行動は、そんな味方を増やすことなのかもしれません。

まとめ

この文章の1番最初に書いた質問、覚えているでしょうか?

その答えはきっと簡単には見つからないと思います。

林太郎のようにたくさん悩んで、言葉にならないような思いを必死で言葉にしないと見つからないのかもしれません。

それを見つけるために、私たちは本を読むのかもしれません。

もしそうなら、この本は1つのきっかけになると思います。

ヒントは全ての文章に隠れています。

自分なりの本の力が見つかれば、自ずと本を読む理由も見つかるのではないでしょうか?

 

主題歌:SEKAI NO OWARI/RPG

主題歌はSEKAI NO OWARIさんの「RPG」です。

最後の迷宮にいるときの林太郎は孤独です。今まで一緒にいた喋る猫はいません。

でも彼は1人ではありません。

なぜなら祖父の言葉、今まで読んだ本が付いているから。

そしてこれは林太郎という1人の少年の成長物語でもあります。

流れに身を任せて生きてきた少年が自分の意志で決めていく、そんな物語です。

世界観も、歌詞も、この本にぴったりです。

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