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『宝島』あらすじと感想【祝・直木賞受賞!史上最高の沖縄叙事詩】

『宝島』あらすじと感想【祝・直木賞受賞!史上最高の沖縄叙事詩】

この本の評価
読みやすさ
(4.0)
面白さ
(5.0)
考えさせられる度
(4.5)
装丁の美しさ
(4.5)
感動度
(5.0)
総合評価
(5.0)

壁一面、無数に空いた穴

それが銃痕であることを教えられたのは、ある年の12月、沖縄を訪れたときのことでした。

平和祈念公園

そこで名前も知らない子供たちが、物言わぬ死体となって重なり合っているのを見ました。

アップで映し出された子供たちの顔写真が、一枚一枚丁寧に壁に貼り付けられているのも。

今回ご紹介するのは、「宝島」。

同タイトルのスティーブンソンの小説で出てくるような、お宝はありません。

沖縄という地で行われた、血と革命の歴史です。

戦果アギヤーたちの壮大な叙事詩をご覧ください。

大人はもちろんのこと、学生さんもぜひ一度手に取って考えていただきたくなるような、メッセージ性の強い、大傑作です。

祝・直木賞受賞

去る1月16日、芥川賞・直木賞同賞の発表が決定しました。

厳正な選考の結果、

  • 芥川賞 上田岳弘氏「ニムロッド
  • 同賞 町屋良平氏「1R1分34秒
  • 直木賞 真藤順丈氏「宝島
三作が受賞しました。

お三方の受賞を心からお喜び申し上げます

あらすじ・内容紹介

時は戦後

沖縄が、アメリカの統治下に置かれていた1952年です。

島一番の戦果アギヤーであった「オンちゃん」を中心に、グスクレイヤマコの三人は、深い絆で結ばれていました。

しかし、嘉手納基地の強奪未遂事件がきっかけで、オンちゃんは消息不明になってしまいます。

三人は彼の姿を探しながらも、胸に思いを秘めて、それぞれの人生を歩みます。

アメリカ兵や日本人に理不尽な暴力を受けながらも、グスクは警官に、レイは兄のオンちゃんと同じく消息不明に、ヤマコは教師になりました。

そこに孤児のウタも加わって、四人は未だ消息のつかないオンちゃんに、思いを馳せます。

「沖縄帰還」を求めるデモが行われる中、差出人の分からない「戦果」が届きます。

それは大量の物資でした。

同時に麻薬の存在と、この地に「VXガスが秘密裏に持ち込まれた」ということを、人づてに耳にします。

「こんなことをするのは一人しかいない」と確信したグスクは、再び戦果アギヤーとして、沖縄人に戻って闘うことを決意します。

「戦果アギヤー」とは?

戦果アギヤーとは、アメリカ統治下時代の沖縄県で発生した略奪行為のことです。

当時、アメリカ軍の基地に忍び込んで、物資などを盗んで貧しい人に分け与えたりする人々がいました。

沖縄の方言で、「戦果をあげる者」という意味です。

彼らはあるときは反乱分子であり、あるときは義賊でもありました。

のちに組織化し、暴力団となって、沖縄を統治することになります。

注意
以下、ネタバレ注意です。

宝島の感想(ネタバレ)

沖縄の「負の遺産」と島の人々の「死生観」

アメリカ兵に存在を踏みにじられても、本土の人々に行政・立法・司法上の権限をアメリカに明け渡されても、魂は穢されない。

島の人々には、誇り高き精神があります。

生者の魂は、ニライカナイ(楽土)からやってきて母親の胎内へ戻り、命を終えたあとはまたニライカナイへ戻るということ。

楽土には、良いものも悪いものも渡ってくるということを。

だからここでおれたちが全滅したところで、戦果アギヤーは何度でもよみがえる。
魂の中の英雄が転生をくりかえす。アメリカーも日本人もそのことをいずれ思い知るだろう。この島の人たちだけが正真正銘の英雄を知って、愛を与えるものになれるのさ。

戦争は「未だ終わっていない」

沖縄に基地がある限り、戦争はまだ終わっていません

戦果アギヤーたちの存在は、長いこと隠され続けてきました。

そして、アメリカ兵をはじめ、日本人たちが犯した罪についても、未だに伏せられている事実があります。

たしかにそう言ったのさ。ふたりのダニー岸。

ふたりともダニー岸。善き善人をよそおったこの男も、悪趣味な嗜虐にふける男もどちらもダニー岸。アメリカの利益とみずからの存在意義を同化させて、この沖縄の現実を本土から遠ざけることに、対岸の火事のままに保つことに血道を上げるすべての日本人が、”ダニー岸”だったのさ。

私たちには知る権利があります。

祖先がどんな行いをしてきたのか。

そして、平和になるためにどれほどの犠牲が伴ったのか。

新たな時代を刻もうとしている今だからこそ、目を背けずに知るべきなのです。

アメリカーが、日本人が、この島でどんなに愚かなことをしてきたか、ふたつの国が奪っていった故郷の宝が何なのかを叫んだ。ここから返還の日までは、新しい時代を迎えるまでは、どれだけの人を愛せるかの勝負だ。

主題歌:THE BOOM/島唄

THE BOOM(ザ・ブーム)の「島唄」です。

2014年に解散してしまいました。

地元の情報をまとめたサイトに、この曲の構想について気になることが書かれていたので、記事を一部抜粋します。

戦争で先立たれた妻の死体を畑に埋めて、「今も、そして僕の命が土に還ってもずっと一緒だよ」という歌なんですが、なぜそんな歌詞が出てきたのかもわからない。でもとにかく、沖縄を訪れたことで生まれた曲なんです。

それで、「この島には何かあるな」と思って通うことになるんです。

 

島唄よ 風にのり 鳥と共に 海を渡れ
(島唄よ、風に乗せて、死者の魂と共に海を渡り、遥か遠い東の海の彼方にある神界 “ニライカナイ” に戻って行きなさい。)

島唄よ 風にのり 届けておくれ わたしの涙
(島唄よ、風に乗せて、沖縄の悲しみを本土に届けてほしい。)

たくさんの民間人が犠牲となって倒れていったこと。

人々の悲しみが、島中に広がったこと。

初夏になっても、米軍の攻撃が続いたこと。

戦争で命を落とした方たちへの鎮魂歌として、この曲を贈ります。

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