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『七つの会議』池井戸潤【映画公開目前!あのクライムノベルをもう一度】

 

2019年2月1日(金)にある映画が封切りされる。

池井戸潤原作『七つの会議』

社会現象まで巻き起こした『半沢直樹』や『下町ロケット』等、数々の池井戸作品を手掛けた福澤克雄監督による映画化。

原作は2011年5月から約1年間かけて日本経済新聞電子版に連載され、単行本化するに当たり加筆されている。

映画では、野村萬斎さん演じる、ぐうたら社員八角民夫を主人公として、物語が進みそうだが、原作は主人公が異なる8編の短編で構成されています。

そんな違いも楽しみながら、公開が迫った今、小説をもう一度振り返ってみる。

あらすじ

舞台は大手メーカー、ソニックの子会社東京建電

  • 第1話『居眠り八角』ー営業第二課課長 原島万二視点
    花の一課、地獄の二課と呼ばれる東京建電の営業課。営業二課長の原島は、ノルマ未達成のため、営業部長の北川に罵られていた。一方、一課長の坂戸は出世街道まっしぐら。ところが突然、坂戸は万年係長の八角からパワハラを訴えられ、謹慎処分になる。そのため、原島が一課長になるが、一課の営業成績の良さの秘密を知ってしまう。
  • 第2話『ねじ六奮戦記』ーねじ六 三沢逸郎社長視点
    大阪のねじ製造会社「ねじ六」。父親の急逝により、勤めていた鉄鋼メーカーを辞め、社長になった三沢逸郎。バブル崩壊やその後の不況も乗り越えてきたが、ギリギリの経営状態である。ある時、東京建電の坂戸から航空機のねじを依頼されるが、コンペでかつ製造しても赤字にしかならない。それを断ったため、ねじ六は窮地にたたされる。新規開拓も身が結ばない中、坂戸の後任、原島がやってきて、また発注をするという。理由は述べないが、彼がばらまいてしまったねじを見て、逸郎は悟るのである。
  • 第3話『コトブキ退社』ー営業4課 浜本優衣視点
    不倫関係だった彼と別れ、27歳の誕生日を1人で過ごす浜本優衣。このまま良いのかと迷った挙げ句、コトブキ退社で会社を辞めることにする。コトブキ退社は嘘であるが、会社で何もしたことが残らないことにがくぜんとする。辞めるまでの2か月、同期の桜子が残業で夕飯も食べられない状況から、会社での無人ドーナツ販売を計画する。
  • 第4話『経理屋稼業』ー経理課課長代理 新田雄介視点
    営業1課のコストが上がっていることを経理課課長代理の新田は、苛立っていた。営業1課課長の原島を問いつめても、コスト高は必要なものだと怒鳴られ、怒りは更に苛立っていた。甘やかされて育った新田は原島を見返すため、役員会の議題にはねのけられても、上司の命令を無視し、コスト高の原因を探ろうとする。

  • 第5話『社内政治家』ーカスタマー室長 佐野健一郎視点
     営業部次長であったが、上司の北川、そして製造部長の稲葉に袖にされ、カスタマー室長へ左遷された佐野健一郎。今の仕事はクレーム処理。月1回のレポートに載せるに当たり、折り畳み式椅子のねじが壊れたクレームを見つける。そのクレームを調べていくと、一人では抱えきれない真相にたどり着いてしまう。
  • 第6話『偽ライオン』ー営業部長 北川誠視点
     かつての部下でカスタマー室長の佐野が、ねじの強度不足関する告発文が北川へ届いた。他にも、社長の宮野や製造部長の稲葉にも送られていた。しかも、この内容は大方事実であり、半年前には同期の八角にも指摘されていた。しかし、社長の宮野へ報告すると、隠蔽の決断が下される。厳しいノルマを乗り越え、部長にまで昇った北川には、佐野は敵でないと思っていたところ、ソニックから転籍した副社長村西に呼び止められ、告発文を見せられる。
  • 第7話『御前会議』ー東京建電副社長 村西京助
     告発文を受け取った村西は、かつて自分が籍を置いていたソニックへ品質偽装の説明に行く。ソニック社長の徳山やかつてのライバル梨田等が揃う、通称御前会議でソニックから調査チームが派遣されることが決まる。そして、村西が受け取った告発文が八角であることを知り、さらにメガトン級の爆弾を落とすという。そして、村西は新聞社へのリークであることを新聞を見て気づくのである。
  • 第8話『最終稼業』-営業第一課 八角民夫視点
     ソニックから派遣されてきた弁護士と八角で、坂戸から不正に関わった経緯を聞く。彼の言い分を聞いていると、不正はトーメイテックの社長江木から持ちかけられたというが、江木を問いつめても坂戸から持ちかけられたという。しかし、坂戸が嘘を言っているとも思えない。八角はまだ何か隠されていると感じ、真実を知るために調査ヘ乗り出す。 

”八角民夫”という男

何重にも隠蔽された不正に風穴を開けたのは、万年係長 八角民夫

各々の話のメインは異なるが、彼はほとんどの話に登場する。

組織に対するアンチテーゼのように描かれているが、かつては厳しいノルマをこなす、北川や坂戸のような営業マンであった。

しかし、顧客が自分の売った商品を苦に自殺したことから、会社の方針に疑問を持つようになる。

東京建電の不正を明らかに大胆な行動をとるようになったのは、当時の上司で、親会社ソニックから出向していた梨田と対立し、閑職に追いやられてからだ。

かといって、会社での立場が悪くなろうと、八角は東京建電を去ろうとは思っていない。

彼の妻が、”損な役回り”と言ったように、真実を真正面から追い求める不器用な人間なのかもしれない。

それが”八角民夫”の魅力なのだと感じる。

まとめ

会社のために身を捧げられるのか?

会社の利益を優先するために、「不正」や「欺瞞」に走るのか。

会社のためにならない真実は潰されるだけなのか。

ブラック企業と揶揄されそうだが、

昨今の企業の不正問題を見ると、このような企業はフィクションでは片付けられない何かがある。

主題歌:SEKAI NO OWARI/Death Disco

この本に曲をつけるとしたら、SEKAI NO OWARIの「Death Disco」になるかと思った。

SEKAI NO OWARIの音楽はファンタジー性が強く、歌詞も中二病と言われるが、

『七つの会議』で組織ぐるみで不正が行われていたように、大人になっても正義と悪の区別はついていないと感じ、

この曲の歌詞が合っているのではないかと感じた。

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