今や、amazonを利用したことが無いという人は少ないのではないだろうか。
多岐にわたりそれぞれの分野でトップレベルの業績を上げているamazonであるが、その裏側や戦略、そしてこれからどうなっていくのかは知らない人が多いかもしれない。
普段身近なamazonが、実際どのようにして利益を上げ成長し、どういう仕組みで翌日に荷物が届くのかなど、読んでいて「そうだったのか!」と驚くばかりで、読了後はamazonに対しての見方が変わるだろう。
同業の方から私のような経済について特に詳しくない方まで、分かりやすい説明で書かれているので、どなたでも読みやすいビジネス書となっている。
こんな人におすすめ!
- amazonに興味がある人
- 経営についての知識を増やしたい人
- ネットビジネスの今後を知りたい人
あらすじ・内容紹介
マイクロソフトの元社長である成毛眞さんがアマゾンを分析し、分かりやすく説明していく。
本書は、ビジネス用語も分かりやすく説明されており、時に図も交えてあるので非常に理解しやすい内容となっている。
アマゾンについて初心者の方が最初に読むのに適しているだろう。
内容としては、アマゾンがどれだけすごいかを経営の仕方からテクノロジーまで、さまざまな視点で書かれており、成毛さんの予測や考えを取り込みながら推測していくものとなっている。
アマゾンは秘密主義なので、予測という形で書かれている部分が多くなるが、マイクロソフト元社長の成毛さんの推測や予測というところがまた面白さのポイントとなっている。
まずは世界におけるアマゾンの凄さから、投資の仕方、そしてこの先アマゾンが何をしようとしているのかの未来を垣間見ることが出来る。
『amazon 世界最先端の戦略がわかる』の感想・特徴
amazonのすごさ
アマゾンは何で稼ぐ会社かと問われれば、クラウド事業と答えるのが妥当だろう
アマゾン=通信販売と思っていた自分は、最初から眼からうろこである。
気づかないところで生活のいたるところにアマゾンは入り込んできている。
全く知らなかった人は、アマゾンがこんなこともやっていたのか?!と驚くことが多いだろう。
前半部分はとにかくそのすごさに圧倒される内容となっている。
例えば、
アマゾンはオンライン通販だけでなく、リアルにも着々と進出している。2017年には高級スーパーのホールフーズ・マーケットを買収した。これによりアメリカを中心にカナダ、イギリスの一等地に約450店舗を所有することになった。さらには「アマゾンゴー」という無人店舗もはじまった。いずれも単なる小売業にとどまらず、ネットとリアルの境界線を超えるアマゾンのサービス拠点となる。
ネットのみならず、リアルにも進出しているのだ。
今、ネットとリアルの境界線をどれだけ無くしていけるかが鍵になってきているビジネスシーンにおいて、無人店舗のアマゾンゴーの仕組みはすごく興味深いものとなっている。
次に、アマゾンのすごさの中で誰もが身近に感じるのは翌日配送ではないだろうか。
当たり前のように私も利用しているが、どういう仕組みで翌日に配送できるのか、アマゾンの物流や倉庫の仕組み、そしてAIによる配達予測など、これまで利用していたけどその裏側は知らなかったという方は、ぜひ読んでみてもらいたい。
ビジネスマンや、普段、経済専門誌を読んでいる方は目にしたこともあるだろう「アマゾンエフェクト」という言葉は、地球規模での経済秩序の破壊および再編のことであり、この言葉があるということは、どれだけアマゾンが世界経済を変えてきたのか伺い知ることが出来るだろう。
最近では、音楽や動画もアマゾンで楽しむことが出来るが、本当に多岐に渡りビジネスを展開しており、それがまたどのジャンルをとっても独立した企業として成立するほどで、読めば読むほど驚くばかりである。
自分が知らなかったサービスやビジネスについても書かれているので非常に面白く、今後の展開についても予測し書かれているので未来に少しワクワクしながら将来的にどうなっていくのか想像し、アマゾンがどこまで成長するのか怖いくらいになるが、具体的な数値と共にこれまでの成長や世界におけるシェア、何がどうすごいのか具体的に知ることが出来る。
キャッシュフロー
常識を超えて成長を遂げているアマゾンであるが、財務戦略もまた、良い意味で常識はずれである。
第二章では、アマゾンがいかにキャッシュフローを重視しているかが書かれているが、アマゾンが成長していく中で、この部分は軸となるかなり重要なポイントではないかと感じた。
そのカラクリが、誰にでも分かるようにグラフや数値と共に説明されており、この章を読み終わる頃には自然と知識も増えていた。
ネットビジネスがなぜこんなにも急成長するかは、その利便性やスピード感、誰もがスマホを持てるようになり、すぐにネットショップに接続出来るようになった背景もあるが、財務戦略もリアル店舗とは違ったスピード感があるからだろう。
ネットメディアの方が、活動するためのキャッシュが構造的に早く入ってくるのだ。ウェブメディアがあっという間に拡大した理由がわかるだろう。
早く手元に資金が入ってくることによって、新しい設備などに投資がしやすくなるのだ。
アマゾンは、設備投資を惜しまずに倉庫や物流を確保し成長をしてきたが、その運用資金をどのように算出しているか、このように書かれている。
たとえば、マーケットプレイスで出品業者が1000円の商品を販売すると、アマゾンが手数料として10%とっていたとする。最終的に手にするのは100円程度だ。だが、一時的に、アマゾンの手元に1000円が入る。つまり、売り上げからアマゾンの手数料を引いた「預り金」を出品者に支払うまでの期間はアマゾンにとって無利子で運用可能な資金になるのだ。
この、無利子で運用できる資金があるからこそ、どんどん設備投資ができている。
ネットメディアはキャッシュが早く入ってくること、そしてその分預り金を出品者に支払うまでの期間が長くなり、結果的に無利子で運用可能な資金がリアル店舗でのやり方よりも長く手元に置いておけるということになる。
ただ、その中でもなぜ他のネット企業よりも成長できたのかは、2000年のリーマンショックの時にさかのぼる。
この時代、たくさんのネット企業が赤字に転落し、社名にドットコムがつく会社が4社も姿を消している。
しかしこの時期、赤字にも関わらずアマゾンは企業拡張に投資を続けていたのだ。
アマゾンの社長であるジェフベゾスは全くぶれずに長期的な視点で自社と世界経済を見ていたのかもしれない。
この投資の仕方と資金運用については、細かく分かりやすく書かれているので、
アマゾンをより深く知りたい方は、ぜひこの章は読んでいただきたい。
未来
どのジャンルをとっても独立した企業として成立するアマゾンであるが、ひとつのジャンルにとらわれていないが故、将来的にどうなっていくのか予想ができないと思ったが、ここがアマゾンの面白さであると感じた。
アマゾンの発展を支えるのはテクノロジーであるが、今後どのように発展していくのかが読んでいて非常にワクワクした。
例えば「アレクサ」である。
アマゾンのすごいところは、アレクサ対応機器の開発キットや対応部品の作り方の文書などをネット上で外部に公開しているところだ。ソフトウェアのキットがありそれを配っている。
できた製品は、契約により、アマゾンによりテストされる。そこで、ウィルスがないかチェックされ、合格すればリリースされる。
今後、アレクサ対応の家電製品が増えていくのだろうと思い、その未来にワクワクさせられた。
もちろんアマゾンの考えていることはこれだけではなく、将来的にドローンを使って配達するために特許を取得していたり、空中の倉庫を作ることも考えていたりと、読めば読むほど驚くばかりであった。
少し未来を知れたような気がして、では自分は今後どうしていくかなど、前向きな気持ちにもなれた。
現在AIブームのさなかで過熱しているのが、人材の争奪戦だと書かれていた。
今後将来的にどのような人材が求められるのかまでも、アマゾンを通して垣間見えた気がする。
まとめ
普段利用しているamazonが、どんな会社なのか軽い気持ちで読んでみたが、ビジネスシーンで活躍されている方はもちろんのこと、特に経済に詳しくない方まで興味があれば非常に面白く読むことができる。
アマゾンの資金について、プライムサービスの力、M&Aについてなども詳しく書かれているので、まずはこの1冊でamazonを知ることが出来るだろう。
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