なぜ今売れているのか?
今書店に行くと、どこの書店でも入り口付近にたくさん平積みされている本がある。
その名も「日本国紀」。
なんと発売1か月で50万部も売れたそうである。
出版業界では10万部売れたらベストセラーと言われているので、この本がいかに売れているかがよくわかると思う。
AmazonのKindleなど電子書籍の普及に伴い紙媒体の出版部数が減少している現状とはまるで無縁であるかのように飛ぶように売れている。
出版社の幻冬舎社長の見城徹氏はTwitterでこのように語っている。
[日本国紀]はリアル書店とネット書店の売れ行きデータを元に厳しめの判断をして増刷しています。増刷をすれば印税や紙代、印刷代を払わねばならず、流通コストもかかります。自分の首を締めるような増刷はしません。また増刷部数や合計部数を水増し発表もしていません。現在の発行部数は60万部です。
11:49 PM – 11 Jan 2019
ではなぜ今この本が驚異的に売れているのか?
私が理由として挙げられると思ったのは二つある。
一つ目は今年で平成が終わるということである。
時代の節目を目の前に控えている私たちは、今までどのような歴史をこの国が歩んできたかを知るべきだろうし、実際に知りたいという人が多いのではないだろうか?
この本はただ平成を振り返るだけではなく、日本の歴史全体の詳細について記述されているので、より一層日本の歴史についての理解が深まると思う。
確かにほかにも時代を振り返ることを目的とした書籍は多々店頭に並んでいるが、縄文時代から振り返るものは小難しい専門書ばかりで、歴史家でないと理解できないものも多いので、一般の人にこの本が幅広く受けいられていると考えられる。
二つ目は副読本の存在である。
副読本の詳細な紹介は後程述べるとして、店頭には「日本国紀」の本の隣に「「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史」という本が陳列されている。
「日本国紀」は非常に分厚い本なので見た目で読むことを敬遠してしまう人も多いだろう。
しかしながら、隣に副読本(しかも薄い!)が置いてあることで、副読本なら読んでみようかな?という人も出てくることだろう。
そこから興味をもって「日本国紀」を購入する人もいるだろうし、「日本国紀」を購入してから副読本を購入する人もいる。
つまり、2冊の本が互いに本の認知度をあげていることで、通常以上の宣伝効果を持っている。
というのが私なりの分析である。
日本の歴史について
本書で私が皆さんにぜひ注目していただきたい時代がいくつかある。
それは
- 鎌倉時代
- 大東亜戦争前後
- 平成時代
この3つの時代である。
鎌倉時代について
鎌倉時代は長く続いた平安時代に比べてあまり印象に残らない人もいるかもしれないが、実際には様々な事件が起きた激動の時代である。
源義経と源頼朝の兄弟間での確執、元寇、北条氏の台頭などいろんな出来事が起きている。
そして、この時代に生まれた言葉に「一所懸命」がある。
「自分の土地はしっかりと耕し、命を懸けても守るもの」という意味が語源のようである。
最近では「一生懸命」という言葉の方がよく用いられているが、これは「一所懸命」から派生してできた言葉であると考えられている。
また、同じく鎌倉時代には「いざ鎌倉」という言葉も生まれている。
現代にも使われている言葉の語源をさかのぼってみるのもなかなか興味深いのではないだろうか?
大東亜戦争前後について
現在では太平洋戦争と呼ばれているが、当時は大東亜戦争と呼ばれていたようで、著者は本の中でたびたび
現在の感覚で当時の名称を変更するのはよくない
という立場に立っているので、今回は私も著者の意思に従った形であえて大東亜戦争と呼ぶことにする。
敗戦の歴史を振り返ると、改めて人的被害の大きさに驚愕する。
そして、若くして亡くなった日本軍の方々がどれだけつらい思いで戦場に向かっていったのだろうかと思うと、涙が止まらない。
私たちはいかなる理由があっても戦争などしてはいけないし、大東亜戦争で亡くなった多くの方々のためにも、今の平和な状態を後世にまでしっかりと残していく義務がある。
しかしながら、現状では世界中でいまだに紛争やテロが横行しており、平和な状態であるとはお世辞にも言い難い。
改めて平和っていったい何だろうか?
このことを考えるにあたって過去の敗戦を忘れてはいけない。
平成時代について
そして最後は絶対に外せない平成時代についてである。
30年という比較的短い期間の中で、日本は目まぐるしく変化をしてきた。
バブル経済の崩壊、郵政民営化、リーマンショック、民主党による政権交代など、政治・経済に大きな変化が起きた時代であった。
そして、自然災害にも見舞われた。
阪神淡路大震災、新潟中越沖地震、東日本大震災、熊本大地震、阿蘇山の噴火、西日本豪雨。
ここにすべて挙げることはできないぐらい多くの自然災害でかけがえのない人を失い悲しみに暮れる一方で、ボランティアの方々の活動によって被災者の方々の心に癒しを与えたことに間違いはないだろう。
あと残り数か月で終わる平成。
あなたは今いったい何を思うだろうか?
百田尚樹とメディア
ニュートラルな立場から言うと、百田尚樹はやはり保守系の作家であろう。
著名なので度々講演会や国の委員会などでの発言が波紋を呼ぶことが多い。
問題になった発言の1つとして、2015年6月25日に行われた東京の自民党本部における沖縄に対しての意見が挙げられる。
「本当に沖縄の2つの新聞社はつぶさなあかん」
「沖縄の米兵が犯したレイプ犯罪よりも、沖縄県で沖縄自身が犯したレイプ犯罪の数の方が多い」
という発言がかなり問題となった。
しかし、この言葉をそのまま文字通りに受け取ってしまうことはあまり好ましくはない。
百田氏も他の著書「逃げる力」で主張しているのだが、この発言は講演の初めのほうで場を和ませるためにやや冗談めいて発言したようだ。
それを朝日新聞や毎日新聞などのリベラル系の新聞社がその部分だけを取り上げて百田氏を猛烈に非難した、というわけである。
しかしながら百田氏は叩かれるのを承知でそのような偏った発言をしているので、どちらともいえないというのが私の所感である。
放送作家でもあるので、逆に炎上するのを計算して発言しているのかもしれない。
このように、百田氏はしばしば左翼系メディアと正面から衝突しているのだが、彼の政治観にも一貫性があって論理的なので、マスメディアが報道する百田氏と著書の中での百田氏はしばしば異なるので、その点には注意したい。
副読本について
先程も述べたが「日本国紀」には公式の副読本である「「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史」が存在する。
まず副読本としてはこの本が一番内容的にも合っているのではないだろうか?
百田氏の本編では書かれていないことも知れるので要チェックである。
「日本国紀」の副読本 学校が教えない日本史 /産經新聞出版/百田尚樹
ほかにも、私なりにその他の副読本を選んだので、こちらも一読していただきたい。
まずは「読むだけですっきりわかる日本史」後藤武士著
文庫本で割とページ数も少ないのでかなり読みやすいと思う。
内容的にはやや薄い気もするが、日本史が全くわからないという方にはうってつけの本である。
私も小学生のときにこの本を読んで、ある程度理解できたので、幅広い年代に向いているのかもしれない。
次は「古事記」
「日本国紀」も古事記を参考にしているようなので、あえて古事記を読んでみるのもよいかもしれない。
ただ、副読本の中では一番難解でやや読みづらい気もするので、ある程度日本史を分かっている方でないと読破は難しいだろう。
まとめ
現代はものすごい速さで変化しており、数年経過するだけで過去に起こった出来事が忘れられることもしばしばある。
しかし、本当に過去の歴史を忘却してもよいのだろうか?
私たちは先人たちの努力と犠牲の上で今の幸せな生活を送っているのであり、過去に起こった良い歴史・悪い歴史ともにきちんと理解しておく必要があるのではないだろうか?
今まであまり歴史に興味がなかった人も、この本をきっかけに歴史を学んでみたいなと思っていただければ幸いである。
主題歌:RADWIMPS/HINOMARU
RADWIMPS「HINOMARU」
この曲も配信された直後に「愛国心の塊だ」などと批判を受けて何かと注目を浴びてはいるが、内容的には日本の歴史という観点からピッタリであると思う。
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百田尚樹『輝く夜』同じ著者ですが、ことらは感動的な物語です!
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