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『銀河鉄道の父』あらすじと感想【天才宮沢賢治を支えた偉大な父の伝記】

『銀河鉄道の父』あらすじと感想【天才宮沢賢治を支えた偉大な父の伝記】

『銀河鉄道の夜』。

文豪宮沢賢治の代表作であり、未完の傑作です。

大自然をもとに独自の視点で童話や詩を手掛けてきた彼は、晩年にいたるまで創作活動を止めませんでした。

自由奔放で活気にあふれた賢治。

そのような彼を陰で支えていた人物をご存知でしょうか。

その人の名は宮沢正次郎。

宮沢家の大黒柱であり、晩年にいたるまで自由奔放な賢治を叱責し、激励した人物です。

本書は、正次郎に焦点を当てた直木賞受賞作。

天才宮沢賢治を支えた、偉大な父のお話です。

こんな人におすすめ!

  • 宮沢作品の裏側を見たい人
  • 人間臭い宮沢賢治を見たい人
  • 一風変わった宮沢作品を読みたい人

あらすじ・内容紹介

『銀河鉄道の夜』を手掛けた宮沢賢治。

彼は造語や擬音を多用し、自然の美しさを豊かな色彩や煌びやかな鉱石で例えるなど、独自の作風で童話や詩を手掛けました。

生前は全く売れませんでしたが、死後、彼の作品は絵本になり、文学的にも高く評価されています。

影で彼の創作活動を支えたのが、一家の大黒柱、政次郎(まさじろう)。

賢治の荒唐無稽な思想に振り回されながらも、父として陰ながら応援する姿。

時に厳しく時に優しく子供を諭す様には、現代の父親も見習う部分があるでしょう。

天才宮沢賢治の生涯を支えた、偉大な父の伝記物語です。

『銀河鉄道の父』の感想・特徴(ネタバレなし)

全く素直ではなかった不器用親子

政次郎は、賢治に手を焼いていたようですね。

優秀な跡継ぎにさせようにも、思いどおりに動きません。

道草を食ってほっつき歩き、石を集めて高価な標本箱をせがむ幼少期。

質屋の息子であるにもかかわらず、農学校に入学して農民の役に立ちたいと志願する学生時代。

盛岡高等農林学校を首席で合格したのはいいものの、賢治は無理がたたって体を病んでしまいます。

当時のチフスや結核は罹患すること、イコール死を意味しました。

今と異なり保険もありませんから、入院の治療費も馬鹿になりません。

政次郎は賢治の行動を気にかけて、胃が傷む思いをしていたに違いありません。

自分よりも息子の心配をしていた政次郎は、父親として立派に役目を果たしました。

迷いがあるから賢治への態度がさだまらない。会話をしたり、わざと避けたり。

明治生まれの新世代の父親はどうすればいいのだろう。あの心ゆくまま賢治とつながることのできた半年前の隔離病舎の日々がとほうもなく愛しく、なつかしい。

正次郎の苦労は、人造宝石を生成、販売することをもくろむ青年時代まで続きます。

賢治の頭の中には絶えず新しい考えがあり、その都度お金をせしめては、お詫びの言葉を手紙に書いてよこしていました。

正次郎にとって懐が痛む話であっても、駄目だと突っぱねないところが、家族の長としての意地とプライドでしょう。

賢治をしのぐトシの才能

最初に才能が現れたのは、賢治ではなく、妹トシのほうでした。

彼女の並外れた文才は、書き物を生業としていない正次郎でも舌を巻くほどでした。

祖父の喜助に対し、往生せずに立派に死んでくれという、少々冷酷に見えてもおかしくない内容の手紙でしたが、文章には愛情が滲み出ていて、正次郎の胸を熱くさせました。

なにより驚いたのは、トシの文章を声に出して音読すると、言葉がスムーズに流れてゆくことです。

読み手のことを気遣い、何度も声に出して読んだり、推敲を重ねたりしたのでしょう。

文中では、「書き流し申し候」などと謙遜しているけれども、ほんとうは下書きをして、手を入れて、浄書になおも手を入れて……を繰り返したのではないか。

この文章はいわば原石ではなく、推敲という名の練磨を経た末の、

(貴金属)

そんな気がしてならなかった。

もしトシが女性でなければ、彼女が書いた童話や詩集が販売されていたのかもしれません。

当時女性の地位は、男性より高くありませんでした。

そのような時代背景もあって、彼女の文章を読める機会は限られています。

しかし、手紙の一文でも分かるとおり、文才があったことは間違いないでしょう。

彼女が現代に生まれていれば、教科書で習っていたのかもしれませんね。

法華経に傾倒する賢治、トシの死

宮沢家の家族が1番辛かったのは、トシとの早すぎる別れでしょう。

肺炎で入院したトシは、大正11年の11月、享年24歳でこの世を去りました。

彼女の死が、後に賢治の創作に意味をもたらします。

当時傾倒していた法華経の影響もあり、この時代の賢治は『貝の火』などの輪廻転生をモチーフにした作品を多数世に出します。

法華経に熱中すぎるあまり、賢治は父と激しい論争を繰り広げます。

正次郎は、敬虔な浄土真宗の信者でした。

賢治がトシに抱く愛情は、兄妹愛の概念を通り越していました。

最たる例が、かの有名な『永訣の朝』です。

病床で呟いたトシの最期の言葉を、賢治が詩という形で発表したものです。

ああ とし子

死ぬといふ いまごろになって

わたくしを いっしゃう あかるく するために

こんな さっぱりした 雪のひとわんを

おまへは わたくしに たのんだのだ

ありがたう わたくしの けなげな いもうとよ

わたくしも まっすぐに すすんでいくから

(あめゆじゅ とてちて けんじゃ)

彼女が頼んだ一椀の雪が、賢治の心にしんしんと降り積もります。

創作することによって、妹を喪った悲しみを供養しているのです。

彼の心には、美しいトシの幻が映っています。

彼女をモチーフにした登場人物が、賢治の作品の中で重大な位置を占めているのも、単なる偶然ではありません。

最愛の妹を喪った悲しみに勝るものはないのでしょう。

血のつながりを越えた、実体的な愛によって数々の物語を生み出していきました。

彼女の影響は、「ふたごの星」と接点がある「手紙四」、「ひかりの素足」の楢夫、「二十六夜」の穂吉にも伺えます。

「手紙四」ではふたごの星のチュンセとポーセが、普通の子どもとして生活を送っていたらどうなっていたかが描かれています。

このように賢治は生涯トシの影を追いながら、創作を続けたのです。

その後、彼は結核と格闘しながら、手帳に『雨ニモマケズ』を書き記すこととなります。

生前、彼の書いた童話や詩集はほとんど売れませんでした。

大量に残った在庫は、親戚や彼の友人、知人に配布されたと伝えられています。

賢治にとって、裕福な家庭で好きなように生きることは、楽しいことである反面、苦痛でした。

『よだかの星』のよだかのように、他の命を頂いて、自分が生き長らえることを罪と見なしていたのです。

彼が質屋という生い立ちで苦しんだことは、『銀河鉄道の夜』のジョバンニが、ザネリをはじめとするクラスメイトに、「らっこの上着が来るよ」とからかわれたことにつながります。

農民からお金を巻き上げることで生活している自分に対して、後ろめたい気持ちがあったのかもしれませんね。

誰もが求めるほんとうのさいわいを求める魂を、『銀河鉄道の夜』のカムパネルラに託したとするならば、大切な人を亡くした孤独と淋しさをジョバンニに、裕福で何不自由なく生きている自分をザネリに託したのでしょう。

未完の傑作、『銀河鉄道の夜』には、賢治の死生観が色濃く映し出されています。

結核の再発後、死の間際まで賢治の覚悟は変わりませんでした。

まとめ

政次郎は、賢治に対して複雑な愛情を抱いていました。

口ではきつく息子を諭しながらも、内心では気が気でなかったようです。

言葉を交わさなかった日も、絶えず息子のことを考えて、なにかできないかと模索していました。

賢治のためにこっそり鉱物学の本を買い込んで、汽車のなかで読み漁り、習いたての知識を息子に教えるなど、政次郎には微笑ましい面もあったようですね。

父の姿を、賢治はどのようにとらえていたのでしょう。

多少口が悪くても信頼できる、頼りがいのある父親とみなしていたのでしょうか。

作中では、絶対的な父親として描かれていますが、他の側面もあったのかもしれません。

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