『現代詩人探偵』あらすじと感想【詩をめぐる鬱くしいミステリー小説】

『現代詩人探偵』あらすじと感想【詩をめぐる鬱くしいミステリー小説】

まとめ

皆さま、いかがでしたでしょうか。

もちろん、この記事で語れた内容は全てネタバレにならない程度のものですので、この小説の全てではありませんし、全ては根拠もない私自身の考察となります。

ここから先は、推理ではなく、私自身の経験も込みでの、この小説への個人的な感想となります。

私は現状、ライターをさせて頂きながら『僕』同様に作品を書いている生活も送っております。

実際に応募もいくつかしており、雑誌に名前が載った事もありますが、どれも結局は寸止めで、この小説風に言わせて頂くならば『何者になるでもなく』、終わってしまっております。

たまに、書かない人生を歩みたいと思う時があります。

書かない、普通の人生を、周囲の友人達が過ごしているような人生で心が満たされる人間になりたかった、とそう思う事があります。

実際私が小説を書くようになったのはここ数年の話で、正直今の人生の中で小説を書かなかった頃の方が時間数としては大きい、それなのに今小説を書く事の方に多くの時間を割いている自分がいるのです。

どうして? と問われても、正直わかりません。

なぜか、まだ書いてる自分がいる。

そんな現状の自分にとって、この作品は痛い程につき刺さる作品でした。

正直、最初に読んだ時は、第一章で読むのをやめようかと思いました。

ネタバレになるので多くは語りませんが、この一章はどの章よりも実際にあり得てもおかしくない話だと思いました。

それ故にこのまま読んだら『僕』の感じているその感覚に、引きずられてしまうような気がし、まずいと思ったのです。

けど、それでも読み進めたのは、こちらの感情を引きずる程のその文章の描き方というものが凄く魅力的で、本当はいけないのに手が伸びてしまう、麻薬のような、禁断の果実のような、そんな気持ちで読み進めました。

最後まで、無事何事もなく読み終わり、この記事を書くにあたって再読了も無事に済ました今、思う事は、私はこの作品を自分の中でどう活かせるか、という議題です。

この小説を読んだことで得た、言葉にならない程に胸をしめつけられた、その感覚、そこにあった何か、それこそ詩人である『僕』のようにこねくりまわし、なんとか形にし、私の言葉ならどうなるかを探り当てる――。

そうして自分の作品を書く技術として、自分の中へ落とし込んでいくのです。

この世の中、自分の意見を飲み込み、世間に流されなければいけない事は、多々存在するものです。

そんな世の中で、心の底からの言葉を口にするのは、酷く難しい事です。

それを誰かに伝えようとする事は、本当に。創作物云々は置いといて。

そんな世界の中で、自分の底にためられ、吐く事も出来ずに泥のように混ざり合い沈殿している感情達。

それを心の奥底から引きずり出されるような作品でした。

もしこの記事を読んでご興味をわいた方いましたら、ぜひご一読下さい。

そして、読み終わったその時、自分の中からどんな言葉が引きずり出されたか、それを覚えていてください。

それは、アナタにしか生みだせない、アナタだけの言葉の筈だから。

主題歌:神様、僕は気づいてしまった/宣戦布告

覆面四人組バンド、神様、僕は気づいてしまった『宣戦布告』。

再読了を始めようとした時、このバンドの楽曲に絶対しよう、と思いました。

どの曲にしようかな、と自身の好きなバンドを順々にあげていた時、このバンドの名前がふいに目に飛び込んできたのです。

まるで、小説の一行目のような名前。これを創作に関する苦悩を描くこの作品にあてず、どの作品にあてろというのか。

バンドの名前じゃないですが、このバンドがいるよ、と神様に気づかせて頂いたような気がしてしまいました。

人間という生き物への後悔、苦悩、絶望などを描く事が非常に多いバンドさんだった事も幸いし、もうここしかない! という気持ちで決めさせて頂きました。

その中でも、『宣戦布告』という曲を選んだのは、ミスマッチだったから、というなんともBGMにするには不純な理由だったりします。

この楽曲は、王道なバンド編成で行われるハードソング、つまりはハードロックでして、始終鬱蒼とした空気で物語を進んでいく『現代詩人探偵』の空気とは一見真逆な印象を覚える楽曲です。

最初は作品の空気にあわせて、バラードを選曲しようとしていたのですが、再読了を終えた後、考えを改め、こちらの楽曲に致しました。

なぜなら、この話は『苦悩』や『死』という重いものを書いてはいるものの、それらはあくまで物語の要所要所で行われる細かい展開であり、本当の物語のゴールは『答え』を求める事にあるからです。

詩を書いて生きるとは何か、なぜ詩を書いてしまうのか、なぜ死んでしまったのか――。

あくまでもその『答え』を探し見つけるストーリーなのです。

極端に言ってしまえば、宝探しをする冒険談のようなものなのです。

ただし、探す宝物は、煌めきも輝きもない、ただただ苦しいだけのものですが。

だから、ハードなメロディーで前へ進む楽曲を選ばせて頂きました。

前へ、もがき苦しみながら、それでも進んでいく、答えを手にしようとする『僕』の姿に被せるように。

絶望/此処に未来なんて物はない/塞ぎ込んでいく/明日は昨日よりずっと冷たい
一生孤独なピエロで/震え怯えていくのだろう/これは宣戦布告だ
もう何もいらない

(作詞:どこかのだれか)

そうサビで叫ぶように歌われる歌詞。

きっと、『僕』が求める『答え』は、決して幸せなものではない。

この歌詞のように、死因を探れば探る程、あるのは昨日よりもずっと冷たい明日の存在。

そして、相も変わらず死ぬ事もできず、かと言って詩人にもなれずにいる、自分という存在の認知。

自分には何もないと認める事は非情に苦しいものです。

自分にはこれしかないと思っていた事すら、世の中から見たらチンケなものだったと気づいた時の絶望と言ったら、それこそ言葉にならない苦しみでしょう。

けどそれでも『僕』は『答え』を探し、求め続けるのです。

まるでそれが、『詩を書いて生きる』という事への『宣戦布告』であるかのように。

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