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『いけない』あらすじと感想【あなたは見抜けるか?写真が暴く驚愕の真実】

何も見てはいけない。

何も気づいてはいけない。

何も知ってはいけない。

その2つの街では何も起こってはいないのだ。

こんな人におすすめ!

  • 鮮やかにだまされたい人
  • どんでん返しミステリーが好きな人
  • 自分は注意深い人間だと思っている人
  • 「ミステリーの結末は自分で考えさせて!」と思っている人

あらすじ・内容紹介

第1章「弓投げの崖を見てはいけない」

自殺の名所「弓投げの崖」で起こった悲惨な交通事故。

被害者の女性の周りで起こる些細な変化や出来事に、交通事故の犯人を追う刑事は不審に思う。

はたして彼女は何を知り、何を隠しているのか。

刑事が最後にたどりついた真実とは?

第2章「その話を聞かせてはいけない」

人種のちがいと名前のせいで学校でみじめな思いをしている珂(カー)は、文房具を買っている小さな店でとあるものを目撃する。

自分の見たものに疑問を持つ珂だったが、ニュースを見て確信する。

そしてそれを唯一話しかけてくる同級生の山内に洩らしてしてしまう。

珂は見てしまったものをどうするのか……?

第3章「絵の謎に気づいてはいけない」

蝦蟇倉市に支部を置く宗教団体「十王還命会」の「奉仕部」の部長である宮下志穂が、自宅マンションで遺体で発見された。

先輩刑事の竹梨と新米の水元が捜査にあたる。

鑑識から「自殺」とされたことに疑問を持つ水元は、第一発見者である十王還命会の幹部・守谷巧と管理人・中川徹に接触する。

水元は自らの信念のもと事件を解決しようと突っ走っていくが……。

第4章「街の平和を信じてはいけない」

刑事の竹梨は7年前の交通事故被害者に呼び出された。

訝しみながらも竹梨は指定された公園に向かう。

そこには2人の子供が自転車で遊びに来ていた。

お互いに思いを秘めたまま話をした2人に、街は何もなかった顔をしてそこにありつづける。

『いけない』の感想・特徴(ネタバレなし)

どこに注意を払っても……

例えばあなたがミステリーが大好きだと仮定して、だまされないように注意して作品を読むだろうか?

作者はプロだ。

きっとニヤニヤしながら、あれこれと手を使って読者をだまそうとするにちがいない。

伏線を張り巡らせ、落とし穴を作るがごとく読者の盲点をつく。

でも、読み手も黙っちゃいない。

いくらプロであろうとも、そこはやっぱり人間が書いた作品だ。

どこかにきっとヒントがあって、どこかでいい顔しいの作者が味方になってくれるのではないかと期待してしまう。

しかし、完全なる「お客さん」になって「さあ、私を楽しませてくれ」とふんぞり返って本を開けば、完全に負けを認めるしかないだろう。

 

作者の道尾秀介さんは、読者の味方になる気が微塵もないと分かるし、「お客さん」として読み始めてしまったら最後、道尾さんはそんな悠長な立場から読者を引きずり降ろし、「お前にこの事件が解けるか?」と逆にふん反り返えられてしまう。

4つの事件(出来事)はすべて、ミステリーとしてフェアプレイ(公正な勝負)であり、ヒントはお話の中に組み込まれている。

そして、特徴的なのが各章の最後に大きく載っている写真だ。

この写真には、それまで読んできた真実を覆す驚愕の事実が隠されている。

ミステリーが好きで、なおかつ自分でも推理しながら読む人は、この写真の掲載に怒りを覚えるだろうか?

紙の本だからできるこその仕掛けであり、どんなに注意深く読んでいたとしても、最後には写真1枚で足元から推理が音を立てて崩れていく。

たしかに、読んでいれば犯人の検討はつくと思う。

私もミステリー読みの端くれ、本格的な読書は有栖川有栖さんの国名シリーズから入った本格ミステリ好き。

読んでいて「あ、こいつが犯人だ」と思う場面もあった。

その答えは間違ってはいなかったけれど、写真は別の真実を教えてくれる。

別角度でものを見ることを教えてくれる。

ただ、知ってしまった事実は後味が悪く、その後の気持ちをどこに持っていけばいいのか、まったく分からなかった。

人間の身勝手さが生む「犯罪」

第1章から第3章までの事件は、人間の身勝手さが目立つ。

第1章「弓投げの崖を見てはいけない」の発端は交通事故だ。

私は車の免許を持っていない。

取るタイミングを逃したというのもあるし、何より、他人の命を奪ってしまうかもしれない乗り物を運転する自信がなかったというのが気持ちの大部分を占める。

交通事故なんて日常茶飯事だと思う?

それはきっと、あなたが車という乗り物の恐ろしさを自覚できていないからだろう。

その状態であなたが運転するのかと思うと私は心配である。

第1章での事件は、交通事故が起きなかったらすべては始まらなかった。

事件が起こるということはもちろん何か発端があるのだけれど、その発端はたいていが

人間の身勝手さで起こることが多い。

 

第2章「その話を聞かせてはいけない」の主人公・珂は親の身勝手さのせいで事件に巻き込まれる。

珂は中国出身だ。

中国で両親ともにうまい話に乗せられて、日本で店を出し、経営は苦しい。

中国で働いているよりもマシ、中国で親子共にくすぶっているよりマシ。

そんな両親(主に父親)の身勝手な思いから、甘い誘惑を断ち切れずに言葉の分からない日本に来てしまった。

もし、珂が中国に祖父と残っていたら。

両親がうまい話に乗せられなかったら。

「たられば」でことを考えていてはキリがないけれど、やはり私は第2章を読むと、両親の身勝手さに腹が立ってしまう。

もちろん、大変な事件は起きている。

事件について触れるならば、起きた事件は普通のミステリーとあまり差異はない。

おぞましいのは、珂が恐れている妖怪(ヤォグァイ)と、とある人物が重なる瞬間だ。

迫ってくる。追ってくる。

怖い。怖い。怖い。

でも珂が最後に見た妖怪(ヤォグァイ)は、事件の幕を引くのにぴったりの役を担っていた。

 

第3章「絵の謎に気づいてはいけない」は、暴走した正義の身勝手さの話だ。

しかも、その身勝手さに背筋が凍る。

例えばあなたが、とある会社で働いていて、とても尊敬する先輩もしくは上司がいたとする。

あるとき、その先輩ないし上司に仕事を頼まれて取引先に行くと、その人の悪いうわさを聞く。

それも犯罪に関わる悪いうわさを。

自分はとても尊敬している。

そんなうわさ、信じたくない。

けれど、どんどん確証を得るものに触れていってしまう。

告発するべきか?

それとも、自分の胸の中にしまって握りつぶすか。

あるとき、その先輩ないし上司に個人的に呼び出される。

さて、あなたは胸の内をぶつけることができる?

ぶつけてしまった結果がこの事件の結末につながる。

いや、必ずしもこの例え話が的を射ているとは言い難いのだけど……。

正しい正義は貫かれるべきだと私は思う。

でも、別な方向にその正義が向いてしまったら、間違った方向にその正義をぶつけてしまったら。

ただ、いつの世の中も正義というのは間違った捉え方をする人が多いということだ。

握りつぶすのも正義?

見て見ぬふりをするのも正義?

そう、ときにはそうやって通りすぎてあげるのも1つの方法なのかもしれない。

でも私は、自分の振りかざす正義を間違えたくないと思う。

身勝手さを秘めた正義は、絶対に人を傷つけるのだ。

決して何も起こってはいない

ここに身も凍るような文章がある。

親切で優しい大人が、世の中にはたくさんいる

「平和っていうか」

山内も太陽に鼻先を向けて声を飛ばす。

「ね、平和っていうか」

この物語たちの舞台は、白沢(はくたく)市と蝦蟇倉(がまくら)市という、2つの街だ。

ここまで読んでもらった事件はすべてこの2つの街で起こっている。

「平和」という言葉がこんなにも似つかわしくない街があるだろうか。

あなたは、犯罪はすべて白日の下に晒されるべきだと思う?

………、思う。

そう、それがきっと正常な答えだと思う。

でもそれが通じない、そんな常識が通じないのがこの物語なのだ。

この物語に決して常識を持ち込んではいけないし、そして「正常さ」を求めてはいけないのだと思った。

でも。

でも、だ。

にやりと笑った道尾さんに、あなたは表情をこわばらせる。

何かを言いかけるあなたの口の前に、道尾さんは「しぃー」っと指で制する。

「この街では何も起こっていなんだよ」と。

まとめ

数年前に、直木賞に落選してしまった道尾さんをテレビで見た。

落ち込む様子を見せることなく、「次は必ず獲りますから」と言い放った道尾さん。

そして、本当に次の直木賞を受賞した。

もちろんだいぶ年上なのだけれど、意志の強そうな眼は若々しく、かなり印象に残っている。

初めて『いけない』で道尾作品を読んだのだけど、考え抜かれたこの物語たちにはただただ脱帽するしかなかった。

きっと道尾さんは「だろ?」と本の向こうで笑っている。

もう40代も後半に差し掛かる道尾さんが、からからと快活に笑って、「次はどうだましてやろうかな」と準備を始めているだろう。

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