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『姑獲鳥の夏』あらすじと感想【京極夏彦、衝撃のデビュー作】

『姑獲鳥の夏』あらすじと感想【京極夏彦、衝撃のデビュー作】

20箇月もの間子供を身篭っていることが出来ると思うかい?

作家・関口巽(せきぐち たつみ)の問いかけに、古本屋/神主/憑物落とし・中禅寺秋彦(ちゅうぜんじ あきひこ)は応える。

この世には不思議なことなど何もないのだよ

小路幸也や西尾維新など、様々な作家を生み出した講談社『メフィスト賞』の誕生のきっかけともなった京極夏彦の鮮烈なデビュー作!

こんな人におすすめ!

  • 雑学が好きな人
  • 妖怪が好きな人
  • ミステリーが好きな人

あらすじ・内容紹介

戦後間もないある年の、梅雨明けも近い夏の始まり。

作家・関口巽はとある質問をする為に、古本屋・京極堂(きょうごくどう)こと中禅寺秋彦を訪ねる。

その質問とは、「妊婦が20箇月間も妊娠していられるか」というもの。

それが事実なら不思議なことだと話す関口に、京極堂は「この世には不思議なことなど何もない」と告げる。

京極堂の話を聞き納得する関口だったが、件の妊婦・久遠寺梗子(くおんじ きょうこ)の夫、久遠寺牧郎(くおんじ まきお)が関口や京極堂の知人だったことにより、急速に事件へと巻き込まれていく。

更に久遠寺家に纏わり付く、「久遠寺牧郎の失踪」と「連続する嬰児の死亡」という噂、そして「憑物筋」という呪い。

刑事・木場修太郎(きば しゅうたろう)や探偵・榎木津礼二郎(えのきづ れいじろう)等の手を借り、事件に臨む関口だったが、事件はやがて、関口自身の過去にも影を落とす…。

鬼才・京極夏彦の処女作にして、『百鬼夜行シリーズ』の第1弾!

『姑獲鳥の夏』の感想・特徴(ネタバレなし)

個性溢れるキャラクター達

この世には不思議なことなど何もないのだよ

唐突だが、「京極夏彦の小説は読み辛い」と感じている読者は、少なくないのではないかと思う。

確かに徹底的に理論立てた文章と溢れ出る雑学、そして偏執狂的なまでに貫かれた「文章が頁を跨がない」という独自のルールは、読み手を選ぶ様にも感じるかもしれない。

しかしその実、『百鬼夜行シリーズ』は個性溢れる登場人物達のやりとりと奮闘を楽しむ「キャラクター小説」としての面も強い。

出不精で陰気、更には失語症の気もある「如何にも不幸っぽい」作家、関口巽。

彼の視点で、物語は進んでゆく。

関口を取り囲むのは、更に個性溢れるキャラクター達。

本業の古本屋、家業の神主、そして副業の憑物落としという3つの顔を持つ中禅寺秋彦。

古本屋の屋号から「京極堂」とも呼ばれる彼は、常に世界が滅んだ後の様な険しい表情をした愛書家だ。

膨大な知識と鋭い洞察力、そしてあらゆる人間の心理を手に取る様な巧みな弁舌。

自身で「呪とは言葉だ」という程に、呪/言葉を使いこなす彼が、異様に絡み合った複雑な事件を紐解いてゆく。

更に、関口や京極堂の旧帝大時代の先輩、榎木津礼二郎。

「他人の記憶が見える」という特殊な能力を持つ彼は、その能力を活かして探偵を生業としている。

その行動は破天荒にして支離滅裂。

探偵でありながら、捜査も推理もせず、ただその能力によって真実を言い当てる。

更には人の話を聞かず、関口のことは「猿」呼ばわり。

航空隊やバーテンダーの様な珍妙な服装で事件に臨む彼は、恐らく作中において最も自由に振る舞っているキャラクターだろう。

その榎木津の幼なじみにして、従軍時代の関口の部下、木場修太郎。

「予断は有効だ」と言い放つ彼は、四角い顔と頑強な肉体を持つ根っからの刑事だ。

榎木津と悪態を突き合いながらも、警察として捜査に当たる姿は非常に頼もしい。

その他にも、カストリ誌「實録犯罪」の編集者で常に諺を言い間違える鳥口守彦(もりぐちもりひこ)。

京極堂の妹にして活発に動きまわる新聞社社員・中禅寺敦子(ちゅうぜんじ あつこ)。

木場の部下にして特攻崩れの刑事、こけしの様な顔をした青木文蔵(あおき ぶんぞう)。

解剖大好き変態観察医の里村紘市(さとむら こういち)。

そして、事件の当事者たる久遠寺家の人々や使用人。

豊富なキャラクターたちが、各々の想いによって行動し、懊悩し、事件に巻き込まれ、または事件に挑んでいく姿は、今作の大きな見どころだ。

気に入ったキャラクターの活躍に目を向けながら読み進めていけば、きっと「読み辛い」と感じることは減るのではないだろうか。

豊富な雑学による、小説世界の構成

この世には起こるべくして起こることしか起こらんのだ

更に本作を彩るのは、著者である京極夏彦氏の持つ豊富な雑学が盛り込まれた、京極堂の「語り」だろう。

脳が世界を認識するための構造や、幽霊の存在に対する「仮想現実」という解釈。

また、陰陽師の「式を打つ」という行為の意味の説明。

更には言葉で人を呪うことまで可能な彼の論調はややもすると詭弁臭くも聞こえるが、強制的に納得させられる力がある。

加えてこの京極堂の「語り」は、知識をひけらかす様な単なる衒学趣味ではない。

京極堂が前半で語るこれらの知識や考え方は、後に事件を構成する大きな要因となっていく。

例えるならば前半に行われる京極堂の解説によって、「小説内の『世界のルール』を設定した上で、そのルールに則って事件が起こる」といったところだろうか。

世界を作り上げ、その中のルールを細かく設定し、全ての物事がそのルールに則って発生する。

芸術性すら感じさせるその構成は、精緻に積み上げられていて要素の一切に無駄がない。

京極夏彦氏の作品を読む上では欠かせない重要な要素であり、読めば読むほどクセになる。

ただし、初めて京極夏彦氏の作品を読む読者には、少々読み辛く感じられることもあるかと思う。

しかし、そこで読むのを辞めてしまっては勿体ない。

そんな時は、序盤の「語り」を軽く読み流して物語の全体像を一通り把握した後に、事件の謎が明かされる段階で再度読み直すのも一手だろう。

憑物落としの作法

今日の夜、陰陽師を連れて伺います

「百鬼夜行シリーズ」における謎解きの大きな特徴は、それが「憑物落とし」の作法に則って行われる、ということだろう。

本作で謎解きをするのは探偵・榎木津礼二郎ではなく、憑物落とし・京極堂こと中禅寺秋彦である(そもそも榎木津に関しては、珍妙な言動で事件を更に混乱させることも多い)。

彼は自宅にいながら、関口や榎木津、木場たちの話を聞き、あらゆる情報を把握、統合した上で事件の真相を見抜く。

そして事件とそれに潜む謎、事件に拘ったあらゆる人物の心に巣食う不安や苦しみなどに、京極堂は妖怪(憑物)の名前を与えるのだ。

例えば、今回で言えば「姑獲鳥(うぶめ)」だ。

その妖怪に対して一番有効な方法をもって妖怪(憑物)を登場人物から払い落としていくことで、事件の真相を暴くだけでなく、拘った人間の心までもを救う。

通常のミステリー小説とは異なる、一風変わった謎解きは一読の価値があるだろう。

まとめ

個性溢れる(というよりも、我が強すぎる)キャラクターたちと、大量に盛り込まれる雑学。それらを完璧に活かし切る巧みな構成は、京極夏彦氏ならではのものだろう。

あらゆる要素が読者を楽しませるために用意されたものなので、壁を感じず是非とも一度手に取ってみて欲しい作品だ(どうしても読み辛いのであれば、志水アキ氏が作画を担当した漫画版もあるので、そちらを先に読むのも1つの手だ)。

また氏の小説には、文章が絶対にページを跨がないという独自ルールが存在する。

このルールは「講談社ノベルズ版」「文庫版」「分冊文庫版」の全てで徹底されているため、細かい加筆・修正が加えられているので、既に一度読了している人も、例えば「分冊文庫版」で読んだ読者は「講談社ノベルズ版」で読み直すと、細かい変更点などが見つけられて面白いかもしれない。

再読する度に新たな楽しみが見つけられる、素晴らしい小説だ。

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