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『ナイルに死す』あらすじと感想【豪華!きらびやか!クリスティー史上最も優雅な殺人事件】

『ナイルに死す』書影画像

美貌の資産家、彼女が選んだ夫、夫のかつての恋人。

三角関係のもつれは、新婚旅行で爆発する。

エルキュール・ポアロの「灰色の脳細胞」が導く愛憎劇と激しくうねる人間ドラマの行方は……?

こんな人におすすめ!

  • 旅情ミステリが好きな人
  • 古典ミステリが好きな人
  • 入り乱れる人間関係が好きな人

あらすじ・内容紹介

美貌、資産、大きな屋敷……。

若き大富豪リネット・リッジウェイは何もかも手に入れていた。

有名な富豪に求婚されるも、彼女が夫として選んだのは、サイモン・ドイル。

彼はリネットの親友、ジャクリーヌ・ド・ベルフォールの恋人だった。

ドイル夫人としてサイモンと新婚旅行に出かけたリネット。

行き先はエジプト。

折しも、休暇中だった「灰色の脳細胞」エルキュール・ポアロもエジプトを訪れていた。

順風満帆だと思っていたリネットの結婚生活は、2人の行く先々にサイモンの元恋人、ジャクリーヌが現れることで乱されていく。

そう、彼女はエジプトへも2人を追いかけて来ていたのだった。

多額の資産を抱えるリネットは、知らず知らずのうちに敵を増やしていく。

美しさと気品を兼ね備え、欲しいものは何でも手に入るリネット。

そして、船上で事件は起こる。

渦巻く愛憎、一癖も二癖もある客たち。

なぜ真実を隠すのか。

だれが真実を隠すのか。

やがて明らかになる真相に、あなたは震えるだろう……。

『ナイルに死す』の感想・特徴(ネタバレなし)

とにかく人間ドラマがおもしろい!

タイトルに「死す」とあるし、アガサ・クリスティーは「ミステリの女王」と呼ばれているし、そういえば今度ハリウッドで映画化されるタイトルも「ナイル殺人事件」だから、「あぁ、これは人が死ぬ話だし、殺人事件がメインということはミステリなんだろうな」と表紙と、アガサ・クリスティーの肩書と、映画情報を聞いてそう思った、あなた。

それは決してまちがいではない。

これは正攻法に攻める本格ミステリだし、物語の核となる部分はやはり「だれが被害者を殺したか」という謎解きの部分である。

が、しかし、『ナイルに死す』の魅力はそれだけではない!と声を大にして言いたい。

 

まず、本書はアガサ・クリスティーの作品の中でもボリューミーな物語で、なんと、ゆうに500ページを超える。

いや、待って!待って!

500ページという数字に怯まないでほしい。

なんなら、もっと衝撃を与えよう。

かなりのページをめくらないと殺人事件の「さ」の字もない。

が、その事件が起きるまでが、このミステリの最大の読みどころと言ってもいい。

19人(総勢は23人)もの登場人物が船の上で織りなす人間ドラマこそが、『ナイルに死す』を語る上でなくてはならない要素なのだ。

第1部の登場人物紹介では、「そんなに覚えられないよ!」と思うほどたくさんの人たちが紹介されるが、注意深く読んでみると各々に何やら怪しい目的で、エジプトへ向かう理由が分かる。

第2部に入ると既に舞台は、魅惑の地エジプトへと移る。

第2部へ入ったからといってすぐに劇的な何かが起きるわけではない。

最初に述べたように、そこそこページをめくらなければならない。

事が起こるのをじっくり、じっくり待ってほしい。

次第に明らかになる、癖のある船客たち。

全員はとても紹介できないけれど、私が印象に残った人たちを少しだけご紹介。

ジョナサン・サウスウッド

前半に強烈な印象を残す貴族令嬢。

「わたしはもっと上の暮らしをめざしてるだけ」

この言葉の意味はラストにならないと分からないのだが、このお嬢様、とんでもない方法で上を目指している。

マリー・ヴァン・スカイラー

絶対にお近づきになりたくないお金持ちの老婦人。

偏屈、頑固、家柄主義、人を見下す。

84年前のお金持ちは怖いと思わせる。

そしてこの人の自覚があるのか、ないのか、たちの悪い癖のせいで事件は大混乱に陥る。

アラートン夫人

『ナイルに死す』での唯一に癒しの存在。

御年50歳のご婦人なのだが、「善人」という言葉を人間にしたらこの人になるんじゃないかと思うぐらい「癒し」と「善人」の人だ。

ファーガスン

思想偏り過ぎ男。

発言すべてに着火剤の効果があり、発言すべてが差別と独善に満ちている。

しかし、この男の時折落とされる爆弾が、物語で山椒のような役割を果たしているので、憎めない奴である。

 

いかがだろうか。

さらなる個性、癖を持った船客たちがあなたを待っている。

『ナイルに死す』はべらぼうにおもしろい人間ドラマでもあるのだ。

登場人物一人ひとりに人生があるわけだから、各々に言い分があり、各々が行動をする。

そのすべてが劇的な何かを生む要素であり、引き金になるのである。

ミステリの観点から見る『ナイルに死す』

「アガサ・クリスティー完全攻略[完全版]」(霜月蒼)という本の「ナイルに死す」の部分にこう書いてある。

ひとつの発想に基づくひとつのトリックで全体を支えるのではなく、メインの謎=事件を、多数の謎によって装飾し、それを「物語全体として面白い」ストーリーに載せた作品。

これはものすごく的を射ていて、アガサ・クリスティーはトリックの奇抜さを売りにするわけでもなく、ものすごく巧妙なアリバイトリックを用いているわけではない。

屋台骨である1つの大きな謎に、たくさん肉付けをして絵画を完成させているようなものだ。

ミステリとして今ひとつ、ということではなく、今日のようにだれも考え付かなかった派手なトリックなしでもこの作品は十二分に楽しめる。

ということを強く推したいのだ。

冒頭に三角関係が露呈し、うら若き資産家の女性の周りで怪しく動く人々がおり、船上という一種の密室で、だんだんひりついてくる人間関係。

きっとだれかが殺されるだろうに、そのだれかは分からず、そしてどんなにページをめくっても劇的なことは起こらない。

パーツをどんどん集めていき、ピースがはまった瞬間にまるで時限爆弾が爆発したかのように雪崩が起きる。

アガサ・クリスティーの隅々まで行き渡らせた仕掛けを、どうぞご堪能あれ。

感情がむきだしのポアロ

でないと、感情論だけでは事件は解決できないし、怒りに任せて犯人を探偵が殺害してしまっても読者は困惑する。

だからといって、無感情なロボットみたいに「ハンニンハ、オマエダ……」みたいなことをされた日にはついに探偵にもAI化の波が……なんて思うかもしれない。

つまり、バランスの問題なのだ。

犯人を糾弾することも大切だし、だからといって犯人に同情して見逃してあげるというのはダメ。

何が言いたいかと言うと、『ナイルに死す』のポアロが感情的で驚いたということだ。

ポアロが初登場する『スタイルズ荘の怪事件』では(語りはポアロの友人、ヘイスティングなので、『ナイルに死す』とは多少形式が異なるが)、ポアロは理路整然と推理し、ビシッと真相を解き明かしている。

私の理想とする「理性の探偵」だった。

だからこそ、ポアロが、

「ノン・ダン・ノン・ダン」(あぁ、くそくそくそくそ)

と叫んだとき、この事件がそこまでポアロを苦悩させるものなのだと仰天した。

ポアロはジャッキーことジャクリーヌ(サイモンの元恋人)に、リネットに付きまとうことを、探偵の仕事抜きでやめるように忠告する。

そのときポアロはこう言う。

「過去は忘れるのです!未来のほうを向くのです!起きたことは仕方がありません。恨んでみても始まらないんです」

ジャッキーはそれにこう返す。

「わたしがわすれればリネットには好都合よね!」

リネットに付きまとうのをやめる気はなさそうな返事だ。

ポアロはリネットよりも、どちらかと言えばジャッキーに心を砕き、心を痛めていた。

だからこそ、感情を爆発させたのか。

冷静で、優雅で、物腰柔らかなポアロ。

感情の乱れが推理に影響を及ぼすか?

否、感情があるからこそ、人の痛みが分かるからこそ、探偵は人に寄り添える。

ポアロの新たな一面を見られた気がして、読者としては探偵はAIでもなければロボットでもない、理性的でありながらもきちんと人間性を持った生き物だということが確かめられた気がした。

まとめ

『ナイルに死す』は、アガサ・クリスティー史上最も豪華で絢爛なミステリと言われており、そのページ数もさることながら入り組んだ人間ドラマや怪しい船客たちの動き、と読み応えがとてもある。

この真相と、犯人と、動機についてあなたはどう思うだろうか。

予想通り?想定外?

さあ、それを確かめるために本を開こう。

読者は太陽がまぶしく輝く空と、青い川水と、犯罪を、安楽椅子にすわったまま楽しむことができるのです。

そう、アガサ・クリスティーも言っている。

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