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『晴れ、時々くらげを呼ぶ』あらすじと感想【「くらげ乞い」をする本好き少女の青春小説】

『晴れ、ときどきくらげを呼ぶ』あらすじと感想【「くらげ乞い」をする本好き少女の青春小説】

少女はくらげを呼ぼうとしています。

もっと巨大で毒の強いものを。

大人たちと比べると、子どもはちっぽけな存在です。

武器も知恵も不足しています。

自分の無力さに押しつぶされそうになりそうです。

それでも得体のしれないものを呼びつづけます。

理不尽極まりない世界に向けて、ささやかな抵抗を起こすために。

来い、クラゲ、来い。降ってこい。ここだ、ここで呼んでいる

こんな人におすすめ!

  • くらげが大好きな人
  • ほろ苦い青春小説を読みたい人
  • 読んできた本に救われたことがある人
  • 悔やんでも悔やみきれない後悔がある人

あらすじ・内容紹介

越前亨(えちぜん とおる)は他人に対し心を閉ざした少年です。

原因は父親の生前の一言でした。

物事を冷めた視点でとらえる癖があり、嫌々図書委員を務めています。

もうひとりの図書委員は、小崎優子(こさき ゆこ)。

小動物のように人懐っこく、誰にでも明るく接する少女です。

彼女は本が大好きで「雨乞い」ならぬ「くらげ乞い」を行います。

周りからは不思議ちゃんだと思われているようです。

読書家の矢延(やのべ)先輩は小説から引用をするのが得意です。

小崎の動機を知っていそうですが、うまくはぐらかしています。

亨と同じクラスの関岡は、クラスでトップクラスの成績を叩きだす秀才です。

心にはただならぬ事情を抱えています。

亨の幼馴染の遠藤は、サッカーチームに所属しています。

下田も同じチームメイトです。

彼らの身にも、次々とトラブルが襲いかかります。

なぜ小崎はくらげを呼び続けるのでしょうか。

矢延先輩が言い放った衝撃の言葉はどのような内容だったのでしょうか。

謎が明かされるのと同時に、物語は急展開を迎えます。

子どもたちへの読書案内本としても楽しめる、「世界に少しだけ優しくなれる」青春小説です。

『晴れ、時々くらげを呼ぶ』の感想・特徴(ネタバレなし)

主人公の苦い過去、ついて回る亡き父の存在

亨の父親は七尾虹(ななお こう)。

『てんとう虫の願い』『世界にすこしだけ優しくなろう』の2冊を出したあと、売れずに世を去った小説家です。

あいつは僕と母さんの負担にしかならなかった。

迷惑ばかりかけて死んだ。露も売れなかった駄作を、いまになって読まれる資格はない。

父が書いた小説を駄作と言い切るところに、亨の怒りの強さがうかがえます。

彼にとって父は家族の人生を踏みにじった人間です。

亨は母親と一緒に過ごしています。

彼女は出版社に勤めていて多忙なので、家にはあまり帰ってきません。

父親亡き後、亨が母親の手助けをしています。

母親が熱中症で倒れても、頼りにできる大人もいません。

亨は誰にも鬱屈した状況を話せず、悩みを抱え続けています。

父親に対する懐疑心が強くなるのはしかたがないことでしょう。

迷惑かけてごめんな、亨

父の最期の言葉を忘れられないまま、亨は呪いに縛られています。

自分だけが独りぼっちで生きる錯覚を抱き、誰にも言えない孤独のなかにいます。

心の内を聞いてくれる人もいません。

矢延先輩の言葉から察するに、彼の性格にも原因がありそうです。

 

皮肉にも、亨の目の前に七尾虹を知る人がいました。

小崎です。

彼女は七尾作品の大ファンだったのです。

小崎が笑顔で語るのを聞くたびに、亨は憂鬱な気持ちになります。

父が遺した「開かずの本棚」は5段構造で、最上段には父の本があります。

その3冊を避けるようにして、亨はこつこつと本を読み進めます。

前述した2冊の本と、緑の細いリボンで巻かれた青い革製のブックカバーがかけられた「未完成本」。

勘のいい方は不思議に思うでしょう。

亨は父親が嫌いなはずです。

なぜ父の遺した本を読んでいるのでしょうか。

理由は最後に明かされます。

本好きも、そうでない人も胸がときめく作中紹介

『プラネタリウムのふたご』は、いしいしんじという作家の作品です。プラネタリウムに捨てられた双子の物語なんですけど、騙されることの大切さを教えてくれる一冊です。いしいしんじの良さは文章の柔らかさと優しさにあるんです

作中では数多くの小説が取り上げられています。

作中作の七尾虹の作品を除き、全て実際に売られている作品です。

テンペルとタットルが成長していく『プラネタリウムのふたご』をはじめ、物語を書くのが大好きな天才の弟と姉のお話『ぶらんこ乗り』。

映画も小説も大ヒットを記録した『君の名は。』。

同じく話題作の『君の膵臓をたべたい』、伊坂幸太郎の『オーデュポンの祈り』『重力ピエロ』。

辻村深月の『凍りのくじら』『スロウハイツの神様』、森見登美彦の『熱帯』『四畳半神話大系』。

アニメ化もされた、米澤穂信の『氷菓』をはじめとする古典部シリーズ。

本を読んだ人なら一度は耳にした作品がずらりと紹介されています。

銀河鉄道の夜の収録作である「よだかの星」が、とあるロックバンドの楽曲で歌われているものだと気付いた方は嬉しくなることでしょう。

その他にもたくさんの小ネタが仕込まれています。

本好きの方は本の傾向に胸がおどることでしょう。

未読の方は読書ガイドとして楽しんでみてください。

無力な少女が起こすくらげテロ

小崎はミズクラゲなどの普通のくらげを呼ぼうとしていません。

アカクラゲにエチゼンクラゲ、キロネックス、アンドンクラゲ。

なるべく大型で強力な毒があり、見た目がおどろおどろしいものでないと納得がいかないようでした。

「くらげ乞い」は世界に対するテロリズムであったことが、小崎の口から語られます。

彼女の願いは通じ、峯山市にだけアカクラゲが降ります。

亨はたたえに行きましたが、小崎は浮かない表情です。

世界中に迷惑をかけたかったんです

彼女が降らせたくらげ。

それらは世界をパニックにさせるほどの力を持っていませんでした。

超常現象の一種として軽く片づけられた事実。

否応なしに認めなければならない現実が、重くのしかかります。

世界に対抗するには無力すぎる、と彼女は悟りました。

友人の遥に対しても、ふがいない気持ちに陥っていたのでしょう。

矢延先輩に今までの態度を諭され、遠藤にも告げ口をとがめられた亨。

ほとんどすべての人間に対して、関心を持たなかった彼が一変します。

僕は一度も本気で小崎の夢を応援しなかった

都合よく話を合わせ、頷き、馬鹿にした。

せっかく呼んだのに、どうしてそんな反応をするんだ、とか、違うだろ、喜べよ、なんて。

亨は図書館に行って、くらげ図鑑を借りてきます。

くらげのことを勉強し、小崎の力になれないかと奮闘します。

まとめ

亨は小崎、遠藤、関岡と一緒にテロリズムをしかけます。

ファフロツキー現象を引き起こすために、知恵を振り絞った秘策です。

彼らが集まって計画を企てるシーンは、秘密結社をのぞくようで胸がわくわくします。

人には、陰に隠れて努力していることがあります。

関岡の複雑な事情もしかり、遠藤の立場も重要な出来事です。

関岡が塔のように積み上げたチロルチョコレートのように、誰しも何かを抱え込んでいるのでしょう。

世界に少しだけやさしくなる」ことで、人に対する視点を変えていく。

これこそが求められる考え方ではないのでしょうか。

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