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『カラフル』森絵都 原作小説あらすじと感想【色彩にあふれたこの世界の「真実」】

『カラフル』森絵都 あらすじと感想【 色彩にあふれたこの世界の「真実」】

この本の評価
読みやすさ
(4.5)
面白さ
(4.0)
考えさせられる度
(3.5)
装丁の美しさ
(4.5)
色彩度
(5.0)
総合評価
(5.0)

あなたは、過去をやり直したいと思いますか?

過去の自分を、許すことができますか?

今回は、「生まれ変わり」「人生のやり直し」にスポットライトを当てた作品をご紹介します。

森絵都の「カラフル」は、そんな人生をリスタートしたいあなたへ贈る、不朽の名作ファンタジーです。

実写版とアニメ版で、それぞれ映画化もされています。

大人になって読み返すと、また印象が大きく違ってくるのもこの作品の特徴です。

共感が湧かなかったあの人に興味が湧いたり、あの人の心の中と自分の気持ちがシンクロしたりすることもあるかもしれません。

大人も子供も楽しめる、王道の一冊となっています。

こんな人におすすめ!

  • 家族の愛情を感じたい人
  • 鮮やかな色彩描写に触れたい人
  • 人生をリタイアしたいと思ったことがある人

あらすじ・内容紹介

前世で大きな過ちを犯した「」は、普通なら消えてしまう魂のうちのひとつでした。

プラプラと名乗る天使が、「抽選に当たりました!」と叫ぶまでは。

「僕」は服毒自殺をした少年「小林真」として、前世の記憶を取り戻すまで、彼の身体でホームステイを行うことになります。プラプラ曰く、「再挑戦」です。

記憶を取り戻した瞬間、ホームステイは終了し、「僕」の魂は、借りていた肉体を離れることとなっています。

ホームステイ先で出会った家族、友達の早乙女くん、片思いをしていた女の子、ひろか。

地味で目立たないクラスメイトの唱子。

彼らと関わり合い、少しずつ明かされる衝撃的な事実を知ることによって、「僕」は傷つき、戸惑い、成長してゆきます。

そして、ホームステイの期限が迫ったある日。

最後の最後に調べに行ったある場所で、彼は全ての事実を知ることになります。

彼がたどりついた「事実」とは、一体何なのでしょうか?

注意
以下、重要なネタバレを含みます!

カラフルの感想(ネタバレ)

登場人物紹介

◯真の家族

真の母は、非凡な真の才能見抜き期待をかけ、誇りに思っていました。

絵に対する並外れた才能を持った息子と自分を見比べた彼女は、「平凡な自分でも、なにか趣味を見つけたい!」という情熱一筋で、水墨画教室をはじめとする講座に、精を出すことになります。

しかし、飽き性である彼女は、どれも長続きしなかったのです。

そんなことを繰り返しながら、無情にも長い年月が過ぎてゆきました。

「自分に合った趣味はないのだ」と半ば諦めかけていた時、以前フラダンス教室で知り合った相沢さんから、「フラメンコを習わないか?」と声をかけられます。

それが全てのはじまりでした。

彼女はそこで出会ったフラメンコ教室の講師と、不倫の関係に陥ってしまったのです。

ここに引用したのは、そんな彼女の悔恨ともいえる手紙の一部です。

絵の才があるあなたという息子を持てたことは、私に少しばかりの自信を与えてくれました

息子のあなたが特別なのだから、母親の自分も何かがあるにちがいないと思えてきたのです。-p129

真の父親は、傍から見れば、どこにでもいる普通のサラリーマンにしか見えません。

彼もまた、自身の「出世」をきっかけに、彼の人生を狂わせる加担をします。

務めていた会社が悪徳商法に手を出し、社長とその関係者数人が逮捕された事件。

その事件に直接的には関わっていませんでしたが、上層部が総辞職したことによって、平社員だった自分が昇進したことで、浮かれてしまったのですね。

まじめに働く父親の姿を見ていた真は、少なからずショックを受けてしまいます。

「おまえの目にはただのつまらんサラリーマンに映るかもしれない。

毎日毎日、満員電車に揺られているだけの退屈な人間に見えるかもしれない。

しかし父さんの人生は父さんなりに、波乱万丈だ。

それでひとつだけ言えるのは、悪い事ってのはいつかは終わるってことだな。」

真の兄の満(みつる)は、非常に口が悪く、すぐに喧嘩になりますが、根っこは弟思いで、優しい兄です。

「物心ついたときならそばにいた、ぐずで、ぶさいくで、頭悪くて、いくじなしで、病的な内弁慶で、友達もできない、だから年中おれのあとばっかついてまわってた、世話の焼ける、目の離せない、十四年間、まったく目が離せなかった弟が、ある朝、なんてことのないふつうの朝に突然、ベッドの上で死にかけてた。

しかも自殺だ。

自分で死んだんだ。

どんな気分になるか考えてみろ!」

満が自分の医学部進学を決心したのは、真が一命をとりとめた直後であることを、「僕」は父親の話から知ります。

そんな彼が、「今年の医学部進学は諦める。代わりに、真を進学させてくれ」と頼んだことも耳にするのですね。

 

◯クラスメイト

真の片思いの相手であったひろか。

彼女の正体は、自分の欲しいもののためなら、おじさんと援助交際をすることもいとわない、無邪気で壊れた少女でした。

自分の体の価値なんて、おばさんになればなくなってしまう

だから、今すぐにでもお金が欲しい。

おじさんとセックスすれば、すぐにお金は入ってくるーー。

ドーナツをほおばったまま、あっけらかんと言い放つ彼女に、「僕」は打ちのめされてしまったのです。

「ときどきね、ひろかと話してると悲しくなるって言う人がいるの」

彼女は自分がやっていることがどれほど重いことなのか、対価がどれほどになるのかを全く理解していません

この先に彼女が行きつく先を思うと、言葉で言い表せないほどの落胆と、憐みで胸がいっぱいになってしまいそうです。

真の眼中にもなかった少女、唱子(「僕」曰く、「チビ女」です)。

別人のようになった真(「僕」)の姿を不振がり、なんとかして真実を暴こうと突っかかってきます。

彼女は「自分だけの世界を持っている」真に憧れて、美術部に入部したのですね。

そのせいか、彼女は真に対してかなり幻想を抱いていたようです。

「あたしの知ってる小林真くんは、いつも一番、深いところを見つめてた」

スニーカー事件のお見舞いにやってきた彼女に対して、「僕」は辛辣な言葉を吐き捨てます。

普通の男子となんら変わらない」欲望をむきだしにして、彼女の夢を渾身の力で破壊したのです。

「あんたには悪いけど、小林真はもともとふつうの男だったんだ。純粋でも透明でもない、ふつうの中学生。もちろんメルヘンの世界じゃなくて、ここ、あんたらとおなじこのめちゃくちゃな世界に生きていた。」

ショックを受けた彼女は、逃げ出してしまいます。

そんな彼女が、「僕」と「小林真」の記憶を思い起こすきっかけとなるのです。

真(厳密にいえば「僕」)が起こしたスニーカー事件がきっかけで、仲が良くなったのが早乙女くんです。

彼は真の成績と同じぐらいで、高校に合格するかどうか分からないという瀬戸際に立たされています。

なりゆきにより、いつしか二人は気の置けない友人になっていきました。

「僕」が早乙女くんに連れられて買った「靴底が一センチ高い」スニーカー。

店員のお兄さんは「そんな理由で買うのか」と笑いましたが、早乙女くんは決して笑わなかったのです。

彼は、ありのままの「僕」を認めてくれる、貴重な人物なのですね。

「そりゃそうだよな、あんな高いスニーカー、ひでえよな。おれ、集団でなんかやるやつらって大きらいだよ」

彼と同じ高校に入学したい。

「僕」はその一心で、勉強に励むようになるのです。

◯天界

瑠璃色の瞳を持つ美形の男天使、プラプラは、天界では非常に丁寧な性格ですが、いざ地上に降りると、むっつりした本性をむき出しにします。

営業用の天使の正装を嫌い、思ったことをそのまま言う姿こそが、彼の本心なのでしょう。

人間の職場関係にも通ずるような思考です。

「郷に入っては郷に従え、ってな。正直言って、下界でいかにも天使ってナリしてると、ときどき自分がばかみたいに思えてくるんだ。

いくら人間の目には映らないったってさ」

口は悪いプラプラですが、「僕」と一緒に花札をしたり、気まぐれにですが「僕」にアドバイスを与えたりする、憎めないキャラクターです。

そんなプラプラでも逆らえないのが、ボスです。

魂のホームステイの仕掛け人でもありますが、正体は謎に包まれています。

「数字にとくに意味はない。タイムリミットがあったほうがスリリングだから、なんとなく」

「そのスリルはだれが楽しむのかな」

「おれと、おれのボスが」

このセリフを聞いた限り、プラプラとボスは、似た性格を持っているような雰囲気がしますね。

張り巡らされた「伏線」

ところどころにさりげなく施された「伏線」。

それは、生前の真を知るきっかけでもあり、「僕」が記憶を取り戻すために必要な記憶でもあります。

そうして絵の世界にひたっているときだけ、僕は真の不運な境遇や、孤独や、みじめさや、背の低さを忘れた。

油絵は僕を日増しに強く引きつけていった。

生前の真は、熱心に美術室に通う生徒でした。

そこでだけ彼は、安心して自分の世界に浸りきることができたのです。

木の葉はぼくからなにかを払い、川の水はなにかを流してくれたようだ。

下描きを終え、水彩絵の具で色づけしていくうちに、徐々に自分の体が軽くなっていくのがわかった。

「僕」の正体

「僕」の正体。

それは、服毒自殺した小林真の「魂」でした。

そのことは、美術室で唱子が彼に放った「一言」で明らかになります。

「だって、小林くんの書く絵は変わらないもの」

「絵?」

「そう、小林くんの絵。その独特の色づかい。筆のタッチや、キャンパスにむかう目つきまで、やっぱり小林くんは小林くんだったよ」

プラプラはそのことを知りつつ、彼に「現実を見ること」を薦めたのです。

真は、生前から優れた色彩感覚と、独自のタッチで絵を描くことができました。

幼少期は「絵がうまい」ということだけで周りに褒められていた彼ですが、成長するにしたがって、絵をだれも欲しがらなくなっていったのです。

そのころから、彼は身長も伸び悩み、苦しくなっていきました。

中学一年生の時、彼に決定的な事件が起こります。

群れていたグループの一人が「しらけるんだよなあ」とわざとらしく言ったことから、いじめが始まります。

中学二年のときに、いじめは収まりますが、また「しらけるんだよなあ」と言われるのが怖くて、彼はすっかり心を閉ざしてしまうのです。

寒色や暗色を多用した、鬱々とした作品が増えてゆきました。

「このままではまずい」と思った彼は、「明るい絵」を描こうと試みます。

透き通るような青い色を使った、深海から這い上がる馬の絵を。

この絵が完成する前に、あの「魔の一日」が彼を襲います。

  • 母親の不倫(相手はフラメンコ教師)
  • 不祥事がきっかけで、父親が出世
  • 片思いの女の子、ひろかの援助交際が発覚

といった出来事が、彼にまとめて襲い掛かるのです。

耐えきれなくなった彼は、父親が「危ないから」と言って手の届かないところに保存しておいた睡眠薬を大量に服薬します。

そして命を落とした、はずだったのですがーー。

「生き直す」ってどういうこと?

人の人生は一度きりです。

ただし、「生まれ変わる」ことは、生きていてもできます。

若いころに、未熟な行動や発言をしていた人が、大人になって別人になることがあるでしょう。

家族を持つこともあるかもしれません。

過去が惨めであったとしても、未来は変えられる。

未来を変えるのは、自分次第ということです。

生き直しとは、自分のことを見つめ直し、新たな自分として生まれ変わることなのでしょう。

ぼくのなかにあった小林家のイメージが少しづつ色合いを変えていく。

それは、黒だと思っていたものが白だった、なんて単純なことではなく、たった一色だと思っていたものがよく見るとじつにいろんな色を秘めていた、という感じに近いかもしれない。

黒もあれば白もある。赤も青も黄色もある。明るい色も暗い色も。きれいな色もみにくい色も。角度次第ではどんな色だって見えてくる。

まとめ

いかがでしたでしょうか。

プラプラは、時には助言を「僕」に伝え、ある時は「自分で考えろ」と彼に挑戦状を突きつけます。

事実は残酷です。時には人の命を奪うことだってありえます。

この世界は「めちゃくちゃな世界」だ。

誰もが傷ものであり、壊れものであること。

自分の心の弱さと向き合うことこそが、何度も何度も繰り返し出てくる、この本のテーマなのでしょう。

厳しいことと分かっていながらも、あえて突き放し、一人で考えさせること。

そうすることによって、自分自身の世界を見つめ直すきっかけを生み出すこと。

この小説がきっかけで、皆さんが自分の可能性や、気付けなかった事実に気付いていただけたらなと考えています。

主題歌:ストレイテナー/原色

ストレイテナーの「原色」です。

「色」を象徴する楽曲をと思い、選曲しました。

柔らかな光を照らしながら光源が回転するような、アルバムの最初を飾るのにふさわしい楽曲となっています。

この本を読み終えてから聴いていただけるとありがたいです。

この曲は「COLD DISC」の一曲目として収録されています。

全ての曲がシングルカットされてもおかしくないと思えるほどの、傑作アルバムです。

「孤独はいつも味方だった 傷つけるよりはマシだった」

「もうその名前で僕を呼ぶのは君だけ 生まれ変わることなどできないけれど」

全曲再生できるトレイラーがありますので、こちらもぜひどうぞ。

おすすめは「原色」「シーグラス」「The Place Has No Name」「Curtain Falls」「覚星」です。

そして、最後にVo.ホリエさんからの、この印象的な台詞をもって締めくくらせていただきます。

「最後に、このアルバムはあなたの聴覚に触れるまではただのCOLD(冷たい)DISC。だけど一度触れたなら、身体は熱を帯び、感情は動き出し、すべての色に光が宿るでしょう。そしてきっと、あなただけのGOLD DISCになると思います。」ーサイトより抜粋

おまけ「青空のむこう」「流星ワゴン」「椿山課長の七日間」との共通点

死者が何らかの方法でよみがえり、生者と接点を持つ」というテーマは、この小説以外にもたくさん取り上げられています。

特に同じ児童文学として有名な作品で、アレックス・シアラーさんの「青空のむこう」(長らく単行本の状態でしたが、2018年に文庫本になりました)があげられますね。

交通事故で亡くなってしまった男の子が、幽霊の友達とともに友達や家族を訪ねるという、ファンタジー小説です。

ほかにも、脳の病気で急死してしまった主人公が、それまでの自分とは正反対の美女に変身して下界に降り立ち、不名誉な疑惑を払拭するために奔走する、浅田次郎さんの「椿山課長の七日間」。

家庭も、父親との関係もうまくいかずに追いつめられていた主人公が、終電に飛び込んだ瞬間に、親子が運転する見知らぬワゴンに乗り込み、そこで若かりし父親と再会し、親子共に時間を遡って今までの人生を振り返る、重松清さんの「流星ワゴン」があげられます。

どれも素晴らしい小説ですので、未読の方はぜひ手に取ってみてください。(私は全部好きです。)

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