2019年2月、福岡市中央区にひっそりと誕生した「ブックバーひつじが」。
家のベッドで読書も良いけど、時にお酒を楽しみながら本の世界に浸りたい。
そんな瞬間はありませんか?
今回はお店の店主であるシモダヨウヘイさんに取材させて頂きました。
本もお酒も一人の時間も楽しめるブックバーのご紹介です。
長崎県島原市出身。
立命館大学を卒業後、8年間大阪で生活する。
2018年初夏に福岡に移住し、2019年2月に「ブックバーひつじが」をオープン。
好きな物は、本・日本酒・BUMP・人間観察。
お店をオープンしたきっかけについて
━━元々お店を持ちたいという思いがあったのですか?
シモダさん ありましたね。
大学時代、京都の「猿基地」というバーに出会ったことがきっかけです。
カウンター席は、大学の中ではないたくさんの刺激的な出会いに溢れていました。
そしていつかは通う側ではなく、そういった空間を作る側になりたい。
そんな思いから、今のひつじがのオープンに至りました。
━━2019年、このタイミングで決心がついたのは何か理由がありましたか?
シモダさん 「30歳までには始めたい」と自分の中で決めていました。
大学生の頃の私は他人に喋れるネタも力もなかったので、一度は社会経験を積もうと思いました。
会社勤めを8年間、いよいよ30歳というタイミングでとある本を読んだことにも影響を受けました。
━━とある本ですか?
シモダさん 「タタール人の砂漠」という本です。
その後の将来をどうするか迷っていた私の、背中をポンと押してくれました。
「ブックバーひつじが」の名前の由来
━━特徴的な名前ですが、この「ひつじが」の由来はどこからきたんですか?
シモダさん 元々は動物をモチーフにしたいという思いがありました。
動物だとロゴにしやすく、イメージがパッと持ちやすいかなと思って。
とは言え物件が決まったオープン3か月前の段階では、それ以上具体的なことは何も決まっていませんでした。
━━そこから「ひつじが」に決まったのはどういった経緯があったんですか?
シモダさん 大阪で知り合いと飲んでいる時、何気ない会話の中で決まりました。
「羊」になったのは2つ理由があります。
まず1つ目は、夜のイメージがしやすい動物だったことです。
羊と言えば、羊が1匹羊が2匹..と寝る前に数える動物。
夜をイメージしたときにパッと頭に出てくる動物、ということから、名前に「羊」を入れようと決まりました。
━━なるほど。もう1つの理由は?
シモダさん 僕の下の名前が「洋平」で、羊が入っていたので(笑)。
━━それは運命ですね(笑)。
ちなみに「ひつじが」の最後に「が」を付けたのも何か理由があるんですか?
シモダさん 助詞の「が」を付けることによって、その後の空白を描いて欲しいという思いがありました。
なので正確には
「ひつじが。」で完結ではなく
「ひつじが~」と空白が続くイメージです。
ただただ羊が1匹羊が2匹..と数を数えるだけだと思考停止で終わってしまいます。
そうではなく、本を読んだりお酒を飲んだり話したり、それぞれの方法で余白を埋めて欲しいと思ったんです。
「ひつじが」という名前は、そんな思いから生まれました。
店内に並べる本へのこだわり
━━店内にある大きな本棚が特徴ですよね。
特注品とお聞きしましたが、本にはなにかこだわりがあるんですか?
シモダさん まず単純に本が好きなので、本を置きたかったんです。
自分の好きな本を読んで欲しいという思いもありますが、もう1つ違った理由があります。
━━違った理由ですか?
シモダさん 僕のこれまでの人生の中で、本が人との会話の橋渡し役になってくれる機会がたくさんありました。
本が横にあることで共通の話題が生まれ、たくさんの人との会話・出会いを作ってくれました。
だから、ひつじがで出会った人達との縁を紡ぐツールになれば、という思いから、本を置いています。
━━見渡すといろんな本がありますね。
お店にある本の選定はシモダさんが決められているのですか?
シモダさん 私の本もありますが、今はそのほとんどが寄贈本です。
ありがたいことに、地元や大阪から沢山の方が本を寄贈してくれます。
ただ何でもかんでも置いている訳ではなく、ちゃんとした寄贈理由があるものを選ばせてもらっています。
━━そんな寄贈本を実際手に取って読まれるお客さんも多いですね。
シモダさん それで言うと1つ面白い出来事がありました。
1人で来られたお客さんがとある1冊の寄贈本をカウンターに座って読まれていたんです。
すると同じ日に、その人が読んでいる本を寄贈してくれた本人が来店されたんです。
━━すごい偶然!笑
シモダさん その瞬間はカウンター越しでニヤニヤしてましたね、ハイ。
━━カウンター席にはマンガもたくさんおいてありますね。
シモダさん マンガは1巻だけ置くようにしています。
これにも理由があって、書店さんに行ってくれる人を増やしたいと思っています。
ひつじがは本屋ではありませんが、代わりに本に興味を持つきっかけを提供できる場でありたいなと思っています。
ひつじがに来るお客さんのタイプ
━━ひつじがさんにはどういうお客さんがよく来店されますか?
シモダさん リピーターさん・新規のお客さんが半々くらいの割合です。
年齢層もバラバラで、大学生から40代のサラリーマンまで幅広く来店されます。
特徴としては、本が好き・お酒が好き・人と話すのが好きな方が多いですね。
━━1人で来られる方も多いんですか?
シモダさん 多いですね。
入口の看板を見てふらっと寄って頂いたり、女性も1人で来られる方もいらっしゃいます。
最初は1人でカウンター席に座っていたのに、いつの間にか横にいる方と本について喋ったり仲良くなることも多く、毎回違った繋がりが生まれるのが面白いですね。
・しっぽり飲みながら本の世界に浸る方
・新たな本や人との出会いを楽しむ方
・店主と夜な夜な語り合う方
皆さん思い思いの時間を過ごされるようです^^
━━なんかまさに、バーっぽいです(笑)
シモダさん お酒も珍しい果実酒や焼酎を置いているので、興味の幅を広げてもらえたら嬉しいです。
またお酒が飲めない方でも楽しんで頂けるよう、ソフトドリンクも色々と変わり種を用意しています。
今後やっていきたいこと
━━ひつじがを通じて今後やりたいことはありますか?
シモダさん 直近で言うと、日本酒の試飲会・2月に実施した読書会のような、本・お酒にまつわるイベントが出来ればいいなと思っています。
それを他の飲食店さんや書店さんとタッグを組んだりして、面白いものを生み出していきたいですね。
━━シモダさんご自身の夢や目標はありますか?
シモダさん 僕はひつじがが皆さんの動線の一部になってくれればいいと思っています。
たまり場として同じ場所に居続けるというよりは、1つの通過点として使って頂きたいです。
━━少し珍しい考えなのかなと思いました。そう思われる理由はありますか?
シモダさん 1つの場所に居続けると、その瞬間は面白いかもしれないけど、いつかその面白さはピークを迎えてしまうからです。
もちろん、足繫く通って頂くことは嬉しいですが、ひつじがで全て完結する必要はないと思っています。
ひつじがで初めて読んだ本・初めて飲んだお酒・初めて会って話した人との会話を、外の世界に放ってもらう。
そして今度は外の世界で拾った絵の具を、どこかのタイミングでひつじがに塗ってもらう。
そんな繰り返しが出来れば素敵ですよね。
周りに面白い人達がどんどん増えれば、結果自分の人生ももっと面白くなっていくので。
福岡にお越しの方は是非ふらっと立ち寄ってみてください♪
目印1:「鷹・鷹・鷹」というオレンジのお店の隣
目印2:ファミリーマートの向かい
【最寄り駅】西鉄薬院駅or平尾駅
【営業時間】17時頃〜26時頃
【定休日】不定休
お店の最新情報はひつじがのSNSをご覧ください。
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