『神様のカルテ』新章開幕!夏川草介ってどんな作家さん?【この世は住みにくい。でも、きっと大丈夫。】

 

夏川草介さん、という作家さんをご存じでしょうか?

1番有名なのは『神様のカルテ』シリーズでしょう。

長野県松本市にある本庄病院で働く青年内科医・栗原一止を主人公に彼の日常を描いたハートフルな医療小説です。

現在新章の大学病院編である『新章 神様のカルテ』まで5冊が出版されています。

そしてもう一つ、『本を守ろうとする猫の話』という作品があります。

こちらは医療から離れた作品で、中学生や高校生向けかもしれません。

各作品のあらすじはそれぞれの紹介ページにお任せすることにして。

夏川草介さんの何が魅力なのか?について書いていきたいと思います!

夏川草介の魅力1:堅い、でも、柔らかく暖かい文章

夏川さんの作品には夏目漱石の『吾輩は猫である』のような口調で話す登場人物が必ず出てきます。『神様のカルテ』シリーズはその口調で地の文も書かれています。

例えば『神様のカルテ』の冒頭部分。

なんたる失態だ……私は慨嘆した。

釈明の余地のない失態なのである。

いや、私に問題があるのではない。環境の罪である。だいたい私のような勤勉・実直を絵に描いたような青年内科医が冒頭から釈明の余地のない失態に追い込まれるくらいであるからその環境の劣悪さも想像がつくであろう。

一見するととても堅くて、難しそうですよね?

ですが実は読んでみると意外とそうでもなく、リズムよく、むしろとても柔らかい、暖かい文章です。

文豪作品や昔の作品は苦手、という方でも読んでもらえるのではないかと思います。

夏川草介の魅力2:個性的なキャラクター

夏川さんの作品に登場する人物は個性的なようで親しみの持てる人物です。

例えば『本を守ろうとする猫の話』の主人公・夏木林太郎。

彼はどこにでもいる男子高校生、ですが祖父の影響でシェイクスピア、スタンダール、ニーチェなど大人でも手を出すことをためらうような本を読んでいます。

なかなかそんな高校生、いないでしょう。

でもそれは、裏返せばクラスにあまりなじめていないということです。

クラスに1人はこんな子いたな…みたいな子ではないでしょうか?

『神様のカルテ』シリーズの主人公・栗原一止も魅力的な人物です。

青年内科医で、夏目漱石を敬愛し、愛読書は『草枕』。口調も先ほど引用したとおり、少し古風です。

ですがとても患者さん思いの医師で、こんなお医者さんに会いたい!と思わせてくれます。

遠い場所だけど、なんとなく近くにいるんじゃないか、と思わせる登場人物も魅力の1つです。

夏川草介の魅力3:心に刺さる言葉たち

通常、本の帯に書かれている言葉はキャッチコピーが多いと思うのですが、夏川さんの本についている帯には本文の言葉が書かれていることが多いです。

その言葉以外にもたくさん素敵な言葉が書かれていて心に刺さります。

でも痛いわけではありません。心が温かく、軽くなります。

中でも私が時々思い出しては「素敵だなあ」と思う言葉があります。

それは『神様のカルテ2』の古狐先生の言葉、

「……人が死ぬということは、大切な人と別れるということなんですね」

です。

毎日のように殺人事件のニュースが流れるような時代です。毎日誰かがどこかで大切な誰かと別れています。

それまで人の死をきちんと捉えることが出来なかった当時小学生の私にとって初めて死とは何かを教えてくれた言葉でした。

『本を守ろうとする猫の話』にもたくさん素敵な言葉があります。

中でも私が好きな言葉は、と思ったのですが選べません!

ぜひぜひ読んであなたのお気に入りの言葉を見つけてみてください!

夏川草介の魅力4:考えさせられる内容

『神様のカルテ』シリーズは地域医療での作品です。

医師不足、過酷な労働環境、満床のベッド…。

医師というのは、というより地域の病院は本当に大変なのだと思います。

そこで働くということ、人の死、地域医療、たくさんのテーマが込められています。

急変したら、本当に「出来ることは全てやって」、それで幸せなのか?

医師は患者のために家族を犠牲にしていることを私たちは分かっているのか?

たくさんの疑問を投げかけられて、そのたびに立ち止まって考えなければなりません。

『本を守ろうとする猫の話』では何度も「本には力がある」という言葉が出てきます。

本の力とはなんだろう?

私たちはなぜ本を読むのだろう?

どちらも改めて考えると難しいテーマです。考えたこともなかったかもしれません。

でもそれは登場人物たちも同じです。

私たちは作品を読みながら一緒に考えることが出来るんです。

答えは人それぞれで当たり前なんです。

考えるきっかけになるのではないでしょうか?

おわりに

夏川草介さんの作品の登場人物はそれぞれに生きづらさを感じているように思います。

私たちが生きるこの世も結構理不尽で何かと生きにくい、住みにくいです。

でも、きっと大丈夫。そう言ってもらえている気がします。

夏川さんの作品は必ず前向きに終わります。読んだ後、前に進む力をもらえます。

ぜひ手に取ってみてください!

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