前話401話では、BJ対アドラーズの試合に決着がつき、日向が影山に勝利する形となった。
2021年、ついに「東京オリンピック2020」が開催。
その時、かつてコートとボールで遊び戦った「友」たちは何をしているのか?
そして、最強の布陣となった「日本代表チーム」の前に立ちはだかることとなった誰もが実力を認める「あの人」とは!?
『ハイキュー!!』最終回402話ネタバレあり感想、あらすじをお送りする。
目次
天童牛島、2人はマブダチ
時は2021年3月に戻る。
五色が白鳥沢学園の仲間たちとあるテレビ番組を観ていた。
画面右上には「〜大陸」という文字が見える。
映し出されたのは、白い帽子と服をまとった天童覚。
職業「ショコラティエ」。
人のブロックを読むのは上手いが、本人の行動パターンは全く読めない。
高校時代の「名ゲスブロッカー」から、一流のチョコレート職人になるまでの道のりが全く見えてこないのは僕だけだろうか。
謎のベールに包まれ続ける天才サトリ。
やはり嫌いになれない。
彼が番組内で食事を共にするのは、日本代表のエース・牛島若利だ。
読者からしてみれば至って自然な流れだが、番組視聴者すればかなり特異な組み合わせだろう。
インタビュアーが
おふたりは戦友というわけですね
と尋ねると、2人は声を揃えて言った。
マブダチです
これには番組を見ていた強面コーチ・鷲匠先生も
ふーっ!!
と吹き出す。
牛島の口から「マブダチ」という言葉が飛び出すのが笑えるし、天童が坊主でキメ顔をするのも可笑しい。
でも、マブダチって良いものだ。
【悲報】福永、鍋パの前菜にパエリアを作ってしまう
孤爪家では、これから音駒出身の選手たちと「鍋パ」が行われるらしい。
研磨のお気に入り福永招平は、お笑い芸人兼飲食店アルバイトとなっていた。
彼も天童と同じ匂いを感じるという点で僕は好きだ。
飲食店で磨いた腕を生かしてみんなのために作ったのは、本場イタリア風の美味しそうなパエリア。
研磨「ねえ、福永がめっちゃウマいパエリアつくった」
普通に作ってくれたらありがたいのだが、これから始まるのは「鍋パ」である。
どうしてこのタイミングで彼はパエリアを作ってしまったのだろう。
そして、なぜ「ちょっとしたつまみ」程度のクオリティではなく、メインディッシュに匹敵するレベルで料理してしまったのだろう。
ボケか、はたまた天然か。
読めない。
彼のそんなところを研磨は気に入っている。
ロシアのバレーチームにリベロとして所属する夜久衛輔は、1度渋谷に寄ってから孤爪家に行くことになっている。
その理由は、109のビルに大きく貼られた香水の広告を一目見るためだった。
そこに写っていたクールビューティーの極みのような人物は、長身でロシア人と日本人のハーフ・灰羽リエーフとその姉・灰羽アリサである。
リエーフの陰りと憂いを帯びた表情で女(姉)の胸元をちら見する姿は、静かに興奮するムッツリに見えなくもない。
これを見た夜久の反応はこうだ。
はははははは!!!
通話中のリエーフは言う。
イケてるでしょ!?でしょ!?
世の男性モデルも中身は大して僕らと変わらないのかもしれない。
天内、田中の言葉を支えに奮闘。喜ぶ田中夫妻
オリンピックの女子バレー4日目。
田中と幼なじみで報われない片思いを続けていた天内叶歌(あまない・かのか)も、今では日本代表のエースとしてセルビアと戦うまでの一流選手だ。
相手選手は天内を執拗に狙いメンタルを削ろうとするも、彼女は田中の言葉を思い出す。
できるまでやれば、できる
どうやら田中への気持ちは、女性として抱く「恋心」から、1人のプロフェッショナルが持つメンターへの「信頼」に昇華されたようだ。
彼女の人生に田中はなくてはならない存在なのだ。
田中のように常に本気でぶつかっていれば、その姿や言葉が誰かの支えになっていることがある。
そんなところに田中潔子(旧姓・清水)は惹かれたのだろう。
天内のメンタルは崩れるところを知らず、ゾーンに入ったかのような正確無比なレシーブから勢いのあるスパイクで点を決める。
歓喜する旦那とガッツポーズをする奥さんは仲睦まじい。
旭、西谷に感化されはっちゃける
オリンピックは男子バレー12日目。
本日行われる試合が今回の目玉、日本VSアルゼンチン戦だ。
田中家では烏野の仲間たちと観覧会が行われるようだが、旭と西谷の姿が見えない。
東京でオリンピックってタイミングで海外旅行行っちゃう旭。西谷と「弾丸世界ツアー」とか、やはりビュンが過ぎる
西谷は流石の行動力と言ったところだが、どうやら旭まで感化されてチャレンジングな性格になってきているようだ。
2人から届いたピラミッドをバックに撮った写メが、その変貌ぶりを物語っている(ぜひ本誌で確認してほしい)。
及川、アルゼンチン代表となり「大王様」復活!
日本代表は現在世界ランキング4位に浮上しているものの、アルゼンチンに対しては2連敗を喫している。
そのアルゼンチンとの試合が今まさに始まろうとしているところだ。
相手チームの先頭に立って現れたのは、影山の「目標」であり、牛島から最大の賛辞を受け、岩泉との最強コンビで強豪・青葉城西を率いた名セッター、及川徹だった。
俺は全員倒す。覚悟しとけ
かつての言葉は「戦友たちと同じチームではなくライバルとして戦った上で勝つ」という意味だったことがわかる。
現実世界においてアルゼンチンは2020年7月現在、世界ランキング6位で10位の日本より格上の存在。
つまり、及川はまたしても「大王様」として影山や日向の前に立ちはだかったのだ。
大学時代はひたすらホセ・ブランコに師事し修行。
無名であった及川だったが、やはり一回りも二回りも大きくなって帰ってきた。
ブラジルで「ニンジャ・ショーヨー」と共に「ケン・ワタナベ」としてビーチバレーに挑戦した時も、プレーは一流選手のそれだったことは記憶に新しい。
変人コンビ、ここに復活
今日こそ倒すぞアルゼンチン!!
と「普通のエース」木兎が意気込み士気を上げる。
「自分たちのペースを作りましょう」と返す影山はボソッとこう続ける。
今日はこいつも居ますし
影山-日向の「変人コンビ」復活だ。
相手のペースを乱し独自のリズムを作り出す上でこれ以上の存在はいない、という確かな信頼が伝わってくるセリフである。
これまで互いにライバル同士だった選手たちが今、「日本代表」として一同に介し及川率いるアルゼンチンに勝負を挑む。
オポジットにはまるでタイプの異なる日向と牛島、セッターには影山と宮の2人、そして星海、佐久早、木兎も揃い、まさに「オールスター」だ。
試合の様子は最初の部分のみ描かれるが、最後までは見られない。
作者の意図をあえて汲み取るならば、「オリンピックで行われる試合というのはまさに『こういうレベルの試合』なのだ。彼らの試合風景を作るのは現実のバレーボール選手たちである」ということではないか。
現在のみんなの姿、これまで『ハイキュー!!』という物語を繋いでくれた人たちとの思い出、日本VSアルゼンチンの試合風景と共に「バレーボールとはなんたるか」が改めて語られる。
「バレーボール(排球)」
コート中央のネットを挟んで、2チームでボールを打ち合う。
ボールを落としてはいけない。
持ってもいけない。
3度のボレーで攻撃へと、つなぐ、球技である
及川の格段にパワーを上げたサーブを佐久早が上げたが乱れる。
だが、影山はしっかりと正確なセットを上げ、日向とマイナステンポの攻撃を仕掛ける。
日向の目にはしっかりとボール・ネットの位置・相手ブロックが見えている。
最初の1点を取ったのは、日本。
変人コンビの拳が力強くぶつかり合う。
やはり、味方になれば最強。
挑戦を止めることを知らない者たち
オリンピックも無事終わり2022年、影山はイタリア、日向はブラジルのチームに移籍し、ローマ開催のバレーボール・ワールドカップ決勝では再び敵同士となっていた。
影山「今日は」
日向「今日も」
日向&影山「俺が勝つ」
全日本男子代表チーム監督・雲雀田吹(ひばりだ ふき)は言う。
昨日の敗者たち、今日のお前は何者だ?
彼らは成長を止めることを知らない。
挑戦することに怯まない。
昨日負けても、今日「何者」になれるかが重要だ。
そういう日々を送る彼らがくれた最高の物語が『ハイキュー!!』だ。
8年半、ありがとう。
彼ら彼女らに影響を受けて成長し、新しい挑戦を続ける読者もきっと少なくないだろう。
そして、日本のスポーツ漫画史に残る名作を血の滲む思いで紡ぎ続けてくれた作者・古舘春一さんに心より感謝し、労いの言葉を送りたい。
本当にお疲れ様でした。
『ハイキュー!!』という素晴らしい物語から得たものを、読者の僕たちがそれぞれの形で「つないで」いこう。
大切なのは「今日、何者になれるか」ということなのだから。
最終話「挑戦者たち」。
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