ハイスピードな試合展開を見せる、ブラックジャッカルとアドラーズの一戦。
キャラクターそれぞれの成長を描きながら、高校時代のエピソードも詰め込んでいるから見ていて懐かしい!
前回44巻では、影山がバレーボールを始めた「原点」について描かれた。
影山にバレーを始めるきっかけを与えた人物が、祖父の影山一与。
一与は、影山にセッターを始める機会を与え、バレーとの向き合い方まで伝えていた。
試合をもっと長く楽しみたいという理由で、手を抜いた影山に対して、一与は強くなれば目の前にはもっと強い誰かが現れると教えた。
そして今、目の前には最強の囮、ライバルの日向がいる。
44巻では影山に限ったことではなく、宮侑や木兎など、春高編で戦ったライバルたちもちゃんとフォーカスされていた。
日向と影山の決着は?
これから2人はどんなバレー人生を歩むのか?
クライマックスの45巻、ハイキューのネタバレありのあらすじ感想記事をお送りする!
佐久早の原点とバレーへの想い
星海と日向の攻防を見た佐久早は、運悪く体格に恵まれない中でプロになった2人は強いに決まっていると高く評価する。
そして、アドラーズのロメロの強烈なサーブをレシーブする。
佐久早の強みは手首の柔らかさを活かしたスパイクだけでなく、安定したサーブレシーブにあると解説が入る。
チームメイト曰く、佐久早は「やり始めたら極めるまで」という完璧主義且つ、軽い潔癖な一面があるそうだ。
佐久早は、牛島に対してだけは好意的なのが前々から気になっていたけれど、その理由も明らかになる。
牛島がトイレの後に手を洗い、手を拭いたハンカチの「濡れた面」を内側にして折り畳むという所作を見た時から、ライバルとして意識し始めたのだとか(もちろん牛島のバレー選手としての能力も認めている。)
佐久早は中学の頃、牛島のサーブを取ることが出来なかった事が悔しくてレシーブの練習に精を出すようになる。
高校の春高バレーで、日頃から準備を怠っていなかったら仲間の選手が退場した事で、「どれだけ念入りな準備や練習をしていても、時にどうしようもない不運は起きてしまう」と考えるようになる。
自分が運良くプレーをし続けている事に感謝し、逆に「いつ終わっても良い」と思えるように彼は今日もバレーと向き合う。
牛島若利、最強のスパイカーは、進化を躊躇わない
次にフォーカスされるのは、日本の若きエーススパイカー牛島若利。
彼の高校卒業以降のエピソードが少し描かれる。
牛島は、両親の離婚により離れてしまっていた父親、空井崇に会うためアメリカへ。
アメリカへ渡った理由はそれだけではなく、いずれ海外チームでプレーする事を視野に入れ、アメリカで暮らす父の所属チームの練習に参加させてもらう事だった。
そして、牛島はそこで思わぬ人物と遭遇する。
青葉城西のエース岩泉(当時大学2年生)だ。
岩泉は、海外で活躍する日本人トレーナーに弟子入りするべく、単身アメリカへ飛んでいたのだが、その相手が偶然にも牛島の父親だった。
牛島はアメリカでの経験や色んな人との出会いを超え、まだまだ成長し続けている。
今までの自分を捨て、フォーム改善にも着手したようだ。
時間は現在に戻り、ロメロからトスを受ける牛島。
強者であるために何度でも強さ(それ)を捨てよう
そう心で思いながら、スパイクを放つ牛島の姿を、鷲匠監督は実に嬉しそうに観客席から眺めている。
左利きである事は牛島の明確な強みの1つ。
アメリカで父親に会った時、彼はこんな言葉を伝えている。
…俺は恵まれている もし恵まれていなくても頑張るのは同じだったと思う でも俺の左手(ギフト)を守ってくれてありがとう父さん
高校時代の横断幕を背景に、最高のプレー集!
試合は第4セット(ブラックジャッカル2セット奪取、アドラーズ1セット奪取)序盤は一進一退の展開で、両チームとも攻撃の応酬になる。
そんな攻防の中、星海のスパイクを日向がブロックする。
6年前、春高バレーで戦った2人。
星海が日向に向けて言い放った「俺はお前を待っている!」という言葉を、彼はずっと覚えており、その時を心待ちにしていた。
当時は、チームメイトの白馬から、突き指じゃあるまいし試合中には難しいと言われていたが、星海はそれに対してこの試合でという意味じゃないと言っていた。
つまり、6年越しの約束が今果たされている!
盛り上がりを見せる試合もいよいよ大詰め。
影山の強烈なサーブがブラックジャッカルを苦しめる。
それだけでなく、アンテナの外側から、相手コートのネットを越すセッティングという離れ業を披露する。
この変則的なトスを、空中戦の覇者・星海がコートエンドヘ叩き込む。
空中なら俺が一番強い
と考えながらジャンプする星海の背景には、「習慣は第二の天性」という鴎台高校の横断幕に書かれていたスローガンが!
ここからは、選手1人1人のスーパープレーの背景に高校時代の横断幕が描かれるという胸が熱くなる演出が!
そこで描かれる選手のプレーと横断幕をご紹介していこう。
レシーブの巧い佐久早は、影山の殺人サーブを見事拾い、そのままトスを貰って流れるようにスパイクを決めた!(もちろんスパイクは手首の柔らかさを活かした強回転スパイク)
佐久早の背景には、井闥山学院バレーボール部の「努力」の横断幕。
続いて木兎のサーブは目の前の自分のプレーにのみ集中する、「タスクフォーカス」の心構え。
高く挙げたサーブトスの背景に、梟谷学園バレーボール部の「一球入魂」の横断幕。
アドラーズも負けてはいない。
絶好調の牛島が影山のトスから強烈なスパイクをお見舞いする。
白鳥沢学園バレーボール部の横断幕、「強者であれ」という言葉を背負い仁王立ち!
続くシーンでは星海のサーブで乱され、コートサイドに流れたボールを宮侑が必死に追う。
ボールに追い付くよりも先に、背後から「ドンッ!」と日向がハイジャンプする音が響く。
「トス上げますよね?」と言わんばかりの脅迫じみた日向からの信頼を見せつけられ、「コイツ!」と日向を睨む宮侑。
しかし、そこは天才セッター。
変人速攻「ウシロマイナス”定型外”」日向のジャンプに合わせてドンピシャのオーバーハンドトス!
彼の背景には、「思い出なんかいらん」という稲荷崎高校バレーボール部の横断幕が!
ここまでのプレー×横断幕の演出は、個人的に最近読んだ漫画で1番感動した。
超カッコいい!
そして、試合は進み、スコアは24対23……ブラックジャッカルのマッチポイント。
読んでいるこちらも、楽しかった祭りが終わるような感覚になる。
ブラックジャッカルのマッチポイント、レシーブを受けた日向がすぐに体勢を立て直してジャンプの助走に入る。
木兎から上がったトスを打つために高く飛び上がる日向と、それを迎え撃つべくブロックに飛ぶ影山!
2人の背景には、「飛べ」という烏野高校バレーボール部の横断幕が!
共に戦ってきた2人が、敵味方に分かれて演じる空中戦。
その結末は…!
熱戦決着!勝利の女神はどちらに微笑む?
10年近く前の初対決、あの中学の試合を彷彿させるような日向と影山の空中戦。
その軍配は影山に!
日向の打ったスパイクは影山のブロックによって弾き返されてしまう。
しかし、日向は足でボールを拾い、ギリギリで宮侑に繋ぎ、プレーを続行。
ボールが落ちなければ負けない、それがバレーボールだ。
着地すると同時に逆サイドへと素早く走り出す日向は、お得意のブロード攻撃を仕掛ける!
––––コートの横幅めいっぱい
誰もが日向に目線を釣られてしまう中、実際にトスが上がったのは、木兎。
コート上、そして感客、そして読者までもが日向という「最強の囮」に釣られてしまった。
木兎がスパイクを決め、これがブラックジャッカルの決勝点となり、セットカウント3対1でアドラーズを下して勝利。
まさか最後の最後で日向を囮に使うとは、驚きだった!
次のページ
書き手にコメントを届ける