前回674話では、新六将となった王翦・楊端和・桓騎が対趙戦線へ戻り、新たなる攻略目標が明かされた。
それは趙都・邯鄲の喉元である武城と平陽の2城だ。
“戦争の自由”を得た桓騎は大方の予想通り暴走をはじめ、平陽を目指し苛烈な戦いを自軍に強いていた。
そしてその災難が飛信隊を先行する玉鳳に降りかかろうとしている。
舞台は絶対に攻め入ってはならない最悪の戦場・影丘。
桓騎の命でこの地に入った玉鳳の見たモノとは?
王賁の身に危険が迫ろうとしている!
『キングダム』675話のネタバレありの感想をお送りする。
摩論が告げる玉鳳の役割
玉鳳の中枢4名(王賁・番陽・関常・亜花錦)は、これから攻める険地・影丘の前線を視察していた。
しかし彼らが目にしたモノは先に戦っていた左翼軍の悲惨な有様だった。
関常「こんな場所を攻めるからだ。どうかしている」
亜花錦「じゃがワシらもこれから攻めるのじゃろ、その影丘を」
副長・番陽も影丘侵攻に反対の様子だ。
「おやおや、もうお着きでしたか。ご苦労様です、玉鳳の皆さん」
誰かと思えば、桓騎軍の参謀・摩論だ。
摩論「六大将軍・桓騎の大参謀にして“紳士”摩論でございます」
しらけた雰囲気が玉鳳を包む。
摩論はツッコんで欲しかったようだが、亜花錦はともかく他の三人に冗談が通じるはずもない。
さて、摩論は何をしに来たのか?
もちろん桓騎の命を伝えるとともに、玉鳳を説得に来たのだ。
摩論「ご存じの通り、我々のここ左翼は大苦戦中。玉鳳の皆さんは左翼の中心となり、影丘を抜いていただきたい」
言葉に遠慮のない関常が、すかさず切り返す。
関常「いや、作戦の練り直しを桓騎将軍にお願いする」
舌戦が始まった。
摩論「はい?」
関常は険地である影丘を迂回して、中央軍に合流すべきと主張。
さらに影丘を狙うことは
関常「無謀を通り越してバカのやることだ」
この男、思ったことをそのまま口にする。
しかし摩論は、周りが理解できない戦い方で常に勝ち続けてきたのが桓騎だと言い返し、その上で、
摩論「あなた方の理解など求めていません。さっさと従いなさい。これは“六大将軍”の命令です」
まさに六将制の暴走現場だ。
関常「了承しかねる」
摩論「それをそのまま却下します」
ピリピリとした嫌な空気が張り詰める。
ここで沈黙していた王賁が口を開いた。
影丘を抜くことの戦略的な意味を冷静に考えてみると、
- 影丘を突破すると右側に展開している中央軍・右翼の戦場に裏から回り援軍を送ることができる
- この戦況に持ち込むことができると、一気に全軍を勝利に導ける
- 眼前の防衛網を突破することで、目的地・平陽への侵攻が可能となる
しかしこのことが分かっていても、影丘を抜くのは容易ではない。
玉鳳だけでは兵力が足りないと踏んだ王賁は、摩論へ1つ要求をする。
王賁「中央から隊を少しまわせ。しかもお前たち桓騎兵をだ、摩論」
摩論の目つきが一層怪しさを増す。
険地と言われる難所で戦わされている左翼軍は、ほぼ他から集められた桓騎軍以外の兵で構成されている。
つまり王賁の要求は、そのことが不平等であることを示している。
王賁「大将なら死地に送り込む兵の“差別”をするな」
この玉鳳3人の主張に、亜花錦は賛成しかねているようだ。
亜光に仕え、実質的に王翦の戦い方を近くで見てきた亜花錦は、プロセスはどうであれ最終的に勝利へ導くことが大将の役割だと理解しているのだろう。
ただ摩論は、たまたま結果としてよそ者の軍が死地に割り振られただけだと、半ばしらばっくれる。
さらに重ねて反論。
摩論「それに“差別”しているのはあなた方の方ですよ、王賁」
番陽「なんじゃとォ!?」
摩論「これが桓騎ではなく王翦の命令であったなら文句の1つも言わずに突っ込んでいくところでしょう」
さすがに桓騎の参謀だけあって、頭が切れる。
たしかに先の鄴攻略戦では、不自然と思えるほど一向に援軍を送ってこない王翦に、「ただ従うだけだ」と頑ななまでに従順性を示した。
もちろん尊敬する父親であるからだが、それは口にすることができない。
摩論は誠に痛いところを突いてきた。
摩論「影丘をお抜きなさい、王賁将軍」
お預け状態に焦れる飛信隊
一方飛信隊は、依然として左に王翦軍、右に桓騎軍を眺める、中間地帯に留まっていた。
敵軍も左右の大軍に集中しているため、中間にいる飛信隊に攻め入ってくる様子もない。
この中途半端な状況に隊員たちはこれからどうするか、を各々意見する。
が、河了貂が王翦から待機命令が出ていることを明かし、さらにフラストレーションが貯まる。
そこへ玉鳳の足取りを追っていた斥候部隊から報告が入り、壊滅状態だった桓騎軍左翼の主力として影丘に入ったことを知る。
王賁を心配する信。
仲は悪いが、かけがえのないライバルなのだから。
玉鳳、開戦!
その頃玉鳳は影丘で、すでに敵と対峙していた。
関常「本当にやるのか。一度始めたらもう止められないぞ」
見てくれとは正反対で、彼はいつも慎重だ。
王賁「勝つだけだ」
痛いところを突かれ、意地になってなければよいのだが・・・
ついに桓騎軍左翼として、玉鳳軍が死地・影丘攻めを開始した!
開戦の報は中央軍の本陣にいた桓騎にも入る。
ここで摩論は桓騎に進言した。
その内容は
- 摩論も玉鳳では影丘を抜けないと読んでいる
- 王翦軍・楊端和軍に比べ深く進攻している分、敵軍が集まり始めている
- この戦況では玉鳳が敗れると、桓騎軍も危うくなる
- 一旦全軍後退するのが得策である
すべてを聞いた桓騎は
桓騎「かもな」
その素直な反応に意外だったのも束の間。
桓騎「摩論、中央軍と右翼に伝達だ。もう少し前に押し出せってなァ」
摩論「ハ・・・・・・(人の話きいてますかね・・・)ハイ」
やっぱり桓騎だ。
動き出す扈輒軍15万、その目標は?
ここで大局的な戦況を見てみると
- 秦軍は中央に王翦軍、左に楊端和軍、右に桓騎軍が展開。(飛信隊は王翦軍と桓騎軍の間)
- 各軍は趙軍の分厚い防衛線によって侵攻を邪魔されている
- 防衛線の後ろに軍総司令・扈輒大将軍の正規軍が布陣している。
その動向が注目されていた扈輒軍15万が、一斉に桓騎軍を目指し動き始めた。
桓騎軍本陣では摩論がうろたえまくっていた。
摩論「まずい、まずい、まずい、まずいですよ!本当に!」
圧倒的な戦力が迫ってきている不安と、王翦軍が防衛線を突破しやすくなった嫉妬から、ますます冷静ではいられなくなっている。
摩論「本当はこれを逆にやりたかったのに。だから私はムリな前進はずっと反対していたのですよ」
さすがの摩論もついに愚痴りだした。
桓騎「摩論」
摩論「ハイ」
桓騎「前進だ」
摩論「!?、えっ!?」
桓騎の考えは誰にもわからない。
今回はここまで!
玉鳳が死地・影丘で開戦する一方、迫りくる扈輒軍15万に対し対決姿勢を桓騎がみせた『キングダム』675話。
今話を全体的に判断すると、王賁率いる玉鳳軍が絶望的な状況に追い込まれたことが分かる。
扈輒軍15万が防衛線の後方から援軍として迫っているということは、
- 攻めることがタブーな影丘を何とか抜けたとしても、防衛線の裏に回ることなどできない
- ただでさえギリギリの戦いで消耗し切っている状況で、無傷の大軍と戦うことになる
- さらに桓騎軍は前進を続け、扈輒本軍との対決は不可避。
ただし、誰にも理解されない策で勝ち続けている桓騎のことだ。
きっとまだまだ秘策があるのだろう!
次回、必見!
えっ!また休載・・・最近多くないか?
次回は4/15だ!
今回の主役は摩論。玉鳳4人を相手に論破してしまう様子は必見!
同時に桓騎のカリスマ性を目の前にして何も言えない彼も必見!
摩論が主役なんてもうないぞ!
今週のヤングジャンプを買って読もう!
では次回 676話もお楽しみに!
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