「UNISON SQUARE GARDEN(ユニゾンスクエアガーデン)」
それは、どこよりも誰よりも「かっこいいバンド」の名前だ。
日本の三人組(スリーピース)バンドで、その演奏を耳にした人々は、口を揃えて言う。――「かっこいい」と。
今回はこのバンドが生みだす「かっこいい」を、読書家の皆様に知って頂ければと思う。
この「かっこいい」に、皆々様が虜になってくだされば幸いだ。
「UNISON SQUARE GARDEN」とは?
2004年に結成された、三人組バンド。略称は「ユニゾン」
2008年にメジャーデビューをはたす。
2011年に、一大ブームを起こしたアニメ『TIGER & BUNNY』のOP曲として製作した『オリオンをなぞる』をきっかけに、その名を世にしらしめていくようになる。
その後もいくつものアニメとのタイアップを行ったりし、その楽曲達の生み出す、気持ちのいい韻の踏まれた歌詞やハイクオリティな高い技術力の詰め込まれたメロディーを軽々と歌う「かっこよさ」もって様々な人々を魅了していく。
今年2019年、活動15周年を迎え、7月24日その記念を称賛したアルバム(トリュビュート・アルバム)『Thank you, ROCK BANDS! ~UNISON SQUARE GARDEN 15th Anniversary Tribute Album~』をリリースした。
尚、こちらのアルバムリリース記念のライブも行われる事が決定されており、15という節目の年をもってしても、その人気は失われる事なく続いていることを証明している。
これだけは絶対に聴いてほしい一曲
『シュガーソングとビターステップ』
超天変地異みたいな狂騒にも慣れて こんな日常を平和と見間違う
ramblin coaster 揺さぶられながら 見失えないものは何だ?(作詞:田淵智也/UNISON SQUARE GARDEN ベース)
『オリオンをなぞる』に続き、UNISON SQUARE GARDENの名を、再び世に知らしめることになった楽曲だ。
踊り回れそうなキャッチーでノリがよく、しかしロックにかき鳴らされた激しいギターメロディーも垣間見せている、この楽曲。
元は漫画原作のアニメ『血界戦線』、その第一期のEDとして製作された楽曲だ。
EDでは楽曲のノリにあわせて、『血界戦線』の登場人物達がダンスを踊ったり酒を酌み交わしたりなど、真夜中のパーティーを催している演出で製作されている。
そんなこの曲の魅力と言えば、なんと言っても『血界戦線』の世界観と、UNISON SQUARE GARDENの持つ「かっこいい」の融合性だろう。
わかりやすい言葉で表すならばそう。「オシャレ」だ。
気軽なダンスパーティーフロアで流されているようなメロディーが持つ「オシャレ」もさながら、その歌詞の言葉選びもまた「オシャレ」の一言なのだ。
たとえば、冒頭出だしの「超天変地異みたいな狂騒にも慣れて こんな日常を平和と見間違う」という歌詞。
これは、血界戦線の世界観そのものと言っても過言ではない表現だ。
血界戦線は元NYである街を舞台に、異界人と人間が様々なまるで非日常のような日常を群青劇的に描き出す、アクション漫画。
非常にカオスな世界観ではあるが、この歌詞はそれを一言で綺麗に表現しきったものだと言えよう。
そしてその上で続く「ramblin coaster 揺さぶられながら 見失えないものは何だ?」という歌詞。
とつぜんの英語。
しかし韻の踏まれ具合がとても心地よく、むしろそこにいるのが当然のように思えてくる言葉並びとなっている。
さらに、くわえての最後の問いかけのような歌詞。
質問形式でありながら、まるでこちらの本音を丸裸にさせて来ようとするような強い語気での終わらし方は、UNISON SQUARE GAEREN特有の言葉センス、そして歌い方を感じさせてくる。
この楽曲を前に、踊り出さない者はいない。
踊り出して当然。自分の中にあるものを全てさらけ出して踊れ。
そんな力強い、「引っ張り」を感じる。
聴いてる者達を皆、この楽曲の世界へ自信満々に引っぱって行こうとするさまは、正しく「かっこいい」の一言だ。
アニメ作品のイメージだけではない、UNISON SQUARE GARDENならではの「かっこよさ」の根本すらも見せつけてきているこれは、ぜひ一度耳にしてまちがいなしな、オシャレでハイセンスなかっこいいユニゾンソングだ。
まとめ
『シュガーソングとビターステップ』は、当時何気なく聴いてるだけだったユニゾンを、私の中に色濃く残す事となったきっかけのソングだ。
故に、もしまだUNISON SQUARE GARDENというバンドを知らない方がいるのならば、ぜひこの一曲を聴いて欲しいと思い、今回の記事に選曲させて頂いた。
アニメという作品の世界観を損なう事なく、それでいてUNISON SQUARE GARDENというバンドの「かっこよさ」も表現する――。この素晴らしい表現力であふれたかっこいい楽曲を、ぜひ一度耳にして欲しい。
尚、現在(2019/7)UNISON SQUARE GARDENのYouTube公式チャンネルにて、結成15周年に伴い、期間限定のフルMVの配信が行われている。
公開期間は、2019年7月23日(火)AM 0:00~2019年8月24日(土)PM 23:59まで、とのこと。
ふだんはショートMVばかりのUNISON SQUARE GARDENによる、期間限定でのフルMV公開。
これを機に、ぜひ彼らの「かっこよさ」に触れて頂きたい所存だ。
選書:市井 豊『人魚と金魚鉢』
主人公の一人称で語られる短編連作ミステリー小説だが、しかしその登場人物の数の多さは、様々な登場人物の視点から語られる「群像劇」にすら負けない程に多い。
その理由はひとえに、その舞台が「大学」という学生世界だからではないだろうか。
「学校」が舞台と言われると世界狭いのように感じられるが、それが「大学」と言われると、途端その世界は大きく広がる。
たとえば、十代と二十代という別の年代同士が同じ場所にいるのは、日本全国を探しても「大学」と「夜間高校」の二種ぐらいではないだろうか。他にも思いもよらない地方からの入学生もいれば、留学生だっている。学年としては卒業をしているはずなのに、「院生」と呼ばれる在学生もいる。
様々な年齢に人種の人々が、闊歩している世界なのだ。
そんな世界で「芸術学部」という場所を主軸に繰り広げられる日常(時々非日常)ミステリーな為、必然的に謎に関わる人々の数は多くなる。主人公一人の目線だけで本当に語られているのかと疑う程に、人と人とに溢れ、そして濃ゆい登場人物達によって、コミカルに時にはシリアスにと、その謎解きが行われていくようになっている。
そんな「人とミステリーとまた人」といったような世界配分のこの小説と、「夜通しで踊り明かす人々」で溢れた街の光景に似合うこの楽曲とに、似たものを感じて選書させて頂いた。
痛快愉快な、ちょっとブラックなユーモアが交じった展開運びの感じもまた、この楽曲と通ずるものがあるように思う。
尚、この小説自体は『聴き屋の芸術学部祭』と呼ばれる小説の続編だが、先も言ったように一話完結型の短編連作となっている。
その為、前巻を知らない方でもでもわかりやすく、世界観に溶け込み読むことができるだろう。
【あらすじ】
音楽学科の学生選抜コンサートの会場となるはずだった、大ホールのステージを泡だらけにした犯人は誰か?そしてその理由とは?爽やかな余韻が残る表題作ほか、聴き屋だからこそ真相に気づけなかったエピソードを描く「恋の仮病」、美少年タレントの謎の行動の理由を探る「世迷い子と」など全五編を収録。生まれながらの聴き屋体質で、どこに行っても聞き役となり、その結果いつも謎解きにつきあわされる柏木君と、彼を取り巻く文芸サークル第三部、“ザ・フール”の愉快な面々が推理を繰り広げる連作。お待たせしましたシリーズ第二弾!
(BOOKデータベース引用)
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