出したばかりのコタツに入りながら…クリスマスという愛憎入り混じる祭日を耐え忍びながら…
2018年、まだまだ本が読みたい!面白い本に出会いたい!!!
勢いのままに、東京 神楽坂にあるla kagu(ラカグ)で開催されたトークイベントに参加してきました。
12月4日(火) 19:00-20:00
「2018年の推し本はコレ!目利き書店員が本音で語る、愛と辛口にあふれた選評会!」@la kagu
田舎者はさっそくパシャパシャと写真を…(笑)
実は、どんな方がいらっしゃるのかも、開始まで存じ上げないという不勉強っぷり…しかし、好む本や選ぶ言葉が、それぞれの書店員さんの人柄を伝えてくれたように思います。
皆さん、本に携わるプロでいらっしゃることは会話の随所から感じられました。しかし良い意味で“カリスマショップ店員”のような雰囲気はなく、ただ本好きがワッと盛り上がるような、本好きが本好きへ「こんな本面白かったよ~!」とお勧めするような。
こちら側が言葉を発する機会こそありませんでしたが、客席(※)も一体になって濃い時間を作っていたように思います!
(※)次の本が紹介されるたび食いつくように表紙を見たり、メモ帳にペンを走らせたり、、、わかる~~面白い本のこととなると自然と熱が入っちゃうんですよね。わかる。
とはいえ、トーク内容は参加した人の特権。
本好き同士がニヤニヤと(?)楽しんだ時間を、掻い摘んで紹介します。
2018年 それぞれの「推し本」!
新井 見枝香(あらい みえか)
三省堂書店神保町本店に勤める。作家とのトークイベント「新井ナイト」や、芥川・直木賞をもじった「新井賞」を独自に設立するなど、各方面で活躍中。最新著書は「本屋の新井」、当日はその表紙のイラストがどーんとプリントされたTシャツで登場。
- 三浦しをん「ののはな通信」「お勧めしたくないんですよ!」 「みんなどう思った?と聞きたい本と、自分だけのものにしたい本があって、これは後者」
「 紹介したくない…」と最後まで呟いていらっしゃいました(笑) - 尾崎世界観、千早茜「犬も食わない」
- 桜木紫乃「ふたりぐらし」「 誰かと一緒に生きていくのは良いことだよ、ということを教えてくれました。桜木紫乃さんというと重い話のイメージがあるかもしれませんが、これは違う。びっっくりします。」
- 町屋良平 「しき」「町屋さんは、体感してることを文章にするのに秀でてる。すごく爽快感がある。」
「純文学のジャンルだと思うんですけど、そういう風に難しく考えずに、爽快感!(を感じて欲しい)という作品です。」
読んでどう感じたか、自分にとってどんな本か を端的に伝えてくださいました。
続く3人を思ってか、多くを語らない性分なのか、はたまたキャラが濃すぎるから意識して抑えたのか(!?)、比較的短い持ち時間だったように感じましたが、言葉にたっぷりと感情が含まれていて、「小説、好きなんだなあ」と伝わってきました。
ちょっとクセが強そうなところがまたシンパシー。
内田 俊明(うちだ としあき)
八重洲ブックセンター八重洲本店に勤める。当日は「今年初めて読んだ小説家、というテーマに絞って選んできました」とスタート。
- 綾崎隼「君を描けば嘘になる」
- 赤松利市「鯖」「 書かれている飯がすごく美味そうなんですよ!!!クエ鍋をやたら食うんですよ!!!クエのフルコースが出てきて!!!」
- 川越宗一「天地に燦たり」
「もう一冊はね、『ののはな通信』を選んだんですよ。・・・あとで話しましょう」
内田さんは、どの小説もあらすじを丁寧に説明してくださいました。
新進気鋭の作家の著書、裏を返せばあまり認知度が高くなく、加えてその場では表紙しか見ることが出来ません。内田さんの紹介でイメージがもくもくと広がった人は多いと思います。
竹田 勇生(たけだ ゆうき)
紀伊國屋書店西武渋谷店店長。新宿南店(現在は洋書専門)に勤務時から文芸書を担当。
- 朝吹真理子「TIMELESS」「筆頭は揺るぎないんです」と始まった本作の紹介。
「時空の歪みが文書の端々に宿っていて、読んでいてどことなく不安になるのが朝吹さんの魅力。これは今書いている他の作家さん、誰もこの境地に達していないと思っています」 - 一木けい「1ミリの後悔もない、はずがない」「連作短編という形ですが、最後の一編でその全部を吸収する、読み終えると長編小説を読んだような気になれる。これがデビュー作で出来るのか!」
「帯に『椎名林檎さん絶賛!』とあって…書店員としては正直そういう帯好きじゃないんですけど(笑)、そりゃまあ椎名林檎さんも絶賛するよねって。」 - 瀬尾まいこ 「そしてバトンは渡された」文藝春秋の営業さんから、昨年の年末にゲラを渡されたという竹田さん。
「新年、良い小説を手に迎えたい。このままだと年末までに読み終わってしまいそうでしたので、わざわざ(読むのを)我慢して我慢して…年を越しました(笑)」 - F「真夜中乙女戦争」「え!そういうものが?!というのを選んでみたく・・・」
後に調べたところTwitterフォロワー数が23万人近い「F」さん。ツイートを書籍化した前作「いつか別れる。でもそれは今日ではない」が話題になったようです。大変に盛り上がったのですが、これこそ“愛と辛口にあふれた”内容…胸の内に留めてニヤニヤします。
それぞれの作家のどういうところが魅力で、この小説のどんな部分でそれが光っているのか、を熱く!そして分かりやすく伝えてくださった竹田さん。
本好きがどうやって本を選び、どんな読書体験を期待しているか、をよく分かっていらっしゃるな~!と感じる紹介でした。
熱のこもったパネルやPOPに定評があるとのことなので、お店にも足を運んでみたいと思いました!
花田 菜々子(はなだ ななこ)
「女性のための本屋」というコンセプトを掲げるHMV&BOOKS HIBIYA COTTAGEの店長。著書「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」が話題。
- 小川たまか「『ほとんどない』ことにされている側から見た社会の話を。」「フェミニズム、というと読むのが面倒に感じるかもしれません。でも、友達が話しているような気軽さで“モヤモヤ”を丁寧に真摯に描いている方で、だから気持ち悪いって思ったんだ!という風に溶けていく感覚があります」
「何がセクハラか分からないという男性も、ハッとさせられることがあると思います」 - 木下龍也、岡野大嗣「玄関の覗き穴から差してくる光のように生まれたはずだ」「映画を観ているような感覚に近くて、小説とは違う新しい体験をしてもらえる。すごい本です」「これがダメだったら、短歌は読まなくて良いと思います。」
- 阿久津隆「読書の日記」初台にあるfuzkueという「本の読める店」の店主さんの著書。
「普通だったら飽きる量の長文なんですが、ただ海を眺めているような、、、これが本当に心地よくて。」「読書って最高なんだよなという結論に至るんですよね。」
「もう1冊は、私も『ののはな通信』を・・・」
「出会い系サイトで70人と実際に会ってその人に合いそうな本をすすめまくった1年間のこと」の表紙だけはチェックしていた私。“ゆめ可愛い”イラストにショッキングピンクの帯が印象に残っていたため、花田さんの穏やかな物腰には良い意味でギャップを感じました。
さらに「フェミニズム!?」「歌集!?」と、一歩踏み込んだ選書にも驚かされました。
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