多くの学生や社会人にとって、大きな難関となる「読書感想文」。
読んだ本の内容をまとめるだけでは「ただのあらすじじゃん」と言われてしまう。
だけど、「面白かった、感動した」だけでは字数が埋まらない。
じゃあ一体何を書けば…
こんな悩みを持っている方は多いのではないでしょうか。
確かに、日記とも作文ともレポートとも違って、「読書感想文」は書くべきことが曖昧で分かりにくいですよね。
そこで、本記事では誰でも簡単に読書感想文を書けるようになるテクニックをお伝えします!
私は7年間小学校の塾講師をした経験があり、100人以上の読書感想文の宿題を手伝ってきました。
その中で身に付けたテクニックを、惜しみなくご紹介します。
読書感想文作成に悩む学生の皆様にも、お子さんの宿題を手伝う親世代の方にも有益な情報になっています。
ぜひ最後までお付き合い下さい。
読書感想文を書かせる目的は?
まずは、読書感想文を書かせる目的についてみていきましょう。
要は、読書感想文を「読む側」が「書く側」に何を期待しているのかについてお伝えします。
本のどこに感動したかを知りたい
1つ目は、本のどこに感動したかを知るためです。
例えば、大ヒットアニメ映画「千と千尋の神隠し」を題材に考えてみましょう。
この映画はいくつも「心が動かされる」ポイントがありますが、人によって感じ方は多種多様です。
「両親が豚になってしまったシーンにゾッとした」なのか、「川の神様の世話をした千尋が認められたシーンに感動した」なのか、感情が動いたポイントが様々あるはずです。
まずは一体どのシーンに心を揺り動かされたのかを明確にしましょう。
本を読んで何か考えたことはあるかを知りたい
2つ目は、本を読んであなたがどんなことを考えたかを知るためです。
引き続き「千と千尋の神隠し」で考えてみましょう。
本映画のラストシーン、千尋が元の世界に戻る道で、ハクに「決して振り返ってはいけない」と言われます。
なぜハクはあのような言葉を千尋に掛けたのでしょうか。
考えてみれば不思議ですよね。
もしかしたら、「振り返ったらもう二度と両親が人間に戻れないよう湯婆婆が呪いをかけていた」のかもしれません。
または、千尋にずっとこの世界にいてほしいと思っているハクが、自分の中で賭けをしていたのかもしれません。
「もし一度でも振り返ったら『ずっとここにいてほしい』と言って引き留めよう。振り返らなかったら諦めよう」のように。
このように、本に書かれていないが、自分なりに考えてみたことを盛り込んでみると好印象です。
読書感想文を読まされる側は正直とっても退屈です。
そんな中、キラリと光る考察があると目を惹きつけられます。
このあと登場人物がどんな行動を取るか、このシーンで登場人物が別の行動を取っていたら結末はどうなっていたか等、なんでも結構です。
ぜひ自分なりの考えを書いてみて下さい。
本を読んで何か調べたことがあるかを知りたい
3つ目は、本を読んだ後にあなたがどのような行動を取ったかを知るためです。
大ヒットアニメ「鬼滅の刃」について考えてみましょう。
「鬼滅の刃」は鬼について描かれていますが、日本の「鬼」についての伝承を調べてみるのも良いでしょう。
本作品を読んで、日本に語り継がれる鬼についての伝承に非常に興味が湧きました。
調べていくうちに、鬼舞辻無惨は〇〇という鬼をモデルにしているのではないかと考えました。
のように、感想文の中に「課題図書から派生して考えたこと」等を盛り込んでみると、非常にレベルの高い感想文を書くことができます。
特に「物語の時代背景」や、「作者が生きた時代」などは調べやすいテーマです。
参考にしてみてください。
読書感想文を書く際の注意点は?
それでは、次に読書感想文を書く際の注意点についてお伝えします。
そもそも本選びに注意!
まずは、本選びに注意しましょう。
読書感想文を書きやすいのは、登場人物の心情の動きが激しい本です。
次々に事件が起こるような本もおすすめです。
逆に、登場人物の心情を読み取りづらい本や、「平穏な毎日の記録」のような本はおすすめできません。
波乱万丈で感情表現豊かな登場人物が出てくる本を選びましょう。
文章の抜き書きで字数を埋めるのはNG
次に、文章の書き方についてです。
文を書くのがそもそも苦手という方もいるかもしれませんが、感想文を書く上で絶対にやってはいけないことがあります。
それは、「文章の抜き出し」です。
一部なら問題ないですが、中には200字300字と、ものすごい文字数を抜き書きしている人も多く見受けられます。
「ああ、困って字数稼ぎしようとしているな」というのは読んでいる側からするとバレバレです。
厳しい先生であればやり直しを命じられる可能性もあります。
本文から抜き出すのは一部だけにして、大部分はあなたの考えや追加調査の内容で埋め尽くしましょう。
読書感想文はこの4ステップで書こう
では、いよいよお待ちかね。読書感想文の書き方について、手順を追って説明します!
心を動かされた部分を明記し、どんな気持ちになったかを書く
まずは、あなたが感動したシーンを明記し、あなたの心がどのように動いたかを明示しましょう。
「鬼滅の刃」で煉獄杏寿郎さんが死んでしまったシーンを例に出して説明します。
(多くの方が映画館で涙を流したことでしょう…私もそのうちの一人です…)
煉獄杏寿郎が死の間際、炭治郎に掛けた『胸を張って生きろ』という言葉は、私の心を大いに苦しめると同時に、私の心にも『炎』を灯してくれた。
このように、感情が動いたシーン⇒どのように感情が動いたのか(嬉しかったのか、悲しかったのか)をまずは明らかにしましょう。
なぜ心を動かされたかを書く
次は、心を動かされた理由を書きましょう。
以下、例文です。
なぜここまで心を動かされたか。
炭治郎を無惨討伐の後継者と認め、身を挺して炭治郎を守ったという事実から浮かび上がる師弟関係が、あまりにも美しかったからである。
いつの間にか炭治郎に感情移入していたのもあるかもしれない。
私自身、杏寿郎のことを『良き先輩』『信頼できるリーダー』と見なしていたのだろう。
だからこそ、炭治郎同様、私にとっても杏寿郎の死はつらく悲しい出来事だ。
このように、心を動かされた理由を書くと良いでしょう。
心を動かされた結果、あなたが取った行動を書く
最後に、その物語を読んであなたが何を調べたか、あなたが今後何をしようと考えているかを書き記しましょう。
身を挺して部下を守り抜いた杏寿郎の姿を見て、私は『真のリーダーとはどんな人間か』を考えるようになった。
松下幸之助、モウリーニョ、野村克也など、各界のリーダーたちの伝記や著書を読んでみたところ、次のような事実が分かった。
『優れたリーダーはみな、部下の心に響くような言葉を工夫して伝えている』ということだ。
例えば松下幸之助は新商品の開発が終わった部下に対して『お疲れ様。次はこの商品を超えるような新しい発明を考えてくれ』と伝えていた。
松下幸之助の一言で、部下たちはさらに奮起し、パナソニックは現在のような大会社になっているのである。
このようなイメージです。
煉獄さんを見てかっこいいと思った、死んでしまって悲しかった、だけでは幼稚です。
煉獄さんのようなかっこいいリーダーになりたい⇒リーダー共通の資質を調べる、という流れになっているのは分かってもらえましたでしょうか。
このように、本を読んで終わりではなく、本を読んで気になった部分を深堀して調べていきましょう。
結論を書く。締めは決意表明で
最後に、結論です。
日本の小中学生はなぜか「私も杏寿郎のようになりたい」で締める子が多いですが、ちょっと格好悪いです。
ただ「杏寿郎のようになりたい」ではなく、「杏寿郎のような優れたリーダーになりたい」のように、より具体的に書きましょう。
めったに人に憧れることのない私だが、杏寿郎の姿を見て、『信頼されるリーダーになりたい』と強く思うようになった。
しかし、優れたリーダーになるには、『言葉の力』が圧倒的に不足している。
だから私は、人の心に刺さるような優れた言葉を身に付けようと思う。
きっと磨けば煌めくはずだ。
炎に照らされた刃のように。
このように、調べた結果、行きついた結論+自身の決意表明で締めるときれいにまとまりますね。
ぜひ参考にしてみて下さい。
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