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『龍の子太郎』松谷みよ子【大人になった今こそ読みかえしたい1冊】

『龍の子太郎』松谷みよ子【大人になった今こそ読みかえしたい1冊】

大人になった今こそ

松谷みよ子さんという作家を名前は知らなくても作品なら知っている方なら多いのではないでしょうか。

もしかしたら児童文学の作家としてはそちらの方が幸せかもしれません。

これから紹介するのは『龍の子太郎』や『モモちゃんとあかねちゃん』でおなじみの作家さんです。

自分自身で読んでいたり、子どもが小さなころ読んでいたりしているかもしれません。

今回、紹介するのは『龍の子太郎』。

もう読んだことのある方がほとんどだと思いますし、あっと驚く結末があるわけでもないのでネタバレという形式で紹介していきたいと思います。

というのも『龍の子太郎』は児童書で、昔話の要素を持っています。

大人であれば結末がどうなるかは容易に想像がついてしまいますので、あえてどうなるかなどは隠して紹介はしません。

昔話的ですので、悪い人には罰が当たり、素直に改心すれば報われる。

努力をしたり、相手を思いやる気持ちがあれば救われたりよいことが起こったりします。

もちろん、子どもの時のように純粋にストーリーを楽しみつつ、大人ならではとまではいかないかもしれませんが、今になって気が付くことに注目しながら改めて紹介したいと思います。

今回選んだのは懐かしの青い鳥文庫から。

小学生のとき読んだり、お子さんがよく学校から借りてきたりしたのではないでしょうか。

文庫サイズとはいえ一般的なものより大きく、いつもより新鮮な気持ちで読めるかと思います。

また字が大きく読みやすいです。

そしてなんといってもひらがなの多さ。

大人になれば自然と漢字が多いものを読むことになりますが、たまにはひらがなが多いのも面白いと思います。

ちょっと読みづらいこともあるかもしれませんが、ひらがなならではの柔らかさがこの作品にはぴったしなので、ぜひ青い鳥文庫をお手に取ってください。

そもそも松谷みよ子さんとは

児童文学は作者名よりも作品名の方を覚えていることが多い、と先ほど書きましたが、せっかくですので、ちょっと作者にも触れてみたいと思います。

1926年の東京生まれ、2015年に亡くなられています。

坪田譲治に師事し、1951年「貝になった子供」で第1回児童文学新人賞を受賞。

以降様々な賞を受賞されます。

『龍の子太郎』は、講談社児童文学新人賞、国際アンデルセン賞優良賞、サンケイ児童出版文化賞をこの一作品だけで受賞されています。

さて坪田譲治に師事したと書きましたが、日本文学好きならご存知の通りの大作家です。

小川未明、浜田広介とともに「児童文学界の三種の神器」と称された一人。

実はこの青い鳥文庫の解説も坪田譲治が書いています。

思わぬところで彼の文章が読めるとは驚きました。

子どものころ読まないでいたあとがきも、ぜひこれを機に読んでみてください。

あらすじ・内容紹介

その一 龍の子太郎とあや

なまけんぼうの龍の子太郎はある日きれいな笛を吹く「あや」という女の子と出会います。

動物たちはみんなあやの笛の音に夢中です。

そんなあやに嫉妬した太鼓好きの赤鬼はあやのことをさらってしまいます。

龍の子太郎は相撲好きな天狗様に相撲をみせ、代わりに百人力を授けてもらいます。

その百人力で赤鬼を倒した龍の子太郎でしたが、あやは赤鬼の親頭黒鬼に連れ去られた後でした。

黒鬼にうんざりしていた赤鬼は龍の子太郎に頼み、雲まで飛ばしてもらい雷様になりました。

龍の子太郎は赤鬼に教えてもらった好きな姿に変身できる術や百人力で黒鬼も倒しました。

その二 おかあさんをたずねて

黒鬼の住んでいた場所はそれはそれはおいしい米がとれるところでした。

食べ物に恵まれない龍の子太郎とあやは村の人々にも米を食べさせたいと思いました。

黒鬼を倒した龍の子太郎はそのまま龍になったおかあさんを探すことにしました。

けちなおばあさんの手伝いをしたり、人々に稲を分け与えたりしながら、おかあさんが住んでいる湖に辿り着きました。

おかあさんに会った龍の子太郎は真相を知ることになりました。

おかあさんは三匹しかない魚を我慢できず食べてしまったら龍になったというのです。

龍の子太郎は物質的にまずしい現状を変えようと山を切り崩し、湖を流し稲作ができるようにしたいとおかあさんに頼みます。

おかあさんは自分の住みかを譲り、体を張って手伝います。

最後にはおかあさんは人間の姿に戻ることができました。

相手を想う気持ち

相手を思いやる気持ち。

龍の子太郎は非常に純粋な少年です。

悪いことは悪い、良いことはよい。

という大変気持ちのいい性格の持ち主です。

この作品も昔話でよくある、誰かのために行動したら自分のために返ってくるという精神が感じられるものになっています。

そしてそれが上手く物語に組み込まれています。

構成の巧みさともいえるでしょう。

子どものころは何気なく読んでいましたが出来事の繋げ方が見事です。

たとえば……

赤鬼は龍の子太郎に倒された後、「親分である黒鬼にはうんざりしていたから大好きな太鼓を叩いても怒られない雷様になりたい」と龍の子太郎に「雲まで投げて届けてくれないか」という頼みをします。

龍の子太郎はあやをさらった相手でありながらも、その頼みを引き受けます。

さて、ここでもう赤鬼の出番はおしまいかと思いきや、赤鬼が雷様になったのは物語後半で効いてきます。

龍の子太郎が母に再会し、住みかとなっている湖を村の人々のために、田んぼを作れるようにしたい。

そのために山を切り開かないといけないところで龍の姿である母が山に体をぶつける場面。

そこで龍の子太郎は雷様になった赤鬼に手伝ってくれないかと頼みます。

赤鬼の恩返しです。

他の雷様の協力もあり、山を切り開くことができました。

相手を想ってした行動が、後々返ってくるという考えがわかります。

そしてその返ってくるタイミングから長編である物語の構成のすごさが今になってわかります。

情けは人の為ならず。といもいえるめぐりめぐって自分に返ってくることは自己犠牲にも繋がってきます。

そしてそれもまたこの物語のテーマの一つになっているように思えます。

たとえば、龍の子太郎は生まれたばかりは龍の子だからか何も口にしませんでした。

ただ水晶のような綺麗な玉をしゃぶり育ちました。

その水晶のような玉はお母さんの目でした。

お母さんは自分の子を育てるために両目を捧げたのでした。

そんな自分のことではなく、わが子を思う気持ちが伝わったのか龍の子太郎はまっすぐな子どもに育ちました。

お母さんは自分のことしか考えずに、3匹しかなかった魚をすべて食べてしまったことで、龍になってしまいましたが、最終的に人間の姿に戻ることができます。

それも龍の子太郎がたくさんの人が貧しい生活をしなくてもいいように山を切り崩し、自分が住んでいる湖を川として流すという、大きな自己犠牲を払ったからだといえそうです。

自分の身を顧みず、誰かのためを思って行動することの大切さを感じさせる物語になっています。

声に出したくなるオノマトペ

この作品では子どもが読んで楽しめる工夫がなされています。

それは多彩なオノマトペです。

オノマトペといえば宮沢賢治を思い出す方も多いかもしれません。

『オツベルと像』の「グララアガア、グララアガア」など。

松谷みよ子さんのオノマトペの世界も覗いてみましょう。

場面は赤鬼にさらわれたあやを助けに行くとき、天狗さまの力を借りようとするところです。

相撲好きな天狗さまのために龍の子太郎は動物たちに相撲の取り方、しこの踏み方を教えます。

動物たちがしこを踏んだ時の表現がこちらです。

猪や熊は「ドシン、ドシン」

龍の子太郎は「デン、デン」

狐や兎は「トン、トン」

鼠は「ポチン、ポチン」

とそれぞれの動物の様子や大きさがありありと伝わってきます。

そして鼠のかわいいこと。

思わず声に出したくなってしまいます。

他には太鼓の音。

鬼は「ドーン ドーン ドドン ドテン ドン ズテン ドン」

龍の子太郎は「トントコ トントコ テケテンテン トカトカトントン テンテケテン」

鼠は「テンテン テン テケテン」

と太鼓の音一つにも工夫がなされています。

鬼の力強く(力任せに、でしょうか)叩く様子や龍の子太郎の軽やかに叩く様子。

鼠はどうやって叩くか、この表現だけでも想像できるのではないでしょうか。

そうです。しっぽです。

想像するだけでもかわいいですね。

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