『都会のトム&ソーヤ』原作小説あらすじと感想【夢を追う少年たちの痛快冒険譚‼︎】

都会のトム&ソーヤ書評記事のアイキャッチ画像

塾通いに追われる自称〈普通の中学生〉、〈内藤内人(ないとう ないと)〉。

勉強もスポーツも平均的な彼は、しかしどのような状況でも確実に生き延びる、ゴキブリ並みの強い生命力を持った少年だ。

大財閥〈竜王グループ〉の跡取りであり、(運動はからっきしだが)成績優秀の中学生、〈竜王創也(りゅうおう そうや)〉。

頭脳明晰で冷静沈着な彼は、しかし〈世界最高のゲームクリエイターになる〉という自らの〈夢〉を叶えるため、努力を怠らない努力家だ。

とあるきっかけから出会った2人。

その出会いは、2人のスリリングで魅力的な大冒険の始まりを告げる。

彼らの前に現れるのは、数々の名作ゲームを生み出した伝説のゲームクリエイター・〈栗井栄太(くりい えいた)〉や、依頼があればペットの誕生日会から銀行強盗の犯罪計画まで、凡ゆる企画立案を行う謎の組織・〈頭脳集団(ぷらんな)〉。

スリルとワクワクに満ち溢れた、〈夢〉を追う少年たちの痛快冒険活劇‼︎

こんな人におすすめ!

  • 雑学が好きな人
  • 冒険小説が好きな人
  • ミステリー小説が好きな人
  • 『名探偵夢水清志郎シリーズ』や『怪盗クイーンシリーズ』など、はやみねかおる氏の別冊品を読んだことがある人

あらすじ・内容紹介

塾通いに追われる自称〈普通の中学生〉、勉強もスポーツも平均的な少年の〈内藤内人〉。

特筆して優れた点が無いように思える彼は、しかしどのような危機的状況に置かれても、祖母から教わった様々な知識を動員して必ず生き延びることができる、無類のサバイバーである。

大財閥〈竜王グループ〉の跡取りにして、学校始まって以来の秀才と呼ばれる中学生、〈竜王創也〉。

順当に行けば、大財閥の長となる能力と運命を持った彼は、しかし〈世界最高のゲームクリエイターになる〉という自らの夢のために努力を惜しまない。

そんな2人が出会ったことで、大冒険の幕は開ける。

冷静なようで、猪突猛進型の創也に振り回されながらも、持ち前のサバイバルスキルで危機を乗り越える内人と、持ち前の頭脳で次々と謎を解き明かす創也。

そんな抜群の相性の2人の前に立ち塞がるのは、様々なライバルや強敵たち。

数々の名作ゲームを生み出した天才ゲームクリエイター・〈栗井栄太〉や、ペットの誕生日会から二酸化炭素削減国際会議の企画書、果ては銀行強盗の計画まで、依頼があればどんなプランも企画立案する謎の組織・〈頭脳集団(プランナ)〉。

時に命の危険すらある冒険に巻き込まれながらも、2人の冒険は止まらない。

『名探偵夢水清志郎事件ノート』や『怪盗クイーン』など、数々の児童書を生み出したはやみねかおる氏が描く、〈夢〉を追う少年たちの痛快冒険活劇‼︎

『都会のトム&ソーヤ』の感想・特徴(ネタバレなし)

スリリングで魅力的な、少年たちの冒険活劇

だって、冒険の始まりには、こんな三日月の夜こそふさわしいと思わないかい?

今作の大きな魅力は、なんといっても2人の少年の大冒険だろう。

主人公の少年・〈内藤内人〉は、勉強もスポーツも平均的で、日常生活に関して言えば至って普通の中学生だ。

しかしその実、一度危機的状況に陥れば、(無料で手に入れた)シュガースティックや子供向けの風船、果ては街角で配っていたティッシュまで、様々な道具を活用して窮地を脱する能力を持つスーパーサバイバーでもある(無料のものは例えゴミでも貰えるだけ貰っていくその様から、創也には〈ベストダスター〉の称号を与えられたこともある)。

幼い頃、山にこもって祖母から教わった様々な知恵をフルに活用し、困難に立ち向かう。

そして、もう1人の主人公・〈竜王創也〉。

大財閥〈竜王グループ〉の跡取りとして育てられている彼は、頭脳明晰にして冷静沈着(ついでに女子人気も高い)。

順当に行けば大財閥の長にもなれる彼は、しかしその座に着くことを拒み、〈世界最高のゲームクリエイター〉という自らの夢を叶えるためにあらゆる努力を惜しまない。

優れた頭脳を持ち、〈学校始まって以来の秀才〉とも呼ばれる創也は、目の前のことに夢中になり過ぎるあまり、気がつけば危機的状況に陥っているという、猪突猛進型の側面も持つ。

その度に内人に助けられることが多いが(寧ろ、内人の知恵をアテにして危険に突っ込む側面すらある)、ミステリ的な事件の際には見事に真相を解き明かす頭脳も持っており、非常に頭がキレる中学生だ。

中学生らしい喧嘩を挟みつつも、互いに助け合い補い合う2人は、100%を超える相性で冒険に臨む。

そんな2人の前に立ち塞がるのは、伝説のゲームクリエイター・〈栗井栄太〉や、企画立案組織・〈頭脳集団(プランナ)〉といった、一癖も二癖もある者たち。

海千山千の猛者たちと対峙し、時に命の危険すらある謎と冒険に挑みながら成長を重ねる2人の少年の活躍は、成長期の美しい輝きに満ちており、きっと目が離せなくなる。

中学生らしい、淡い青春模様

ぼくは、きっとこの娘を好きになるんだろうなって思った

中学生の彼らにとっての(と言うよりも、内人にとっての)重要事項は、冒険だけでは無い。

彼の(報われなさそうな)恋愛模様も、今作の魅力の1つだ。

同級生の〈堀越美晴(ほりこし みはる)〉との仲を発展させるため、様々な作戦を考えては創也を巻き込んで実行する内人の様子は、なんとも言えない微笑ましさを感じさせる(ここで〈微笑ましさ〉と言ってしまった時点で、自分が中学生だった頃から随分時間経ったことを自覚させられるが…)。

内人の決死の作戦の数々と、それに巻き込まれる創也の受難。

そして、〈堀越美晴〉は創也に惚れているが創也は恋愛に興味が無いと言う、何とも言い難い彼らの青春模様。

惚れた腫れたに一喜一憂する彼らの様子は、危険な冒険だけでは無い中学生らしい側面を見せてくれる。

このバランス感覚こそが、今作を更に魅力的に仕上げていると言っても、過言では無いだろう。

是非とも、彼らの中学生らしい青春模様も楽しんで欲しい。

『夢水清志郎事件ノート』シリーズや『怪盗クイーン』シリーズとの繋がりも

Good Night, And Have a Nice Dream

今作の著者、はやみねかおる氏が描く作品は、ほとんど全てがその世界観を共有しており、共通の人物なども登場する。

特によく登場する人物を挙げると、前述した〈堀越美晴〉の父親で、テレビ局のディレクター、〈堀越隆文(ほりこし たかふみ)〉だろう。

内人にとっては想い人の父親となるこの人物は、『怪盗クイーン』シリーズにも登場しており、〈そのドキュメンタリーはフィクションです〉というテロップが入る奇天烈なドキュメンタリーの撮影を行なっている。

そのほか、様々なシリーズの共通の登場人物や、その関係者が姿を見せたり、例えば『都会のトム&ソーヤ』での出来事が『怪盗クイーン』シリーズの事件に関連していたり、その逆があったりと、それぞれの作品が密接に結びついている。

勿論単品としても充分楽しめる作品だが、はやみねかおる氏の別作品を併せて読むことで、より物語に奥行きが増し、のめり込むことができるようになるだろう。

まとめ

一見ごく普通の中学生ながら、驚異的なサバイバルスキルを持った内人と、頭脳明晰で冷静沈着ながら、夢の為に猪突猛進してしまう癖を持った創也。

2人の中学生が挑む大冒険の数々は、〈男の子〉にとっての憧れが多分に詰まっている。

また内人の片恋やクラス内で流行るオリジナルのゲームなど、中学生らしい青春模様も大きな見所だ。

児童書としての完成度はもとより、大人であっても、かつて抱いていた未知なる世界へのワクワクを思い出させてくれる、非常に魅力的な作品となっている。

是非とも、少年少女の時に抱いていた冒険心を思い出しながら、赤い夢の世界を楽しんで欲しい。

この記事を読んだあなたにおすすめ!

『僕とおじいちゃんと魔法の塔』あらすじと感想【ヘンテコな不思議との出会いが決まり切った世界を変える!】『僕とおじいちゃんと魔法の塔』あらすじと感想【ヘンテコな不思議との出会いが決まり切った世界を変える!】 『少女を殺す100の方法』あらすじと感想【100人の少女が死ぬ短中編集】『少女を殺す100の方法』あらすじと感想【100人の少女が死ぬ短中編集】 『砂漠』 伊坂幸太郎 あらすじと感想【僕らの青春は終わらない】伊坂幸太郎『砂漠』あらすじと感想【僕らの青春は終わらない】

書き手にコメントを届ける

記事の感想や追加してもらいたい情報のリクエスト、修正点の報告などをお待ちしています。
あなたの言葉が次の記事執筆の力になります。