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『ムーミン谷の仲間たち』トーベ・ヤンソン【SNSに疲れたらムーミンたちと一息つこう】

世界中で親しまれている不思議な生きもの、ムーミン。

自由を愛する彼ら彼女らが暮らすムーミン谷は、たくさんの自然に囲まれ、ゆったりと時間が流れている。

日々の生活やSNSに疲れたら、心休めにムーミンたちの生活をのぞいてみてはいかがだろうか。

あらすじ

ムーミン谷で住人たちが繰り広げる、不思議で、楽しく、ユーモアたっぷりのムーミン短編集。

静かに暮らしたいヘレムン、この世の終わりを恐れるフィリフヨンカ、ニョロニョロの秘密にせまるムーミンパパ。

スニフが手放してしまった大事なものとは?

順番に読むもよし。ばらばらに読むもよし。気になった物語を読むだけもよし。

あなたの読み方1つで変わる、9つの個性豊かな物語。

童話作家で画家でもあるトーベ・ヤンソンが贈る優しくてあたたかい作品。

注意
以下、ネタバレ注意です。

『ムーミン谷の仲間たち』の感想(ネタバレ)

そもそもムーミンって、いったい何者?

みんながよく知っているムーミンは、カバなのか、妖怪なのか、いや、そもそも動物なのか。

正解は「トロール」という北欧の空想の妖精だ(私はてっきりカバだと思っていた)。

彼らはムーミン谷に住んでいて、冬眠するためクリスマスを知らない。

ムーミン谷には、ムーミン以外の住人もいる。

例えば、はい虫(はい「むし」と読むのか、はい「ちゅう」と読むのかは不明)。

「春のしらべ」に登場するはい虫は、

ざんばら髪の下に、二つのおずおずとした目

と書かれており、「いったいどんな生き物なのだろう?」と想像を搔き立てられる。

他にも「目に見えない子」に登場するニンニは銀の鈴以外の姿形がまったくない!

ニンニを連れてきたおしゃまさん(ムーミン一家の友達)によれば、

「このニンニも、おばさんからひどくいじめられたわけなの」

とのこと。

そんな苦い過去があり、すっかり姿形が消えてしまったのだそうだ(存在はしている)。

そして、あの有名なニョロニョロ(細いキノコの集団みたいな生き物)。

ニョロニョロが最初に登場するときの描写はこうだ。

みんな、ボートや帆とおなじに、真っ白です。

目は青や黄色になったりする不思議な生き物。

ニョロニョロの原名は「ハッティフナット」というらしいが、発音しにくいと思った訳者が「ニョロニョロ」と訳したとのこと。

だが、私はそのままでも十分にワクワクする名前だと思っている。

ためしに口に出してみてほしい。

ハッティフナット!

他人に干渉せず自由に生きるムーミンたち

名前だけではその姿が想像もつかない住人たちが暮らすムーミン谷。

でも大丈夫!作中ふんだんに載せられている作者ヤンソンさんの描いたイラストが私たち読者の想像が及ばぬ部分を補ってくれる。

彼の創り出す生き物たちは、どことなく『不思議の国のアリス』のすっとぼけた住人と通じるところがある。

話があべこべだったりすることはないけれど、他人のことなどどこ吹く風で、住人同士干渉することがない

ムーミンたちはおたがいに、人のことは心配しないことにしているのです。こうすれば、だれだって良心が発達するし、ありったけの自由がえられますからね。

自由には責任がつきまとうが、同時に孤独とも言える。

誰にも干渉されないことは果たしてそんなに良いことなのだろうかとも思うが、ムーミンたちは「過干渉せず自分の責任において行動する」という信条のもとに生活している。

だから、他の人(?)たちのことも心配しない。

「ニョロニョロのひみつ」という物語で、ムーミンパパはわけもなく家を飛び出してしまうが、ムーミンママはムーミンパパのことをまったく心配していない。

「そのうちかえってきますわ。さいしょからあの人は、そういっていたんです」

と彼女からは余裕さえうかがえる。

無責任な言葉ではなく、ムーミンパパを信頼して自由にさせてあげているというわけだ。

不思議な住人たちには、彼ら彼女らなりのルールがある。

ユーモラスで可愛らしい文章も読みどころ

この本は9冊あるムーミンシリーズの中で唯一の短編集だ

9つの物語が収録されており、バラエティー豊かで楽しい。

最初は「ですます調」の地の文や少し読みにくい会話文に戸惑うかもしれないが、どうか躊躇わず読み進めてみてほしい。

皮肉の効いたユーモアあふれる文章に、きっと虜になる。

その島は、だれにむかってでもはっきりと、おれに近よるなといっている、ぶあいそうな島だったのです。

花もないし、こけさえもはえていないしなんにもないのです。ただ、おこった顔をして、水の上につきだしているだけでした。

表現がとにかく可愛らしい。

「ぶあいそうな島」とか「おこった顔をして、水の上につきだしているだけでした」とか、子供にはわかりやすく、それでいて大人にはちょっとクスリとくる。

私も本書を読みつつ子供心がくすぐられた。

まとめ

ムーミン谷にはゆっくりとした時間が流れている。

ムーミンママは編み物、ムーミンパパはベランダでお茶、ムーミントロールとミィはスナフキンと一緒に小川で釣りをする。

どこに目をやっても自然豊かで、季節ごとの顔が見える。

気がつけばスマホを触り、Twitterを開き、「映(ば)える」写真を探してしまいがちな現代に生きる私たち。

そんな忙しい毎日から少しだけムーミン谷にトリップしてみてはどうだろう?

彼らはきっと笑顔で迎えてくれるはずだ。

「ようこそ、ムーミン谷へ」と。

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