【あなたに届けたい本】『本を贈る』刊行記念トークイベント「吉祥寺で本をつくること」

吉祥寺で本をつくること

百年にて開催されたトークイベントを拝聴してきました。

2018年11月16日(金) 20:00~21:30
編集者・島田潤一郎(夏葉社)× 校正者・牟田都子
「吉祥寺で本をつくること」
『本を贈る』(三輪舎)刊行記念トークイベント

百年とは?

東京・吉祥寺にある本屋さん。
コンセプトの文章が素敵なので是非そこだけでも読んでほしいです。

コミュニケーションする本屋でありたい。
何も話をしようというんじゃなくて、いやもちろん話をしたっていいのだけどそれは少し野暮な気がするから、本を買って売ってという関係を築きたい。そんなのあたりまえじゃないか?と言われるかもしれないが、その間に「誠実」さを介在させたい。

営業時間
月曜日~日曜日/12:00~21:30
火曜日/定休日
〒180-0004 東京都武蔵野市吉祥寺本町2-2-10 村田ビル2F

詳しくは公式サイトをご覧ください。

出演者プロフィール

中岡祐介(なかおか・ゆうすけ)
三輪舎代表・編集者
『本を贈る』の版元。今回のイベントの司会進行役。

島田潤一郎(しまだ・じゅんいちろう)
夏葉社代表
2009年9月、東京・吉祥寺で創業。著書に『あしたから出版社』(晶文社)がある。

牟田都子(むた・さとこ)
校正者(フリーランス)
吉祥寺在住。関わった本に『口笛を吹きながら本を売る』(石橋毅史、晶文社)など。

三人の関係性

中岡さん島田さん
一人出版社の先輩。
三輪舎を作るとき、中岡さんは島田さんに最初に相談。

中岡さん牟田さん
面識なし。
牟田さんは一度『本を贈る』の話を断ったものの、中岡さんの熱烈なメールで参加を決意。

牟田さん島田さん
島田さんのいちファン。
トークイベントを聴きに行く立場から、一緒にトークイベントをやる立場に。

島田さん牟田さん
エゴサーチの鬼。
Twitterで牟田さんが本を購入したツイートを見ていた。

『本を贈る』

作家から取次、本屋まで、「贈る」ように本をつくり、本を届ける10人の手によるエッセイ集。

本を贈ることが好きな中岡さん。この本を渡したら、どんな顔をしてくれるのか?
その気持ちから『本を贈る』の企画が始まり、「本を作ること・売ることも本を贈ることではないか?」という発想から今回の形になっていったそうです。

夏葉社の島田さんの場合、本を出すまでに、速ければ3か月、書き下ろしなら1年程度かけると話していました。
一方、『本を贈る』は2年かけて出版。

『本を贈る』が贈り物

カバーをかけていないこの本は傷つきやすく、一度返本されたらもう出すことができない、とても繊細な作りとなっています。
カバーがあれば、汚れたカバーだけ交換して、また出すことができるのに。

中岡さんは、「300人くらいの人に届けば、その先も届くのではないか」と考えていました。
3000人というイメージではなかったそうです。

返本を前提にせず、あなたに、きちんと届けるという気持ちがあったのです。

「一対一で本を贈るということは、そういうことなのではないか」
と島田さんは仰っていました。

吉祥寺のメリット

徒歩で本屋さんをはしごできるのは恵まれている。」
という意見が一致していました。

入れ替わりはあるものの、チェーン店も個人のお店も多い土地。
お客さんも本屋さんも個性があり、それぞれ違います。

「本を作るということにおいて、本屋さんが少ないのはデメリット。」
と中岡さん。

MEMO
本を作ることの前提:たくさん読む。あびるように見る。
その点において、吉祥寺は恵まれているのです。

目を変える

牟田さんの文章の中から、「本を絵と見立てる」というエピソードが紹介されていました。

校閲という立場は、おかしいところを指摘することはできるけれど、代わりに描くことはできない。勝手に描きかえてはいけない。
とてもわかりやすい例えです。

ありえない誤植

スキャンすると、人間ではありえない誤植が結構あるそうです。

わかりづらい誤植
例)ぼく→ぽく
笑うしかない誤植
例)魚→象 
料理本を読んでいて、「象を三枚におろす」と表記されていたらびっくりしますね。

誤植が拾えるのなら何でもやる

一般人からしたら予想外のことを、それぞれ工夫しているのが衝撃的でした。

島田さん
①校正の方に電話口で読み上げる。
「てにをは」もわからなくなってしまう。
何度も読んでいるから、なにが面白いのかわからなくなる。

②最後の行から逆に読んでいく。

「内容のつながりから解き放たれることができる」
と中岡さんが納得していました。

中岡さん
①全てのフォントを変える。
明朝→ゴシック
自動的に目が変わる。

②何度も音読。

牟田さん
①夫に読んでもらう。
ケンカになってしまうそうです……。

見本ができたあと、ぱっと開いたところに誤植があったら怖いから読めない。
本を開けない。
誤植があったというツイートを見て、寝られなくなった。
牟田さんのこれらのエピソードがプロだと感じました。


どれだけがんばっても、結果が必ず出るわけではない。
給料がいいわけでもない。
熱意がイコールでお給料になったらいいのに、と考えてしまいました。
もっと評価されるべきです。せめて、もっと知ってもらうべきです。

だから、『本を贈る』という存在は、本の仕事をしている人たちとそうでない人たちをつなぐ架け橋になるのだとほっとしました。

本って面白い

最近面白くなっていること

島田さん
歳を重ねて、ますます本が面白い。本を読むのが面白い。
長編は読むのに勇気がいるけれど、努力してその世界に入ると面白い。

牟田さん
いろんな本屋さんがあって面白い。
普段手にとらない本と出逢う。それが面白かったりする。
本屋さんは生き物。毎日見ていても飽きない。

この場所だから

「本ってどこで買ったって同じ内容なのに、なんでこんな面白いんだろう。」
牟田さんの言葉は、本好きが多かれ少なかれ感じていることなのではないでしょうか。

そこで思い出したのが、トークイベントの冒頭にあった吉祥寺トーク。

休日は観光地になる吉祥寺。
「みんな何しているの……?」と全員が言っているのが面白かったです。

「どこのサーティワンでも同じ味なのに、駅前は凄い行列ができている」と例に出していました。

それは、「同じ物でも、この土地がいい」という気持ちがあるのではないでしょうか。
ほかの場所ではなく、ここ。この場所だから手にとる。

その気持ちは本でもアイスでも、同じなのではないかと感じました。

おわりに

本を作るのも売るのも大変。大変じゃないところなんてない。
「本でなければならないものって何だろう?」というのは考えざるを得ない。
お話を聴いているだけでもその大変さが伝わってきました。
それでも本を作り続ける人々。

『本を贈る』に関わった人たちは、文章を書いて、製本して、宣伝して、トークイベントを行っています。
自分たちで作り上げて、自分たちで売っているのです。

そのすべての過程から、を感じました。


「よかったでしょ?」と聞いて、「よかった」と返してもらえる本を作りたい。
島田さんが書いた文章を、中岡さんが朗読してくださいました。

シンプルなその想いが素敵です。だからわたしは、この一言で締めます。
トークイベント、よかった


ReaJoyの裏話を、個人ブログ「しきおりつづり」にて綴っています。

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