官能小説おすすめ10選【大人の世界にようこそ!】

官能小説と聞いて、どんなものを思い浮かべるだろうか。

「エロい話」と単純に考えてしまうのは大間違いだ。

男女間もしくは同性間での交流と性交を主題とした小説のジャンルを指し、ポルノ小説とも言われるが、ジュブナイルポルノ(あまり使われる言葉ではないが、アニメ・マンガ調のイラストをカバー・表紙・口絵・挿絵などに使用した、異性間もしくは同性間、さらには人外のものとの性描写を含む娯楽小説)やボーイズラブ小説・ティーンズラブ小説なども含まれている。

意外と広いこのジャンルは、文学的な薫りのする格調高いものから親しみやすいものまで幅広いことが特徴だ。

本記事ではその中から、おすすめの作品を紹介したい。

『人妻と官能小説家と…』橘真児

女性経験のない男性作者!?

官能小説を書くからには、豊富な異性との経験を持っているに違いない・・・と思うかもしれない。

しかし、この作品では「実は女性経験のない主人公が描かれている」と聞くと驚くのではないだろうか。

この話の主人公は官能小説家だが、実は女性経験がないのに官能小説家になったという少し変わった男性なのだ。

今まで少女ものの官能小説を多く書いていたのだが、人に勧められて人妻ものを書こうとしたところから物語が始まっている。

濡れ場もそう多くなく、読みやすい作品に仕上がった作品だ。

ページ数も312ページとちょうどいい分量のため、最初に挑戦する一冊としてもおすすめだと言える。

「童貞でロリ作家の僕が、なぜか人妻ものを書くはめに……」

編集部の無茶ぶりに悩む官能作家に手をさしのべてくる女たち──

官能作家・郁雄は編集から得意のロリータものはもう出せないと言われ、今後は人妻ものを書いて欲しいと言われる。
ロリ趣味の郁雄は、童貞(! )で女性経験のない自分にそんなもの書けるはずがないと悩む。
そんななか、同業の女性作家、元同じ会社の同僚OL、仕事を依頼してきた女性編集者に悩みを打ち明けると……。
人気作家による書下し「人妻もの」官能!
「BOOK」データベースより

『人妻と官能小説家と・・・』の基本情報
出版社 二見書房
出版日 2018/10/26
ジャンル 官能
ページ数 312ページ
発行形態 文庫、電子書籍

『ダブル・ファンタジー』村山由佳

恋愛小説家の描く官能

村山由佳さんと言えば、「おいしいコーヒーの淹れ方」シリーズなどで有名な女性作家。恐らく世間では、恋愛小説家として認識されているだろう。

そんな彼女が描いたのがこの作品だ。

主人公はいつも誰かとセックスをしている。性欲が強いことを意識しており、そのことを負い目に思っているのだ。

しかし、その負い目を振り切って、惹かれた男性と果敢に寝る。もう、本当にありとあらゆる男と寝るのだ。

「女性がそんなことをするなんて・・・」と眉を顰めるだろうが、決して下品にならずむしろとても上品に仕上がったこの作品。

恋愛小説と官能小説の境目あたりとも言えるので、入門として手に取りやすく、買いやすい作品ではないだろうか。

三十五歳の脚本家、奈津は、才能に恵まれながら、田舎で同居する夫の抑圧に苦しんでいた。ある日、夫の創作への関与に耐えられなくなった奈津は、長く敬愛していた演出家・志澤の意見に従い、家を飛び出す決意をする。束縛から解き放たれた女性が、初めてめぐり合う生と性、その彷徨の行方を正面から描く衝撃的な官能の物語。
「BOOK」データベースより

『ダブル・ファンタジー』の基本情報
出版社 文藝春秋
出版日 2011/09/02
ジャンル 官能
受賞 第4回中央公論文芸賞/第16回島清恋愛文学賞/第22回柴田錬三郎賞
ページ数 301ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

『濡れる女官能小説家』鷹澤フブキ

女性×年下編集者

こちらの官能小説を書いた鷹澤フブキさんは、なんと高級クラブホステスやフリーランスのSM女王様などの経験を持っている。

「なんだか凄そうな経歴を持っているな・・・」と思うかもしれないが、作品自体はどこか大人の恋愛ドラマを見ているかのような印象を持つ読みやすい作品に仕上がっている。

展開も早く、主人公の女性官能小説家が火照った体を若手男性編集者に癒してもらうというストーリーだ。

ドロドロとした展開もなく、サラリと読んだあとの読後感は決して悪くない。

ハードな内容ではないので、こちらも初心者にお勧めの一冊と言えるだろう。

執筆で火照った女性作家の肉体を癒すのは、若手男性編集者の務め…!
出版社に勤める青年編集者の悠生は、原稿を受け取るため女流作家に誘惑されるまま、彼女たちと快楽に耽る日々を送っている。
肉欲を滾らせるベテラン熟女作家、方向性に悩むコスプレ人妻小説家、トップ女流作家の地位を争う女王様的美人作家、そして作品のために性の快楽を知ろうとする新人女性…。
気鋭の女流作家が虚実おり混ぜて描く誘惑ロマン長編!
「BOOK」データベースより

『濡れる女官能小説家』の基本情報
出版社 竹書房
出版日 2018/05/14
ジャンル 官能
ページ数 283ページ
発行形態 文庫、電子書籍

『花宵道中』宮木あや子

上品な歴史官能小説

舞台は江戸時代後半の吉原。吉原と言えば、江戸時代に遊郭が置かれた場所としても有名で、花魁など華やかな世界と過酷な現実が同居した場所だった。

主人公は不器用で地味な女郎、朝霧(あさぎり)。

年季明け(奉公終了)間近のある日、祭りの日に会った男(染次郎:そめじろう)に初めての恋をするところから物語は始まる。

ある時、客としてやってきた染次郎だったが、宴会中に朝霧は染次郎の目の前で他の客に犯されてしまう。

こちらは「R18女による女のための文学賞大賞&読者賞」をW受賞した官能絵巻で、歴史ものが好きな人にもおすすめの一冊だ。

『花宵道中』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 2009/08/28
ジャンル 官能
ページ数 374ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍

『sex』石田衣良

12のSEXたち

石田衣良も、恋愛小説や「池袋ウエストゲートパーク」シリーズが有名で、官能小説を書くイメージはあまりない作家だ。

しかし、石田衣良の描く恋愛小説と言うのは大人のしっとりした薫りと、少しだけエロティックが交じり合った上品な官能小説と言える一面も持っている。

こちらは、図書室で秘密の会話を交わす中学生男女・セックスレスに悩む夫が深夜に二階の寝室で聞いた嬌声の正体・好きだけれど別れなければいけないカップルの最後のデートや、昼間の病室に女を呼んで「ひらいて見せて」と頼む死期の迫った壮年男性など、12編のSEXが収められた短編集。

官能小説というよりかは、大人の恋愛小説と言った印象が強い一冊だ。

好きな人とたくさん―。夜の街灯の下で。図書館の片隅で。入院中の病室で。異国の地で。最後のデートで。まぶたの裏で、なにものかに祈りながら。性がゆたかに満ちるとき、生は燦然とかがやく。だからセックスは素晴らしい。頭と心と身体が感じる最高の到達点を瑞々しく描いた、すべての男女に贈る感動の12編。
「BOOK」データベースより

『sex』の基本情報
出版社 講談社
出版日 2012/09/14
ジャンル 恋愛
ページ数 304ページ
発行形態 単行本、文庫、電子書籍、オーディオブック

『おいしい人妻』草凪優

青春官能小説

2010年に「この官能文庫がすごい!」で『どうしようもない恋の唄』『おいしい人妻』の2作品が大賞・金賞をダブル受賞した草凪優。

「性春エロス」とも言われる作風が特徴の作家だ。

こちらの作品は、20歳の童貞である慶太が主人公。

大学生活に馴染めず鬱々とした日々を過ごしており、気分を変えるため、近所の高級スーパーマーケットでバイトを始める。

そこを選んだのは従業員が慶太の好きな年上美女揃いだったから。

バイトに慣れてきた頃、美形の人妻店員とふとしたことから淫靡なムードになり、筆下ろしをしてもらって・・・というストーリーだ。

こちらはどちらかと言うと若い男性が共感しやすい内容の一冊かもしれない。

『おいしい人妻』の基本情報
出版社 竹書房
出版日 2015/03/24
ジャンル 官能
ページ数 324ページ
発行形態 文庫、電子書籍

『10分間の官能小説集』

アンソロジー官能小説

こちらは、複数の作家が短編として官能小説を書いたものを集めたものだ。

石田衣良・睦月影郎・小手鞠るい・南綾子・阿部牧郎・あさのあつこ・三田完・岩井志麻子・前川麻子・勝目梓。

おそらく本好きであれば、名前を聞いたことのある作家もいるのではないだろうか。

作風も、シチュエーションもそれぞれに個性が光り読みやすいものが揃っているため、大人の恋愛小説として捉えてみるのもいいだろう。

意外なところでは、あさのあつこだろうか。

こういった官能的なものを書くイメージがない作家が描く官能ものこそ、予想以上に面白いものが読めるのだ。

『10分間の官能小説集』の基本情報
出版社 講談社
出版日 2012/06/15
ジャンル 官能
ページ数 224ページ
発行形態 文庫

『純情エレジー』豊島ミホ

官能小説入門

こちらも、「R18女による女のための文学賞」をきっかけにデビューした作家だ。

複数の短編が入っており、官能小説の雰囲気はほのかに香る程度なので読みやすいのではないだろうか。

田舎が舞台となっており、官能をエロスやロマンティックと捉えるよりはリアルな生活感として描いている。

生々しさよりも、生活感がにじんでいるため官能小説に抵抗がある人にとっては恋愛小説的な感覚で手に取りやすいのではないだろうか。

官能小説イコール、生々しいものもあるが決してそういった表現ばかりではないことがわかる作品だと思う。

「会っている数日のあいだ、わたしたちはセックスしかしない。おぼえたての高校生のままみたいに」十七歳のわたしたちが互いに向けたのは、ただ、欲望だった。それから八年。上京した彼は年に一度だけ故郷に帰ってくる…。上京、就職、結婚と、人生で最初の岐路に立つ主人公が振り返る、忘れられないセックスの記憶。少女から女へ、少年から男へ。心と身体の移ろいを瑞々しく描きだす全七篇。
「BOOK」データベースより

『純情エレジー』の基本情報
出版社 新潮社
出版日 2009/03/01
ジャンル 官能
ページ数 190ページ
発行形態 単行本

『エロスの記憶』

意外な人の描く官能とは?

こちらは、小池真理子・桐野夏生・村山由佳・桜木紫乃・林真理子といった女性作家と、野坂昭如・勝目梓・石田衣良・山田風太郎といった男性作家の作品がまず目玉になる。

しかし面白いのは、女優の岸惠子・サッカー元日本代表監督フィリップ・トルシエ・池田満寿夫・佐藤陽子夫妻といった意外なメンバーのものや東海林さだお×鹿島茂などの対談、ルポ的なものまで満載であることだ。

小説家だけではない人選が描くエロスとはいったいどんなものだろうか。

そんなワクワク感とドキドキ感で読んでみると、不思議と面白く感じる内容になっている。

『エロスの記憶』の基本情報
出版社 文藝春秋
出版日 2015/02/06
ジャンル 官能、アンソロジー
ページ数 324ページ
発行形態 文庫

『萌えいづる』花房観音

現代の平家物語×官能

団鬼六賞を受賞した作家が描く官能小説。

京都にある平家物語ゆかりの小さな寺には、参拝客が想いを綴るノート「忘れな草」と言うノートがある。

悲しみや苦しみを抱えて、ひとり訪れた女たちが、誰にも言えない秘密を書き残していくのだ。

そして平家物語にゆかりの人物や場所、例えば祇園女御や滝口寺・祇王寺などとリンクした短編集となっている。

歴史もの×官能小説と言った趣で、現代と過去が交じり合った不思議な話になっており、王道の官能小説とは少し違った印象だ。

京都の平家物語にゆかりの地も載っており、ガイドブックとして使えるのもまた面白い。

『萌えいづる』の基本情報
出版社 実業之日本社
出版日 2013/08/06
ジャンル 官能
ページ数 256ページ
発行形態 文庫、電子書籍

おわりに

恋愛小説家の描く入門的な官能小説から短編集、官能小説の賞を受賞した作品まで幅広く紹介してきた。

これで官能小説と言っても、意外と幅が広いと言うことがわかっていただけたのではないだろうか。

ぜひ、一度手に取って読んでみてほしい。

今まで知らなかった世界が広がること請け合いだ。

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