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遠藤周作『沈黙』あらすじ解説|伝えたかったこと【逆境で信念を貫き通す難しさ】

遠藤周作の『沈黙』を読んだきっかけは、マーティン・スコセッシ監督が映画化したことでした。

映画公開時に書店に平積みされており、学生時代にタイトルとあらすじだけは教わったものの、ちゃんと読んだ経験はなかったなと手に取りました。

江戸時代のキリスト教布教に関しては、キリシタン弾圧の経緯や踏み絵の成り立ちを日本史の授業でさわりだけ学んだ程度で、恥ずかしながらほとんど知識はありませんでした。

こんな人におすすめ!

  • 普遍的で骨太な小説を読みたい
  • 信仰について深く描かれた物語を読みたい
  • 逆境で信念を貫き通す難しさや世界の厳しさを学びたい

あらすじ・内容紹介

『沈黙』は遠藤周作が17世紀の史実をもとに書いた小説です。

主人公は宣教師のセバスチャン・ロドリゴ。恩師クリストヴァン・フェレイラの棄教の報せにショックを受け、友人の宣教師フランシス・ガルべを伴い来日したロドリゴは、そこで貧しい百姓たちにキリスト教を布教しながら、師の真意を探り始めました。

やがてロドリゴは長崎奉行所に追われる身となり、苛烈な迫害の中で数多くの信者が殉死する光景を目の当たりにし、自らの信仰を試されます。

役人に捕まり拷問される信者を見殺しにできず、思わず駆け寄り命を落としたガルべと対照的に、救いを求めてただ祈ることしかできないロドリゴは無力感に打ちひしがれ、日本にキリスト教を根付かせる困難さを痛感しました。

『沈黙』の解説・感想(ネタバレ)

17世紀の日本を訪れた異国人の視点で綴られる話で、ロドリゴが日本特有の文化風俗に触れ、驚く様子が克明に描かれています。

その一方、権力に服従せざるえない人々の弱さや愚かさ、ことあるごとに裏切りを犯す醜悪さなども余すことなく暴かれ、穴吊りに代表される凄まじい拷問の描写は読んでいるのが辛くなるほどでした。

『沈黙』のテーマは信仰。

神に見捨てられた貧しき人々の為に、ロドリゴが踏み絵をしたとして、一体誰が責められるでしょうか?

ロドリゴの苦悩や葛藤がリアルに描写されているからこそ、クライマックスの踏み絵シーンのカタルシスは絶大でした。

ロドリゴや仲間を裏切りお上に密告しておきながら、許しを求めて縋り付くキチジローの卑しさも印象的でした。私が「沈黙」の世界にいたら、おそらくキチジローになっていただろうと思います。

最後の選択は賛否両論あるでしょうが、私個人としては信仰を捨て、日本に永住する決意をしたロドリゴに、切腹を決心した武士と通じる覚悟を感じました。

神は救いになり得るか否か、神が人を救わぬなら自分が救うしかないのではないか……断腸の思いで踏み絵に臨むロドリゴの姿は、ゴルゴダの丘に登るキリストに似ていました。

まとめ

本作は決して読みやすいとはいえません。文章を咀嚼するのに時間がかかる上、読んでいる間は暗澹と気分が塞ぎ、読後感は重苦しいです。同胞に対しどこまでも残酷になれる人間性の極北に絶望するかもしれません。

だからこそ人生で一度は読む価値のある、骨太な小説です。正義と大義どちらをとるかの問題提起を鑑みれば、あと百年経っても『沈黙』が内包する普遍性は失われないと断言できます。

神を信じる人も信じない人も、ぜひロドリゴの波乱万丈な生涯を見届け、逆境で信念を貫き通す難しさや世界の厳しさを学んでください。

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