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『白』あらすじと感想【デザイナーが語る「白」の奥深さ】

『白』あらすじと感想【デザイナーが語る「白」の奥深さ】

今回ご紹介するのは、文字通りまっしろなこの本。

表紙も、帯も、栞紐も、もちろん中のページもです。

そう、これはについての本なんです。

「こと」をデザインすること

この本を書いた原研哉さんは、商業デザインなどを手がけるグラフィック・デザイナー。

私たちがよく目にする無印良品のアートディレクションを担当された方です。

1998年に開催された長野オリンピックの開会式・閉会式プログラムや、2005年の愛知万博のプロモーションを担ったほか、世界各国で展覧会を行い、数々の賞を受賞しています。

もちろん、この本の装丁も原さん自身が手がけたもの。

そのデザインに通底しているのは「もの」ではなく「こと」をデザインすること。

彼のデザインは単にシンプルなだけでなく、見る人の目をひきつける美しさがあります。

その秘密を一緒に探ってみましょう。

注意
以下、ネタバレ注意です。

白の感想(ネタバレ)

第1章:白の発見

当たり前のように、私たちの身の回りにある「白」。

でも考えてみれば、「白」はちょっと特殊な色かもしれません。

ためしに、白から連想されるものを並べてみます。

  • 牛乳
  • 純粋
  • 清潔
  • 新鮮

 

まだまだありますが、こんな感じでしょうか。

光の三原色をすべて重ねると、白になるといいます。

また白は、骨や、乳や、卵の色。

つまり、生命の周辺にある色。

「白い」という言葉は、古代の日本で「いとしろし=いちじるし」という「顕在性」を表した言葉に由来しているそうです。

白には純粋・清潔・新鮮といったイメージがありますが、「顕在性」とは、きらめく光、清らかな水、流れ落ちる滝のように、混沌とした世界からくっきりと浮かび上がること。

このように筆者は、「白」にまつわる様々なイメージや文化に思いをめぐらせながら、「白」に秘められた私たちの美意識を読み解いていきます。

第2章:紙

突然ですが、なぜ本のページは白いのか、考えたことがありますか?

もし紙が白くなければ、文字や印刷の文化は今ほど発展しなかったかもしれない、と筆者は言います。

紙が発明される前、ヨーロッパでは羊の皮が、エジプトではパピルスという植物の茎が、中国では竹や木を薄い短冊状にしたものが、文字を書く素材として用いられていました。それらは白ではなく、アースカラーをしていますよね。

紙は、西洋の紀元前後に中国で発明されたと言われています。

樹皮の繊維を叩きほぐし、必要な繊維だけを残して漉くことで、真っ白な紙が生まれました。

真っ白な紙に、黒色で文字や図を置く。

その対比が人類の創造意欲をかきたててきたのではないか、と言うのです。

筆者の言葉を借りれば、白くて四角い紙に、どのように「言葉を畳み」「文字を座らせる」か。

長い試行錯誤の末に生まれたのが、今私たちが目にしている本の形であり、文字なのです。

その長い歴史の話も面白いのですが、それは本書を読んでいただくとして、次の話に進みましょう。

第3章:空白 エンプティネス

可能性としての「空白」

この本の面白いところは、「白」を単なる色ではなく、「空白」という概念に広げて考えていることです。

空白とは、エンプティネス、何もないということ。

「無」とか「不在」といったマイナスのイメージが浮かぶかもしれませんが、ここで言う「空白」は、何かが入る「予兆」「可能性」という意味です。

何もないということは、何かを受け入れることで満たされる可能性を持つということである。

たとえば、長谷川等伯の松林図屏風。

みなさんも一度は目にしたことがあるのではないでしょうか。

ここに描かれているのは、荒々しい筆致の松の木。

決して写実的ではないのに、木々を揺さぶる風や、湿った空気や、松の林の奥行きまでが伝わってくるようです。

描かれた松と松の間は空白ですが、不思議なことに私たちは、その白い空間に無数の松の木がある、と感じることができます。

日本の文化の中には、他にもこのような例がたくさんあります。

本書の中でもいくつか紹介されているので、ぜひ読んでみてください。

まめ知識
日本人が、古くから信仰の対象として訪れてきた「神社」。

実はここにも「空白」の原理があります。

神社の中枢にあるのは、地面の上に四本の柱を立て、それぞれの柱の頭頂部を縄で結んだ「代」。

ここに四角い、何もない空間が生まれます。

これに屋根を付けたのが「屋代」。

この屋代の周りに垣をめぐらせ、そこに至る通路と鳥居を配置したものが神社です。

つまり神社とは、神様を招き入れるための「空白」なのです。

問いとしての「空白」

問いとは脳の中に何らかの拍子に生まれる空白である。(p.63)

さらに筆者は、この「空白」の捉え方を、コミュニケーションのあり方にも結びつけていきます。

私たちが何かを考えるとき、その前には「なぜ?どうして?」という問いがあります。

その「問い」こそが「空白」なのだと筆者は言います。

考えるということは、差し出された空っぽの器の中に答えを入れようとすること。

「空白」があることで、新しい思考や創造が生まれるのです。

絵でも音楽でもそうですが、優れた表現は、この「問い」が豊かなのかもしれません。

独創性とはエンプティネスの覚醒力、すなわち問いの質のことである。独創的な問いこそが「表現」と呼ぶにふさわしく、そこに限定された答は必要ない。それは既に無数の答を蔵しているのであるから。

まとめ

最後に、私がこの本の中でもっともシビれた文章をご紹介します。

僕らは世界に対しては永久に無知である。そしてそれでいいのだ。世界のリアリティに無限におののき続けられる感受性を創造性と呼ぶのだから。

本を読んでも読んでも、この世界には分からないことがあふれています。

まっさらな白い紙のように、いつまでもこの世界に驚き続けたい。

それが何かを生むのなら。

「白」をめぐる文章を追っているうちに、そんなことを思っていました。

デザインに携わる人だけでなく、これから何かを創ろうとしている人、感受性を研ぎ澄ましてみたい人へ、この一冊を贈りたいと思います。

主題歌:ジョン・ケージ/4分33秒

この本に曲をつけるなら、これしかありません!

ジョン・ケージの「4分33秒」

演奏者がいるのに何も演奏されず、無音が4分33秒間続くだけ……という、音楽の常識を覆した曲です。

その「空白」の時間には、どんな音が満ちているのでしょうか。

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