ある朝、世界が茶色一色だったら、あなたはどうしますか?
あなたにとっての普通。
それは、本当に普通でしょうか。
誰かに抑圧され、同調したうえでの普通になっていませんか。
今回紹介するのは、「茶色の朝」。
現代の日本でも起こりうる「個人の自由の弾圧」を描いた、風刺絵本です。
あらすじ・内容紹介
主人公は「俺」です。
俺は、飼い猫を殺処分した過去があります。
それなのに、彼は感情を動かすことなく、淡々と過去を語ります。
友人のシャルリーが、犬を安楽死しなくてはならなくなったと話しかけても、どこ吹く風です。
大切な犬や猫を殺さなければならなかったのには、理由があります。
「茶色ではない」からです。
茶色以外の犬や猫は「異端」とされ、処分されてしまいます。
今まで読んでいた新聞は廃刊になり、代わりに彼が読むのは「茶色新報」に。
いつ粛清されるか分からないので、会話には「茶色の」という言葉をいちいち挟まなければなりません。
ラジオも茶色、パスティスも茶色。
何もかもが茶色に染まっていきます。
世界が茶色に染まり続けたとき、世にもおぞましいことが起こります。
茶色に守られた安心、それも悪くない。
そしてついに、「その時」が来てしまうのです。
今、そこに迫る恐怖
高橋哲也さんが書いてくださったあとがきが非常に丁寧なので、参考にしながら私なりにまとめました。
なぜ、「茶色」なのですか。
それは、茶色がフランスで「ナチズム」を連想させる色だからです。
そのほかにも、茶色には「ファシズム」をはじめ、極右の思想を持つ人を象徴する色として、強烈な印象を残しています。
- 差別的で過激な発言をして、熱狂的な人気を得る政治家
- 特定の国を差別するような発言をするメディア
- 一方的な権力によって、個人情報を強制的に管理、開示させ、主導権を握る国
など…。数え出したらきりがありません。
このような強制的な管理社会、「茶色の朝」を防ぐにはどうしたらいいのか。
私たちが、自らの目でメディアを監視し、状況を把握するのです。
簡単なことではありませんが、同調して意見に流されるよりは、ずっと聡明な判断と言えます。
茶色の朝がはびこる一番の理由は、「無抵抗の国民」にあるのですから。
主題歌:グレン・ミラー/茶色の小瓶
グレン・ミラーの「茶色の小瓶」です。
茶色がテーマの絵本ということで、選曲してみました。
この曲は初心者向けのジャズということで、幅広い層から愛されています。
元々は、アルコール依存症の夫婦の様子を歌った歌です。
軽やかなメロディーに乗せて、じっくりとお楽しみください。
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