優れた大衆文学作品を書いた新人・中堅作家に与えられる栄誉ある文学賞・直木三十五賞。通称、直木賞。
ここ数年の受賞作品をまとめてみました。
読んでみたい本はありますか?
目次
第162回直木賞(2019年下半期)
川越宗一『熱源』
樺太(サハリン)で生まれたアイヌ、ヤヨマネクフ。
開拓使たちに故郷を奪われ、集団移住を強いられたのち、天然痘やコレラの流行で妻や多くの友人たちを亡くした彼は、やがて山辺安之助と名前を変え、ふたたび樺太に戻ることを志す。
一方、ブロニスワフ・ピウスツキは、リトアニアに生まれた。
ロシアの強烈な同化政策により母語であるポーランド語を話すことも許されなかった彼は、皇帝の暗殺計画に巻き込まれ、苦役囚として樺太に送られる。
日本人にされそうになったアイヌと、ロシア人にされそうになったポーランド人。
文明を押し付けられ、それによってアイデンティティを揺るがされた経験を持つ二人が、樺太で出会い、自らが守り継ぎたいものの正体に辿り着く。
樺太の厳しい風土やアイヌの風俗が鮮やかに描き出され、国家や民族、思想を超え、人と人が共に生きる姿が示される。
金田一京助がその半生を「あいぬ物語」としてまとめた山辺安之助の生涯を軸に描かれた、読者の心に「熱」を残さずにはおかない書き下ろし歴史大作。
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第161回直木賞(2019年上半期)
大島真寿美『渦 妹背山婦女庭訓 魂結び』
虚実の渦を作り出した、もう一人の近松がいた──
「妹背山婦女庭訓」や「本朝廿四孝」などを生んだ人形浄瑠璃作者、近松半二の生涯を描いた比類なき名作!
江戸時代、芝居小屋が立ち並ぶ大坂・道頓堀。
大阪の儒学者・穂積以貫の次男として生まれた成章(のちの半二)。
末楽しみな賢い子供だったが、浄瑠璃好きの父に手をひかれて、竹本座に通い出してから、浄瑠璃の魅力に取り付かれる。
父からもらった近松門左衛門の硯に導かれるように物書きの世界に入ったが、弟弟子に先を越され、人形遣いからは何度も書き直しをさせられ、それでも書かずにはおられなかった……。
著者の長年のテーマ「物語はどこから生まれてくるのか」が、義太夫の如き「語り」にのって、見事に結晶した奇蹟の芸術小説。
筆の先から墨がしたたる。
やがて、わしが文字になって溶けていく──
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第160回直木賞(2018年下半期)
真藤順丈『宝島』
『宝島』あらすじと感想【祝・直木賞受賞!史上最高の沖縄叙事詩】希望を祈るな。立ち上がり、掴み取れ。
愛は囁くな。大声で叫び、歌い上げろ。
信じよう。仲間との絆を、美しい海を、熱を、人間の力を。
英雄を失った島に新たな魂が立ち上がる。
固い絆で結ばれた三人の幼馴染みーーグスク、レイ、ヤマコ。
生きるとは走ること、抗うこと、そして想い続けることだった。
少年少女は警官になり、教師になり、テロリストになり、同じ夢に向かった。
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第159回直木賞(2018年上半期)
島本理生『ファーストラヴ』
夏の日の夕方、多摩川沿いを血まみれで歩いていた女子大生・聖山環菜が逮捕された。
彼女は父親の勤務先である美術学校に立ち寄り、あらかじめ購入していた包丁で父親を刺殺した。
環菜は就職活動の最中で、その面接の帰りに凶行に及んだのだった。
環菜の美貌も相まって、この事件はマスコミで大きく取り上げられた。
なぜ彼女は父親を殺さなければならなかったのか?
臨床心理士の真壁由紀は、この事件を題材としたノンフィクションの執筆を依頼され、環菜やその周辺の人々と面会を重ねることになる。
そこから浮かび上がってくる、環菜の過去とは?
「家族」という名の迷宮を描く傑作長篇。
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第158回直木賞(2017年下半期)
門井慶喜『銀河鉄道の父』
明治29年(1896年)、岩手県花巻に生まれた宮沢賢治は、昭和8年(1933年)に亡くなるまで、主に東京と花巻を行き来しながら多数の詩や童話を創作した。
賢治の生家は祖父の代から富裕な質屋であり、長男である彼は本来なら家を継ぐ立場だが、賢治は学問の道を進み、後には教師や技師として地元に貢献しながら、創作に情熱を注ぎ続けた。
地元の名士であり、熱心な浄土真宗信者でもあった賢治の父・政次郎は、このユニークな息子をいかに育て上げたのか。
父の信念とは異なる信仰への目覚めや最愛の妹トシとの死別など、決して長くはないが紆余曲折に満ちた宮沢賢治の生涯を、父・政次郎の視点から描く、気鋭作家の意欲作。
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第157回直木賞(2017年上半期)
佐藤正午『月の満ち欠け』
あたしは、月のように死んで、生まれ変わる
――この七歳の娘が、いまは亡き我が子? いまは亡き妻? いまは亡き恋人?
そうでないなら、はたしてこの子は何者なのか?
三人の男と一人の女の三十余年におよぶ人生、その過ぎし日々が交錯し幾重にも織り込まれてゆく、この数奇なる愛の軌跡。
プロフェッショナルの仕事であると選考委員たちを唸らせた第一五七回直木賞受賞作、待望の文庫化。
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第156回直木賞(2016年下半期)
恩田陸『蜜蜂と遠雷』
近年その覇者が音楽界の寵児となる芳ヶ江国際ピアノコンクール。
自宅に楽器を持たない少年・風間塵16歳。
かつて天才少女としてデビューしながら突然の母の死以来、弾けなくなった栄伝亜夜20歳。
楽器店勤務のサラリーマン・高島明石28歳。
完璧な技術と音楽性の優勝候補マサル19歳。
天才たちによる、競争という名の自らとの闘い。
その火蓋が切られた。
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第155回直木賞(2016年上半期)
荻原浩『海の見える理髪店』
人生に訪れる喪失と、ささやかな希望の光── 心に染みる儚く愛おしい家族の小説集。
店主の腕に惚れて、有名俳優や政財界の大物が通いつめたという伝説の理髪店。
僕はある想いを胸に、予約をいれて海辺の店を訪れるが……「海の見える理髪店」。
独自の美意識を押し付ける画家の母から逃れて十六年。
弟に促され実家に戻った私が見た母は……「いつか来た道」。
人生に訪れる喪失と向き合い、希望を見出す人々を描く全6編。
父と息子、母と娘など、儚く愛おしい家族小説集。
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まとめ
近年、直木賞を受賞した作品をご紹介しました。
読みたい本は見つかりましたか?
今後の直木賞も楽しみですね!
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