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『蜜蜂と遠雷』あらすじと感想【才能のぶつかるピアノコンクールの世界】

『蜜蜂と遠雷』あらすじと感想【才能のぶつかるピアノコンクールの世界へ】

直木賞と本屋大賞のダブル受賞で話題となり、映画化もされた本作。

「ピアノコンクールの話って聞いたけど面白いの?」

「クラシックってお堅くて眠くなる音楽でしょ?」

なんて思っていたらもったいない!

ひとたびページをめくると、クラシックのイメージを覆す美しい音楽の世界が待っています。

あらすじ・内容紹介

舞台は3年ごとに開催される芳ヶ江国際ピアノコンクール。

このコンクールで優勝した者はその後のコンクールでも優勝をすると言われ、大きな注目を集めています。

そこに集まった塵、亜夜、マサル、明石のピアニスト4人を中心に、2週間にわたるコンクールの幕が上がります。

それぞれに想いを抱えながらピアノと向かい合う彼らを、観客のひとりとして見守っているような…。

そんな感覚を覚えるほどの臨場感が押し寄せます。

果たして誰が優勝するのか?

この美しくも熾烈な勝負の行方が気になり、どんどんページをめくってしまいます。

注意
以下、ネタバレ注意です。

蜜蜂と遠雷の感想(ネタバレあり)

様々な思いを抱えた出場者たち

この作品では4人のピアニストたちがメインキャストとなります。

まずは風間塵。彼は「ピアノを買ってもらうために」このコンクールに出場します。

しかも、偉大なる音楽家ユウジ・フォン=ホフマンからの意味深な推薦状を持って…。

皆さんにカザマ・ジンをお贈りする。文字通り、彼は『ギフト』である。

(中略)

彼を本物の『ギフト』とするか、それとも『災厄』にしてしまうのかは、皆さん、いや、我々にかかっている。

そんな『ギフト』を受け取ることになるのは、かつて「天才少女」と呼ばれた栄伝亜夜

彼女は母の死がきっかけでピアノから離れていましたが、周りの勧めで渋々このコンクールへの出場を決めます。

ところが、塵と出会い、コンクールが進むにつれて、彼女の気持ちが大きく変わっていきます。

そんな彼女と幼いころにともにピアノを習っていたのは、マサル・カルロス・レヴィ・アナトール

彼のオーラと、持って生まれた音楽性は聴く者を虜にしていきます。

まさに「ピアノの王子さま」のような彼は、このコンクールの優勝候補に名乗りをあげます。

そして、このコンクールの最年長出場者、高島明石

妻子を持ち、楽器店で働く普通のサラリーマンの彼は、これが音楽家としてのキャリアの最後だと思いながらコンクールに臨みます。

ピアノにずっと向き合うことが当然とされているピアニストの中ではかなり異色な彼ですが、そんな彼もこのコンクールで大きく変わることになります。

それぞれに思いを抱えてこのコンクールに臨むピアニストたちを、見守るかのようにストーリーは進みます…。

「音楽が聴こえてくる」美しい表現

この作品には多くのクラシック音楽が登場します。

知っている曲が出てきた!という方もいるのではないでしょうか。

まるで音楽が聴こえてくるような表現ばかりですが、それはコンクールの始まる前、塵のオーディションの場面からすでに始まります。

ホールに、神々しい大伽藍のようなバッハの響きが降臨していた。

あの、恐ろしく緻密で計算された、和声の積み上げられた建築的にも完璧な響きが、揺るぎない骨格で迫ってくる。

このとき、塵がバッハのどの曲を弾いたかは描かれていません。

しかし、この1文から荘厳なバッハの響きが、そして彼の音の迫力が目の前に迫っているように感じました。

芳ヶ江国際ピアノコンクールでも会場にいるのではと錯覚してしまうほどに、音楽の宇宙に飲みこまれたり、音楽からイメージされる物語の世界に引き込まれていくようでした。

ひとつひとつの曲の表現の美しさに加え、出場者たちの個性あふれる演奏も見事に表現されています。

明石の音楽とともに呼吸をして。

マサルの音楽に恋をして。

塵の音楽に酔いしれて。

亜夜の音楽に浄化される。

お堅いイメージのあるクラシックが、こんなにも表情豊かで素晴らしい音楽だなんて…!と思うと同時に、実際に演奏された曲を聴きながらこの本を読みたくなりました。

最後までドキドキするコンクールの行方

コンクールということは、優劣をつけなければなりません。

予選が進むにつれ、誰が勝ってもおかしくないと誰もが思う素晴らしいピアニストたちが残ってきます。

一次、二次、三次と予選を経て、本選に残ることができるのは6人。

予選で結果が発表されるたび、芸術で競うことの厳しさを感じます。

独特の緊張感に包まれて、大勢の観客と審査員の前でいま自分にできるベストな演奏をするピアニストたち。

それでも、ふるいにかけられ脱落するピアニストたちを見ると、何とも言えない気持ちになります。

スポーツのように数字として目に見えない分、審査員たちがどのように評価するのか。

そのなかで、最終的に誰が優勝を手にするのか。

きっと彼らのコンクールをずっと見守ってきた読者全員が、ドキドキしながらページを捲るのではないでしょうか。

そして最後の1ページの審査結果を見たとき、私は「ああ、やっぱりな」と思いました。

きっと私も同じ判断を下すのだろうと心の底から思いました。

そして最後の1ページには優勝だけでなく、聴衆賞や奨励賞、菱沼賞(日本人作曲家演奏賞)も書かれているという粋な演出がされています。

ここを見てグッときたのは、私だけではないんじゃないかなあと思ってます。

まとめ

美しくも熾烈なコンクールの幕が下りた後。

彼らは日常に戻っていきます。

しかし、このコンクールは新たなスターを生み出しただけではありません。

塵に、亜夜に、マサルに、明石に、優劣だけではないものを残してくれました。

それは、ともに「音楽を連れ出す」仲間であったり、これからもピアニストとして歩んでいく覚悟であったり…。

私は読み終わった瞬間、「彼らはまたどこかのコンクールで顔を合わせることになるんだろうなぁ」と思わずにはいられませんでした。

そしてこのコンクールは読者である私たちに、クラシック音楽の素晴らしさをそっと教えてくれました。

文字だけで、ここまで音楽の魅力を伝えてくれるこの本こそ、まさに音楽に音楽を返したと言えるのではないでしょうか?

この作品を読んでしまったら、もう「クラシックなんてお堅い音楽でしょう?」なんて言えなくなる…。

そんなとても素敵な作品でした。

この本の主題歌:Mr.Children/GIFT

塵を形容していた『ギフト』。

しかし『ギフト』なのはきっと塵だけではないはずです。

芸術の世界で、白黒をつけなければならないコンクールに出場した誰もが、「ギフト(=”才能”)」を持っています。

才能のある出場者ひとりひとりがもっている個性。

それこそが「一番きれいな色」なのではないかと思いました!

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