「芥川賞と直木賞って一体何が違うの?」
「そもそも2つの賞が分からない‥」
と疑問に思っていませんか?
そんなあなたもこの記事を読めば、そもそも芥川賞・直木賞とは何なのか、それぞれの違い、代表作を知ることができます。
芥川賞とは?
あなたは芥川龍之介(あくたがわ りゅうのすけ)をご存知でしょうか。
芥川龍之介は、大正時代に活躍した小説家で『羅生門』『蜘蛛の糸』などの作品を発表しました。
そんな芥川龍之介の作品の多くが、純文学という”文学はどうあるべきか”などを追求した文学性を重視した小説です。
芥川賞とは、芥川龍之介にちなんではじまった文学賞で、雑誌に掲載されている新人作家の中から純文学を対象に受賞者を選んでいます。
直木賞とは?
あなたは直木三十五(なおき さんじゅうご)をご存知でしょうか。
直木三十五は、大正・昭和時代に活躍した小説家で『南国太平記』や水戸黄門の原作にもなった『黄門廻国記』などの作品を発表しました。
そんな直木三十五の作品の多くが、大衆小説という読んでいて楽しいと思えるようなエンターテインメント作品です。
直木賞とは、直木三十五にちなんではじめった文学賞で、無名や新人、中堅の作家の中から大衆小説を対象に受賞者を選んでいます。
芥川賞と直木賞は何が違うの?
「芥川賞と直木賞ってなにが違うの?」
「どっちの賞が格上なの?」
と思われるでしょう。
芥川賞と直木賞の違いは、3つあります。
1つ目は、選考される対象です。
芥川賞では”文学はどうあるべきか”を追求した純文学、直木賞では読んでいて楽しいと思えるエンターテインメント作品の大衆小説から選考されます。
2つ目は、作家のキャリアです。
芥川賞では無名・新人作家、直木賞では無名から中堅作家が対象です。
直木賞は無名から中堅作家が対象と幅広いですが、最近では新人作家が受賞するのは少なく、中堅作家の受賞がメインとなっています。
3つ目は、作品の長さの違いです。
芥川賞では短編から中編の小説、直木賞では短編から長編のすべての長さの小説が選考されます。
このように、芥川賞と直木賞では先行の条件が違っているので、どちらのほうが格上と判断することはできません。
芥川賞と直木賞の同じところは?
「よく芥川賞・直木賞とまとめられているから、何か同じところがあるんじゃないの?」
と思われるでしょう。
芥川賞と直木賞の同じところは、2つあります。
1つ目は、創立者と創立された時期が同じだということです。
昭和10年(1935年)に文芸秋春者の社長である菊池寛が、芥川賞と直木賞の2つの賞を創設しました。
2つ目は、選考会の時期が同じだということです。
芥川賞も直木賞も選考会が、上半期(7月)・下半期(1月)に年二回あります。
どちらかの賞を受賞すると、それ以降はどちらの賞も候補から外れてしまうので、ダブル受賞することはできません。
おすすめの芥川賞の受賞作
又吉直樹 『火花』(2015年度・上半期)
お笑い芸人や小説家として活躍する、又吉直樹。
そんな芸人の立場から芸人の現実を、描いた小説が『火花』です。
売れない芸人の徳永が、常識にとらわれない笑いのセンスがある神谷と出会います。
しかし、方向性の違いから徐々に疎遠になってしまいます。
笑いとは何か、生きるとは何か、を考えさせられる作品です。
村田沙耶香『コンビニ人間』(2016年度・上半期)
三島由紀夫賞受賞、野間文芸新人賞受賞などと多数の賞を受賞した、村田沙耶香。
そんな村田沙耶香はコンビニで週3回働いており、そんな自身の経験を表したのが『コンビニ人間』です。
コンビニで働き始めて18年の36歳女性。
普通の家庭に産まれ普通に育ったのに、普通の感覚が身につきませんでした。
そんな主人公はコンビニ的な生き方はダメだと突きつけられますが、主人公らしく生きていきます。
宇佐美りん『推し、燃ゆ』(2020年度・下半期)
デビュー作『かか』で三島由紀夫賞を最年少で受賞した、宇佐美りん。
そんな宇佐美りんの2作目の作品が『推し、燃ゆ』です。
推しが燃えた、という衝撃的な書き出しから始まります。
主人公が好きな男性アイドルが、一般のファンを殴りSNS上で炎上してしまいました。
そこから、主人公の生活にも影響を及ぼしていきます。
現代的なストーリーが展開されます。
おすすめの直木賞の受賞作
池井戸潤 『下町ロケット』(2011年度・上半期)
下町ロケットゴースト、ヤダガラスなどと人気を博している下町ロケットシリーズ。
その1番最初の作品が『下町ロケット』で、ドラマ化もされています。
宇宙開発の研究員をしていた主人公。
しかし、ロケット用エンジンセイレーンの開発に失敗してしまい責任を取るために、研究員を辞めてしまいました。
それから、父親が亡くなり家業を継ぐために佃製作所社長に就任し、徐々に売上を伸ばしていきます。
年間数十億の契約を打ち切る、と言われてしまい会社経営に悩んでいきます。
この作品が直木賞を受賞したのを知っている方は少ないかもしれません。
西加奈子『サラバ!』(2014年・下半期)
小説やエッセイ、絵本、作詞などと幅広く活躍している西加奈子。
イランに生まれ、小学校時代をエジプトで過ごしたという西加奈子自身の体験が元になっています。
主人公はインドで育った帰国子女。
順調に育っていきますが、やがて仕事も恋愛も上手くいかなくなってしまいます。
「あなたが信じるものを、誰かに決めさせてはいけない」という言葉が作中に何度も出てきて、自分の意思決定がこの本のテーマになっています。
朝井リョウ『何者』(2012年 下半期)
『桐島、部活やめるってよ』や『チア男子!!』などの人気小説でお馴染みの朝井リョウの代表作が『何者』です。
映画化もされているので、かなり人気の作品ということが分かるでしょう。
ひょんなことから繋がった5人、内定を貰うために就活対策本部をつくり頑張っていくことになりました。
5人の事情や思いも様々で就活は進んでいきますが、少しずつ友情や人間関係は崩れていきます。
大人と子どもの間にいる就活生が「何者」になる様子を描いた小説です。

まとめ
この記事では、芥川賞と直木賞とは何か、その違い、代表作をご紹介しました。
芥川賞と直木賞について簡単にまとめると、このようになります。
- 芥川賞‥純文学、無名から新人、短編から中編の小説
- 直木賞‥大衆小説、無名から中堅、短編から長編のすべての小説
「芥川賞や直木賞を受賞した作品は、何だか難しそうで読みたくない。」と考えているあなたも、読みやすい作品がたくさんあるので一度読んでみてはいかがでしょうか。
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